シーゲル流投資「株式投資の未来」を解説【米国株投資家のバイブル】

株式投資の未来

前回は、シーゲル流投資について、その提案者であるジェレミー・シーゲル氏と、彼の著作である「株式投資」について説明をしました。

前回の記事⇒シーゲル流投資とは何か?メリットは?「株式投資」について簡単解説

ジェレミー・シーゲル氏は、経済学や金融が専攻の大学教授です。

彼は、「株式投資」と、「株式投資の未来」という著書を残しています。

これらは、米国株投資家のバイブルとしてよく知られています。

株式投資は、通称、緑本と呼ばれています。株式投資の要点をまとめると、株式は長期投資に向いているということ、株式と債券は逆相関を示すこと、低PERで配当が高い株は高いリターンを表すこと、そして、確固たる投資戦略を持つことの重要性を説いています。

今回紹介する、「株式投資の未来」は、「株式投資」の続編で、通称赤本と呼ばれています。

日本の投資家には、こちらのほうが人気が高いようです。どういった内容なのか、そして、シーゲル流投資について、解説したいと思います。

「株式投資の未来」簡単解説

では、株式投資の未来についても、要点を簡単に解説しましょう。

成長の罠

株式投資の未来で、最も重要な単語は、「成長の罠」です。

成長の罠とは、グロース株と、低成長高配当株を比較して、グロース株は、低成長高配当株に比べて、一見大きな利益をもたらすように見えます。しかし、実際は、低成長高配当株のほうが、高いリターンをもたらしているのです。

この事実を、シーゲル氏は、IBMとスタンダード・オイル(今のエクソン・モービル)を使って説明しています。今でこそIBMは高配当株として知られていますが、当時はグロース株の筆頭でした。

そのIBMと、いまでも高配当株として知られている、スタンダード・オイルの、1950年~2003年の長期パフォーマンスを比較した結果、IBMの平均リターンが13.83%だったのに対し、スタンダード・オイルは14.42%と、エクソンモービルのリターンが上回っていたのです。

この背景を、シーゲル氏は、「成長の罠」という言葉で説明しています。

IBMは、成長株である分、投資家が過度な期待を寄せるため、割高になってしまうのです。一方、定期的にインカムを生む高配当株は、成長に対する期待値が低く、また、配当が複利効果を生むことから、結果的に高いリターンをもたらすということです。この「成長の罠」こそが、株式投資の未来で最もよく知られたフレーズと言ってよいでしょう。

国際分散投資が重要

成長の罠ばかりに目がいくのですが、シーゲル氏は、国際分散投資の重要性をも説いています。

株式投資の未来は、米国人向けに書かれたものであり、アメリカ人は、どうしても自国の株式ばかりに目がいきがちなことから、それ以外の国を重視することの重要性を説いています。

具体的には、米国:非米国=3:2の割合で投資することを勧めています。特に、個別株のリスクを避けるために、半数程度はインデックスファンドにすべきと説いています。

シーゲル氏は、理想的なポートフォリオとして、上記の割合で世界に分散投資を行うワールド・インデックスを5割、補完的な戦略として、高配当やセクター・バリュー株などをリターン戦略として5割程度持つことを推奨しています。

配当再投資戦略

シーゲル氏は、配当こそが最もよい株主還元であると言われています。自社株買いやストックオプションよりも、安定して株主に利益をもたらすこと、そして、配当再投資が複利効果を生かせるということを、データを用いて説明しています。また、配当が支えとなり、下落相場に強いということを説明しています。

適切なバリエーションに投資する

シーゲル氏は、IPOや人気銘柄には懐疑的です。なぜならば、これらの銘柄は、多くの投資家が期待を寄せています。そのため、実態以上に高いバリエーションをつけることが多く、長期的には高いパフォーマンスをもたらさないと述べています。個別銘柄であれ、セクターであれ、多くの人が有望と考えているうちは、買うべきではないと説明しているのです。

この他にも、株式投資の未来では、株式投資と同様に、株式投資の有効性や、長期投資の重要性を説いています。本質は同じですが、より具体的なセクターや銘柄に踏み込んでいる、という点では、株式投資の未来のほうが、実践的で、投資家にとっても触れやすい書籍であるといえるでしょう。

まとめ

株式投資」の続編である、「株式投資の未来」は、成長の罠をベースに、低成長高配当バリュー銘柄に投資し、配当再投資を行って複利効果を最大限活用することの重要性について説明しています。

多くの投資家は、株式投資の未来を読んだうえで、バリュー株投資を行っています。それほどに、この「株式投資の未来」は、多くの投資家に支持されているのです。

次回は、これらのエッセンスを踏まえ、「シーゲル流投資とは何か」ということと、そのメリット、デメリットについて、解説していきたいと思います。

日本における「シーゲル流投資」とは?シーゲル推薦のポートフォリオとの違い

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