ここまで、金についていくつか解説してきました。原油・株・為替が不安定な中、好調な金は魅力的に見えます。
今後も、インフレなどによりさらなる上昇が期待できることから、金をポートフォリオに加えようと考えた人も多いのではないでしょうか。
今回は、そういった金投資について、どうやって始めればよいか、どんな種類があるかについて解説したいと思います。
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金に投資できる手段は実は結構多い?
金に投資したい、と思って、投資を検討しはじめると、実はある悩みにぶち当たることが多いかもしれません。
それは、「いったいどの資産に投資すればよいのか」という話です。
他の資産と最も異なる点が、金は現物に投資できるという点です。
他の商品は現物投資が基本的にはできません。原油を個人で持っている人はいないでしょう。
しかし、金を持っている人は、意外と多いのではないでしょうか。宝石や時計などで使われている金も、宝飾店等で買い取りして現金化することもできるのです。
このように、金への投資は、その特徴をしっかりと理解して、自分にあった投資を行うことをお勧めします。
金の現物に投資する方法は?
まず最初に、現物投資から紹介しましょう。現物投資は、金ならではの投資スタイルになります。現物投資にも、いくつかの投資手段があります。代表的なものを紹介しましょう。
金地金投資
金と聞いて、金の延べ棒を思い浮かべる人も多いのではないでしょうか。それがいわゆる金地金になります。またはインゴット(金塊)とも呼ばれます。基本的には長方形のベーシックな形をしていますが、中には装飾が施されたものもあります。
金地金には必ず刻印がされています。金地金によって刻印されている表示は違い、金地金の買い取りを行う際には必ず刻印がチェックされます。刻印には金塊番号と呼ばれるナンバーの他、重量表示や商標などが刻印されています。
金地金には様々な重さのものがあり、全部で10種類の重さが存在します。最も一般的なものが1㎏のものになり、そこからだんだん軽くなっていきます。最も軽いのは1gになります。よく取引で使われるのは1㎏および100gになります。
金貨
金貨も投資対象として扱うことができます。金貨には2種類あり、投資用として発行される地金型金貨と、記念硬貨やアンティーク金貨などの収集型金貨と投資用として発行される地金型金貨があります。収集型金貨も投資対象になり得るのですが、これはどちらかというとワイン投資や絵画投資に近い側面があるので、ここでは地金型金貨について解説します。
地金型金貨は金価格をベースとして、製造費などのプレミアムを上乗せした金額で取引されるものです。政府が発効しており、その政府が金貨の品質を保証しています。
金地金にせよ金貨にせよ、現物を保管するコストが発生することに加え、一般的に取引手数料も割高なケースが多いです。現物を持てる安心感はありますが、投資としてはあまりおすすめはできません。
純金積み立て
純金積み立ては、毎月一定金額を金に変え、投資するという手法になります。銀行や地金商などでサービスが提供されています。基本的にはその時の相場に合わせて金を買い、保管もしてもらう、という考え方になります。
現物に比べて、毎月一定の金額で投資ができる(地物の場合はグラム数が決まっているため定額投資は不可能)ことに加えて、小額から始めることができるという点がメリットになります。一方で、保管コストは会費という形などで支払わなければいけないというデメリットもあります。
CFD(差金決済取引)、金先物
原油のところでも紹介したCFDは、金投資においても有効です。
こちらは原油同様、現物を持たずに、買った価格と売った価格の差額がそのまま利益、損失になります。また、金額は大きくなりますが、先物投資も可能です。
証拠金という形で取引を行えるため、レバレッジがかけやすい反面、損失も大きくなりやすいというリスクがあります。ある程度リスクをとって、小額ではじめたいという人には、CFDはおすすめかもしれませんね。
金関連の投資信託
普段、投資信託を活用して投資している人は、投資信託を活用した金投資が、手ごろで始めやすいかもしれません。
金をテーマとした投資信託は、各社が設定しています。主なものを紹介しましょう。
三菱UFJ 純金ファンド(愛称:ファインゴールド)
三菱UFJ 純金ファンドは、三菱UFJ国際投信が設定している投資信託になります。
「純金上場信託(現物国内保管型)」(愛称:金の果実)を主要な投資対象としており、国内の取引所における金価格の値動きをとらえることを目指しています。
国内の金価格の動きに連動するため、外貨建て資産への投資は行っておらず、為替ヘッジは行っていません。
ピクテ・ゴールド
ピクテ・ゴールドは、米ドル建ての金価格の値動きをとらえることが目的の投資信託です。実質的に米ドル建ての金価格の動きに連動するように設計されていますが、こちらは為替ヘッジを行っているため、為替リスクはある程度抑えることができます。
ステートストリート・ゴールドファンド(為替ヘッジあり)
世界最大の金のETF(上場投資信託)である「SPDR(スパイダー) ゴールド・シェア」に主に投資する投資信託です。
こちらのファンドは、ゴールド以外にも、日本の短期公社債などに投資する「ステート・ストリート短期国債マザーファンド」も投資対象としており、単純なゴールド投資とはいえないかもしれません。こちらも為替ヘッジがされています。
金先物ETFは?
一方で、ETFには、どのようなものがあるのでしょうか。こちらも代表的なものを紹介しましょう。
ETFS金上場投資信託(1672)
こちらは金地金の現物に投資し、金の価格との連動を目指すETFになります。金の現物の裏付けがあるETFとなっています。信託報酬の安さも魅力となっています。
One ETF 国内金先物(1683)
「One ETF 国内金先物」は、東京商品取引所(TOCOM)金先物の期先限月の清算値が連動指標の金ETFです。こちらはこれまで紹介した投資信託・ETFと異なり、先物が連動指標になっていることに注意が必要です。そのため、若干金価格とはズレが生じる可能性があります。
SPDR ゴールド・シェア(GLD)
こちらは米国で上場している金のETFです。金の現物価格に連動するよう設計されたETFになります。信託報酬も比較的安いので、ドルで金に投資したいのであれば、おすすめのETFになります。
金鉱株への投資は?
金を投資する上でもう1つ欠かせないのが、金鉱株への投資です。
原油におけるエネルギー関連企業への投資と似たようなものになりますが、金鉱株は、より金価格の影響がそのまま株価に反映されることが多くあります。
また、慢性的に赤字になりやすいという構造上、価格の動きも大きく、よりリスクをとりたい、という人向けだと言えるでしょう。
金鉱株単体への投資
日本では、産金会社は現在上場していません。しかし、海外では、いくつか上場している企業があります。
有名なところでいうと、売上高が最大手のバリックゴールド(GOLD)、ニューモント(NEM)になります。
また、小型株では、エルドラド・ゴールド(EGO)やロイヤルゴールド(RGLD)などがあるでしょう。
基本的に規模が大きければ大きいほど利益が出やすい体質の業界であり、そのため、小型株の方が、値動きが激しい傾向にあります。
金鉱株ETFへの投資
こういった金鉱株を集めたETFというのも存在します。代表的なものは、ヴァンベック・ベクトル金鉱株ETF(GDX)で、すべてのサイズの金鉱株に投資するETFになります。
この他にも、中小型株に特化したヴァンベック・ベクトル中小型金鉱株ETF(GDXJ)や、2倍のレバレッジをかけたディレクション・デイリー・ゴールド・マイナーズ(NUGT)などを通じても、金鉱株に投資は可能です。
結局、おすすめの金投資は?
では、結局、どの投資がおすすめなのでしょうか。比較してみましょう。
投資手法 | メリット | デメリット | おすすめ |
金現物(地金・金貨) | 現物の裏付けがある | ある程度まとまった額が必要 コストが高い 保管場所等のリスクがある |
× |
純金積み立て | 小額投資が可能 現物の裏付けがある |
コストがやや高い | △ |
CFD | 小額投資が可能 レバレッジが効く |
ロスカット等がある | 〇 |
投資信託・ETF | 小額投資が可能 株と同じように取引できる |
値動きが小さいものが多い | 〇 |
金鉱株 | ボラティリティが大きく、高いリターンを得れることも 株と同じように取引できる |
値動きが大きい | 〇 |
個人的には、CFD、投資信託・ETF、金鉱株のいずれかがおすすめになります。
この3つだと、リスクが低い順番に投資信託・ETF>金鉱株>CFDとなります。
この3つのうち、自分のリスク許容度に合わせて投資をするのが、金投資においてはベターだと言えるのではないでしょうか。(私は金鉱株ETFが今はメインです。)
まとめ
金の投資方法は、金現物から、金鉱株まで、主に5つのパターンがあります。それぞれのパターンで複数の商品があるので、なかなか何を買えばいいかわからない、という人も多いでしょう。
基本的には、投資信託・ETF、金鉱株、CFDのいずれかがコスト的に優れており、私はこれらをお勧めします。この中でどれを選ぶかは、自分のリスク許容度に合わせて考えるとよいのではないでしょうか。
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