前回の記事では、中間選挙の予想と結果、それを受けた、アメリカの今後予想される行動について書きました。
前回の記事⇒アメリカ中間選挙の結果と今後の政権運営【ねじれ議会と対立必至】
今回、予想が難しかった中間選挙ですが、上院が共和党、下院は民主党が勝利しました。
これにより、ねじれ議会が続くことになります。アメリカは大統領権限が強いため、日本のように政治が止まることはないと思いますが、トランプ大統領の目が、大統領の権限が強い外交に向かう可能性があり、これまで以上に、日米関係、米中関係を注視する必要があるでしょう。
今回は、この中間選挙を受けて、株価、為替はどう動くかについて、解説したいと思います。
米国の株価は上昇する傾向が強い?一般的な中間選挙の傾向は?
まず、米国の株価を考慮するうえで、注目したいのは、「中間選挙のアノマリー」です。
アノマリーとは、「理屈が通っているわけではないが、なぜかそういう傾向が見える」ことを指します。中間選挙の後は、株価が特徴的な動きをすることが多いのです。
どういう動きかというと、米国株は、上がることが多いです。大統領選に向け、景気刺激策を行うからだ、とか、さまざまな理由が考えられます。いずれも株価に直接影響しているかどうかはわからないのですが、こういった要因が絡み合うことで、株価が上がっていくのでしょう。
また、投資の格言として、「セルインメイ」という言葉があります。
これは、10月、11月に株を買って、5月に売れというアノマリーです。実際、過去の傾向を見ても、10月から4月にかけては上がる傾向にあるのです。以下、過去20年の、日経平均およびNYダウの騰落率になります。
11~12月、3月~4月が、比較的上がりやすい傾向にあるのがわかるのではないでしょうか。ちなみに、日経平均も同様の傾向になることが、下記のグラフを見るとわかるのではないでしょうか。
(出所:ラジオ日経 )
では、今年の株価はどうなるのか?
では、上記のアノマリーを含めて、今年の株価がどのようになるかを、予想したいと思います。
結論から言うと、来年は、上昇相場になる傾向が強いと思います。なぜならば、アノマリーから見ても、上昇基調なのに対し、ねじれの議会が影響するのではないかと考えるからです。
中間選挙を終えたトランプ大統領の次のターゲットは、2020年の大統領選挙です。この選挙に照準を合わせて、さまざまな施策を売ってくることが考えられます。
しかしながら、下院は民主党が過半数を握っているため、国内での政策は難しくなることが予想されます。
そのため、トランプ大統領は、得意分野である外交と経済に、注力すると考えられます。思えば2016年に彼が当選したときも、株価は上昇しました。そしてそれを彼は成果としています。
経済をよくし、株価を上げることが、アメリカ大統領としての仕事と考えているでしょう。そのため、大規模な景気刺激策をしてでも、株価を上げてくるのではないでしょうか。また、例年、大統領選挙の前の年は、株価が上がりやすい傾向があります。
為替の動きはどうなる?
一方、為替の動きはどうなるでしょうか。こちらも少し予想してみましょう。
ただし、為替の動きの予想は難しいものがあります。なぜならば、トランプ大統領が、為替に対する態度を決めていないからです。
トランプ大統領は、過去、ドル高を容認したかと思えば、ドル安に誘導するような発言もありました。
基本的に、トランプ大統領の支持者は、アメリカの工業地帯に多く、彼らはアメリカで製造業を営んでいる人がメインです。そういう人たちから見ると、ドル安のほうが、雇用が生まれるので、ドル安を好む傾向があります。
しかし、逆に、投資をしている金融機関やITの会社から見ると、ドル高が望ましい傾向があります。為替は、アメリカにとっても、どちらに転べばいいというわけではないのです。
しかし、ひとつだけ言えることは、ボラティリティが高くなる可能性があるということです。トランプ大統領が、積極的な行動をとればとるほど、為替にもインパクトを与えます。それが、高い方向にいくか、安い方向にいくはわかりません。
(個人的には、ジグザグが大きくなりながら、やや円安になると考えています。)
しかし、ボラティリティが高くなることは、覚悟しておいた方がいいかもしれませんね。
まとめ
中間選挙が終わったあと、見るべきポイントは主に2つあると考えています。
1つは、アノマリー、通常中間選挙後はどう動くかについてです。通常であれば、10~4月にかけて株価は上昇します。もう1つは、トランプ大統領ならではの動向です。トランプ大統領は、ねじれ議会もあり、自分の得意分野である、経済と外交に力を入れるでしょう。
これは米国株においては、プラスに働く傾向が強いと考えます。そういう観点でいうと、米国株は、今は、「買い」の時期でしょう。しかし、為替については、どちらに転ぶかわかりません。ただ、ボラティリティが高くなることは想定されます。いずれにせよ、こういう動向を見ながら、慎重に投資していくことが、重要かもしれません。
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