金融庁が複数の仮想通貨交換業者に行政処分【本当に安全な取引所はどこなのか?】

仮想通貨業者の処分に見る、「安全な取引所」とは?

2018年3月8日、金融庁は複数の仮想通貨交換業者に行政処分を下しました。2月から進めていた立ち入り検査の結果が出たことで、仮想通貨業界はまた少し混乱をしています。

なぜなら、32社ある仮想通貨交換業者のうち、実に20%超にあたる7社が、行政処分を受けたからです。

参考:金融庁オフィシャルサイト仮想通貨関連

今回は、この処分の内容を紐解くことで、「安全な仮想通貨交換業者とは?」について、再度考えてみたいと思います。

今回、行政処分された仮想通貨取引所会社とその理由について

まずは、今回、行政処分された会社と、処分された理由をおさらいしてみましょう。

7社のうち、登録業者が5社、みなし業者が2社となっています。このうち、FSHOとビットステーションには、重い処分である業務停止命令が、その2社を含む7社全社に業務改善命令が出されました。それぞれの理由は以下の通りです。

・株式会社ミスターエクスチェンジ(みなし業者)

ミスターエクスチェンジは、内部監査の未実施など、法令等遵守や適正な業務運営を確保するための実効性ある経営管理態勢が不十分であるほか、利用者財産の不適切な管理実態であるため、業務改善命令を出されました。

・バイクリメンツ株式会社(登録業者)

バイクリメンツは、内部監査の未実施など、法令等遵守や適正な業務運営を確保するための実効性ある経営管理態勢が不十分であるほか、利用者財産の不適切な分別管理や帳簿書類の一部未作成などがあり、業務改善命令を出されました。

・ビットステーション株式会社(登録業者)

ビットステーションは、100%株主である経営企画部長が仮想通貨の私的流用をしたとして、業務停止命令および業務改善命令を出されました。

・FSHO株式会社(登録業者)

FSHOは、高額の仮想通貨の売買の際に、取引時確認や疑わしい取引の届出の要否の判断を行っておらず、取引を検証する態勢が整備されていないことに加え、職員向けの研修も行っておらず、仮想通貨交換業の適正かつ確実な遂行を確保するために必要な措置を講じていないと判断され、業務停止命令および業務改善命令を出されました。

・GMOコイン株式会社(登録業者)

GMOコインは、取引量が拡大しているにもかかわらず、システム障害事案が頻発しており、しかも、その根本原因の分析が不十分で、適切な再発防止策がなされていないことを理由に、業務改善命令を出されました。

・テックビューロ株式会社(登録業者)

テックビューロはZaifを運営している取引業者です。テックビューロは、システム障害や、不正出金事案・不正取引事案など多くの問題が発生している。にもかかわらず、原因の分析が不十分であり、適切な再発防止策を講じておらず、また顧客への情報開示についても不適切な状況となっていることから、業務改善命令を出されました。

・コインチェック株式会社(みなし業者)

コインチェックは、取り扱う仮想通貨が内包する各種リスクを適切に評価しておらず、例えば、マネー・ローンダリング及びテロ資金供与リスクなど各種リスクに応じた適切な内部管理態勢を整備していなかったことに加え、顧客保護とリスク管理を経営上の最重要課題と位置付けておらず、経営陣の顧客保護の認識が不十分であり、経営管理態勢及び内部管理態勢等に重大な問題があるとみなされ、業務改善命令を出されました。

これら7社から見る、金融庁の重視ポイントとは?

金融庁は、今の森長官に長官が変わってから、とにかく顧客保護に重きをおいています。投資信託であっても、インデックスの長期投資を推奨し、手数料の高いアクティブファンドについては、金融機関に是正を求めています。

また、つみたてNISAなど、長期的な投資をしてもらうことに力を注いでいます。

その観点で見ると、「顧客の資産を正しくあずかれるかどうか」というのが最重要ポイントである、というのが伺えます。

今回業務停止命令を受けた2社は、そもそも社員の体制や意識に問題がある、ということで大きな処分を受けました。つまり、仕組み以上に、意識を重要視しているのです。顧客資産を指摘に流用したビットステーションも、FSHOも、社員のモラルと言う面で問題があったことを重要視したのではないでしょうか。

また、業務改善命令を受けた5社については、内部監査の状況を重く見たようです。たしかに、ガバナンスコードをはじめ、企業の監査については、どんどん厳しくなっていく状況です。

これは、日本の株式会社が、長期投資に向く会社になるよう、という金融庁の意図が見え隠れしているのですが、このガバナンスの強化の煽りを受けたと言っても過言ではないでしょう。確かに、金融機関のガバナンスは、他のどの会社よりも厳しさが求められています。

仮想通貨については、「イノベーションとガバナンス」のバランスがより一層求められる形になっていくでしょう。

今後は「石橋をたたく慎重さ」がある会社が安全かもしれない

今後、仮想通貨業界は、一度淘汰が進むかもしれません。ツイッターやFacebookではICOの広告が禁止されはじめるなど、新客獲得に制限がかかり、また、ガバナンス強化のために多大なコストがかかっていくと推測されるからです。もしかすると、大手銀行などによる仮想通貨業界の買収等もあるかもしれません。

今後は、慎重な会社、金融庁とうまく付き合える会社が残っていくでしょう。しかし、それで本当にイノベーションは進んでいくのでしょうか。フィンテックは、金融という特殊性から、一般のベンチャーよりもはるかに難しい会社運営を迫られることになりそうです。

まとめ

今回の仮想通貨の一斉立ち入り検査では、7社が行政処分を受けました。そのうち2社は、より重い処分である、業務停止命令を出されています。

主な理由としては、内部監査に問題があることと、従業員のモラルに問題あると判断されたことでした。

金融庁は、今、大きな施策として、国民に長期投資を勧める方向にあります。その中で、顧客保護ができていなかったり、内部監査ができていないというのは、長期投資とは逆行する動きになるため、今回のような大きな処分に踏み切ったと言えるでしょう。

今後、内部監査コストの増加などにより、仮想通貨業者は、淘汰が進むと考えられます。もしかすると、メガバンクなどによる買収もあるかもしれません。フィンテック企業は、これまで以上に、難しい会社運営を迫られることになるでしょう。

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