史上最安値を更新したトルコリラの暴落理由とは?買いのチャンスか?

トルコリラチャート

株や原油が不安定な相場が続いています。経済指標が悪化したにもかかわらず、株価が騰がるなど、方向感のない相場で、投資するタイミングを見失っている投資家も多いのではないでしょうか。

ただ、逆にいえば、こういったボラティリティの高い相場は、高いリターンを得るチャンスであるともいえます。

今回は、こういった相場の中で、ひっそりと史上最安値を更新した、トルコリラについて、なぜ史上最安値を更新したのか、そして今後の見通しはどうなのかについて、解説していきたいと思います。

トルコリラが史上最安値を更新。現在はいったん反発

トルコリラが5月7日、史上最安値を更新しました。一時1トルコリラ=14.624円と15円を割ったのです。

その後は少し回復傾向にあり、5月15日現在では15.5円前後まで回復しています。

トルコリラチャート

(出所:みんかぶFX )

2018年に一度大きく下げたトルコリラでしたが、しばらくは回復し、1トルコリラ=19円前後で推移していました。

しかし、2020年1月ごろよりトルコリラは再度下落傾向に入り、この5月7日、最安値を更新した形になっています。

今後、経済や金利の見通し次第では、さらにトルコリラ安が進んでも、不思議ではないと言えるでしょう。

トルコリラチャート

(出所:みんかぶFX

トルコリラ安を招いた3つの要因とは?

では、ここにきて、なぜトルコリラ安が進んでいるのでしょうか。主な理由を解説します。

度重なる利下げによる通貨安

まず1つの理由として挙げられるのが、度重なる利下げです。トルコ中銀は、中銀の会合のたびに利下げをしており、現在、8会合連続で利下げをしている状況です。

利下げの理由は、物価上昇率の鈍化や、コロナウイルスに伴う経済対策等です。

もともと、トルコは高いインフレ(約12%と言われています。)に見舞われており、金利がそのラインを下回ると、実質的にはマイナス金利ということになります。

一方で、下記のデータのように、トルコ中銀は政策金利を24%から8.75%まで下げています。

一般的に、利下げというのは、その通貨からの資金の流出、つまり通貨安を招く恐れがあります。この度重なる利下げは、間違いなく、トルコリラ安の大きな一因であると言えるでしょう。

トルコリラ政策金利推移
(出所:みんかぶFX )

コロナウイルスによる新興国通貨安

もう1つの大きな理由が、コロナウイルスによる新興国通貨安です。

新興国への融資や投資は、先進国にくべて、様々なリスクが伴います。そのため、資金の出し手は慎重になるのが普通です。

そして、融資や投資を回収するフェーズになると、先進国より利回りが高いにもかかわらず、資金の引き上げは新興国から行われます。その場合、ドル通貨が引き上げられるため、相対的に、ドルの価値があがり、新興国通貨の価値は下がります。

今回、コロナウイルスで、世界経済の成長は停滞しています。トルコの感染者数は14万人を超えており、世界でも有数の感染者数の多さになっています。

また、それに伴う経済停滞も大きく、結果、トルコから資金流入が起き、トルコリラ安になっていることが考えられます。

外貨準備高の減少

また、トルコの持つ外貨準備高の減少も、背景の1つになっていうと考えられます。

外貨準備高そのものは為替市場にインパクトを与えることは少ないものの、外貨準備高が少ないと、トルコリラ安が起きた時に、中銀がトルコリラを買い支えることができなくなります。

結果、塚防衛策がとれず、仕手等によって大きく通過が下げる可能性があります。そういった不安がさらなる通貨安を呼ぶことは不思議ではないでしょう。

トルコリラの今後の見通しは?

では、トルコリラは、今後、さらに下げていくのでしょうか、それともここから少し値を戻すのでしょうか。私は、さらに下げる可能性があるとみています。

1つはコロナウイルスです。まだコロナウイルスの経済的インパクトは出きったとは言い切れません。

また、経済政策のための利下げや金融緩和は、トルコの信用力からすると、さらなるトルコリラ安を招く可能性もあります。この点から、トルコリラ高に動くことは考えづらく、さらなるトルコリラ安に注意する必要があります。

もう1つは、トルコの金融政策がうまくいっていないことです。10%を超えるインフレ率、24%から1年足らずで9%未満に下がる政策金利、中銀の独立性の問題など、トルコリラはコロナ以外にも多くの問題を抱えています。

これらにコロナウイルスによる新興国通貨安が引き起こされると、最悪の場合デフォルトもありえるのではないでしょうか。

少なくとも、中長期目線では、売りの目線を持った方がよいかと思われます。

まとめ

史上最安値を更新したトルコリラ。これまでの不安定な金融政策に、コロナショックが輪をかけた形での最安値更新だと言えるでしょう。

そして、コロナの影響が全くなくなったわけではなく、さらに、金融政策も抜本的な解決がされていない以上、投資対象としては魅力的ではありません。中長期で見れば、今は売り目線であると言えるでしょう。

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