SBI証券の米国株式・ETF定期買付サービスについて検証しました
サラリーマン投資家のメリットは、毎月、給与で得たお金を投資に回せるということです。
逆にいえば、専業投資家ほど時間もなく、そもそもの元金が多い人も少ないので、毎月の給与から投資資金を捻出するということは非常に重要です。
しかし、毎月、決まった金額を投資するのは、実は、簡単なことではありません。支出は不安定ですし、何より強い意志が必要だからです。
そういった人のためにあるサービスが、「定期買付サービス」になります。保険や定期預金なども、この定期買付サービスの一環になるでしょう。
SBI証券では、2018年3月から、米国株・ETFの定期買付サービスというサービスを提供しています。
今回は、この「米国株・ETF定期買付サービス」について、メリットや使い方について、解説したいと思います。
Contents
SBI証券の「米国株・ETF定期買付サービス」とは?
まずは、SBI証券の「米国株・ETF定期買付サービス」の概要について解説しましょう。
このサービスは、SBI証券で買付可能な、NYSEおよびNASDAQに上場する株式およびETFを、毎月決まった日に買付を行うサービスになります。NYSE、NASDAQのいずれかに上場していればよいので、ADR(NYSEに上場している外国株)も対象になります。
毎月給料日直後に投資したい人たちや、雇用統計など、米国の大きな経済イベントの後に投資したい人たちにおすすめのサービスとなっています。
米国株・ETF定期買付サービスの特徴は?
サービスの特徴として、下記のようなものが挙げられます。
一般預かり、特定預かりどちらにも対応
特定口座にも対応しています。特定口座の場合、税務の処理を基本的に証券会社でやってくれるため、手間がかからないのがメリットの1つになります。
金額指定、株数指定どちらでも可能
金額指定(毎月●●円分購入する)、または、株数指定(毎月●●株分購入する)の両方を選ぶことができます。金額の場合は、指定された金額の範囲内で最大限株式を購入します。また、円貨決済、外貨決済どちらを選ぶことも可能です。
ボーナス月には投資額を増やすこともできる。
サラリーマンであれば、ボーナスがある人も多いでしょう。ボーナスは、投資にまわしたい、そう考えている人も多いのではないでしょうか。ボーナス月コースの場合は、株数指定でしか買うことができませんが、年2回、日付指定した日時に、自動で買付を行ってくれます。
どうやって米国株・ETF定期買付サービスを活用すればよい?使い方・注文方法
では、実際の画面を見てみましょう。
まずはSBI証券の口座を開設します。
⇒SBI証券の口座開設はこちら
次にログイン後、右下の「外国株式」をクリックします。
外国株のページに行って、上部の取引をクリックします。
その後、米国を選び(デフォルトで米国になっています。)、その下の「定期買付」をクリックします。
銘柄を選び、検索ボタンを押します。
今回は、海外ETFのVTIを検索してみます。(参考:海外ETFで人気のVTIの魅力について【VOOとリターンを比較】)
こういう画面になります。預かり区分で、「特定預かり」を選択します。
よっぽど自分で確定申告等をしたい方でなければ、基本的には特定預かりで問題ないと思います。
買付日を選択します。今回は、「日付指定コース」で、毎月1日に購入することにします。
買付方法・金額を設定します。今回は、金額指定で、外貨決済を指定します。毎月1000ドルを投資するとします。概算シミュレートをクリックすると、どれくらい手数料がかかって、毎月何株くらい買えるのかをシミュレートしてくれます。
この場合、毎月6口買えるというシミュレーションになっています。
最後に、ボーナス月コースを設定できます。年2回の買付日、および設定株数を決定します。
最後にパスワードを入れて、設定確認をした後、設定完了となり、翌取引日から自動的に買付が始まります。
米国株式・ETF定期買付サービスは使えるのか?メリットは?
ここまで、外国株定期買付サービスについて、概要を説明してきました。
ここからは、このサービスが、本当に使えるサービスなのか、そして、どのように使えばいいのかについて、解説していきたいと思います。
個人的には、サラリーマン投資家にとっては、使い方は少し難しいな、と感じています。
しかし、正しく使うことができれば、手間はかからず、いいサービスであるといえるでしょう。
外国株積み立てのメリットは?
まずは、メリットから解説したいと思います。なんといってもメリットは、毎月決まった銘柄に投資が自動的にできる、というところです。
特に、日本円で決済するのであれば、毎月口座に入金するだけで、外国株を買うことができるのです。ついつい毎月の株の購入を忘れてしまう、といったミスを防ぐことができます。
さらに、もう1つ、メリットとしては、ドルコスト平均法によってリスクを分散させることができる点です。(ただし、金額指定で定期買付をした場合)
同じ金額を毎月投資するため、株価が高いときには少ない株数を、株価が安いときには多い株数を買うことになります。そうすると、定期的に同じ株数を買うよりも、安いコストで株を買うことができるのです。
株やETFは当然上がったり下がったりがあります。そのため、安値で買って高値で売ることが望ましいですが、株価の上下を予想することは、プロでも難しく、ましてや我々サラリーマン投資家が予想するのは、ただのカンでしかありません。
しかし、このドルコスト平均法であれば、高い時期は少なく、安い時期に多く買うことができます。アメリカの株式市場は、歴史的に、長期で見れば右肩上がりで成長してきました。長期でみれば上がる株式の場合、このドルコスト平均法による買付は有効だと言えるでしょう。それが自動でできるのは、意外と大きいメリットかもしれません。
外国株積み立てのデメリットは?
デメリットについても解説したいと思います。とはいえ、本質的なデメリットというのはありません。
しかし、注意すべきことはあります。
それは、この、定期買付サービスが、少なくとも各銘柄、月に1度以上買わないといけないということです。
これが、普通のサラリーマン投資家が行うには、結構難しいのではないかと考えています。
外国株の場合、手数料がかかります。具体的には、1回の取引で、最低でも5ドルはかかってきます。
そうなると、あまりに少額の投資というのは、手数料の割合が高くなるので、個人的にはおすすめしません。通常の利率は0.45%なので、それを考慮すると、1回の取引で1000ドルは投資したいところです。日本円にして約11万円になります。
毎月11万円というのは、サラリーマン投資家として、まあなんとか捻出できる金額ではないでしょうか。
しかし、これは、「1つの銘柄」に関して、毎月11万円かかるということなのです。
たとえばアマゾン株にだけ投資したい、だから毎月11万円ずつアマゾン株だけを買う、というケースでしたら、この定期買付サービスは、非常に有効でしょう。
しかし、多くの場合、投資家は、一つのかごに卵を盛るな、の格言通り、たとえば米国株であっても、一般的には複数銘柄に投資して、リスクを分散させるものです。
たとえば5銘柄に分散投資をしたとしましょう。(5銘柄であっても、分散させるには数が少ないと思いますが…)そうした場合、それぞれの銘柄で11万円ずつ、毎月投資するとなると、月の投資総額は55万円になります。
サラリーマン投資家で、ここまでの金額を毎月投資資金として用意するのは、なかなか難しいものがあるのではないでしょうか。これが10銘柄だと110万円になります。
一方で、毎月1万円分だけ投資すればよいじゃないか、という声もありますが、仮に1銘柄1万円の積み立て投資だとすると、手数料が約5%かかる計算になります。
投資で成功するための法則として、投資にかかるコストはできるだけ少なくすることが重要だと言われています。コストが5%もかかっていては、リターンが小さくなってしまい、ドルコスト平均法で得ることができるメリットより、デメリットのほうが大きくなってしまいます。
金額が小さいとコストがかかってしまう、金額が大きいと資金が用意できなくなってしまう、そういったジレンマがあります。特に個別株の場合は、この、定期買付サービスを利用するのは、なかなか難しいのではないでしょうか。
リバランスができない
また、もう1点、定期買付サービスでは賄えないことがあります。それが、リバランスです。
投資を行う際は、それぞれの銘柄の役割を考え、それぞれの保有割合を決めることが多いです。
しかし、投資を続けると、ある銘柄は上がり、ある銘柄は下がり、ということがよくあります。そうなると、保有割合が崩れてきます。これを修正することをリバランスといいます。
定期買付サービスの場合、こういったリバランスは考慮されていません。リバランスを行わないと、リスクの分散効果が低くなります。リバランスを修正するために、定期買付サービスと手動売買を組み合わせるということも考えられますが、それだと、もはや定期買付サービスのメリットがなくなってしまいます。
リバランスの観点からも、複数銘柄を保有する場合、定期買付サービスを使うのは難しいかもしれません。
SBI証券が手掛ける「米国株・ETF定期買付サービス」は使えるツール? まとめ
米国株・ETF定期買付サービスは、毎月、決まった金額、または決まった株数を定期的に購入してくれるサービスになります。毎月決まった額を投資したい、投資をもれなく機械的にやりたい、という方にお勧めです。
メリットとしては、買い忘れなどを防げることに加え、ドルコスト平均法でリスクを低減できるということがあります。しかし、買付手数料を考えると、サラリーマン投資家が積み立てできる銘柄は、せいぜい1~2銘柄に絞られます。
しかし、個別株投資の場合、それでは分散投資とはいえません。さらに、リバランスができないという問題もあります。
米国株・ETF定期買付サービスは、VTやVTI・SPYなど、幅広いインデックスファンドだけを買い続けるというような投資スタイルの人には、ぴったりのサービスになります。しかし、個別株の複数銘柄に投資するようなスタイルであれば、無理に使う必要はないかもしれません。
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