イランとアメリカの戦争は本当に売り?投資家にどういう影響がある?今後の見通し

お久しぶりです。投資家のkzです。

アメリカとイランの関係がきなくさくなっています。年初にアメリカがイランのスレイマニ長官を殺害し、イランがジハードの旗を掲げたことで、両国の間で戦争が起こるのではないかと騒がれています。戦争が始まるとなれば、世界の情勢は不安定になります。

その時、投資家はどのようにアクションをとればよいのでしょうか。過去の経験から見てみましょう。

アメリカとイランの緊張状態は続く

まず、アメリカとイランの間に何が起こっているか、簡単に整理しましょう。

最初にアクションをとったのはアメリカです。アメリカは2020年1月3日に、イランの革命防衛隊のスレイマニ長官をミサイルで殺害しました。

スレイマニ長官が率いる革命防衛隊というのは、中東全域で対外工作を行う部隊になり、スレイマニ長官はその指導者、米国でいえばCIA長官のような存在になります。アメリカからはテロリストとして認定されていますが、反アメリカからは強い支持がありました。

そのスレイマニ長官の殺害を受けて、イランの最高指導者であるハメネイ氏は、すぐさま米国への報復を示唆し、報復を意味するジハードの赤旗もモスクに掲げられました。

実際、イラクの首都バグダッドのアメリカ大使館周辺にロケットが撃ち込まれるなど、緊張が高まっています。まだ、お互いに宣戦布告を正式に行ったわけではないですが、今後、アメリカとイラクの戦争のような、大型の軍事行動が行われる可能性もあるのです。世界的には、余談を許さない状況であるといえるでしょう。

緊張の高まりを受けて、株価、為替は反応

では、この緊張を受けて、市場はどのように反応しているのでしょうか。主な指標を見てみましょう。

まず初めに、米国のS&P500のチャートを見てみましょう。


(出所:楽天証券 )

S&P500は、年末に向け上昇基調にありました。2020年に入り、1月2日に上々のスタートを見せたものの、3日には2日の上昇分を戻すような動きを見せています。


(出所:楽天証券 )

為替についても、年末にドル高方向に動いていたものが、年始には円高に動いており、一時1ドル107円を記録しました。このように、アメリカのニュースを受けて、為替も株式も、リスク回避に動いています。


(出所:楽天証券 )

原油についても、2019年は年末にかけて上昇基調にありました。1月3日には、株式とは逆の動きを見せて、さらに値上がりしています。中東情勢が悪化すると、原油の供給が限定される可能性があるからです。

緊張の高まりは、長期的に株価にどのような影響を与えるのか?

短期的には、今後の報道および両国のアクション次第で、さらにリスク回避の行動がとられることが予測されます。

では、中期的、長期的に見て、この緊張の高まりは、株式市場にどのような影響を与えるのでしょうか。過去の紛争の時のデータをもとに解説します。

紛争は株価には短期的影響しか与えない?

まずは、株価を見てみましょう。S&P500の超長期のチャートから見てみましょう、


(出所:Yahoo! Finance

小さな赤い丸を2つ打ちました。こちら、左側の丸がアメリカのアフガニスタンとの戦争(2001年10月)、右側の丸がアメリカとイラクの戦争(2003年3月)が始まったタイミングになります。

長期的に見ると、2001年10月からは右肩下がりに、2003年からは右肩上がりになっていることがわかります。

しかし、2001年当初は、ITバブルが崩壊した直後であったことを思い出してください。ITバブル崩壊の余波は、2003年ごろまで続いていました。そこから2008年のリーマンショックまで、米国株は右肩あがりを続けているのです。

紛争が起きたからといって、中期的、長期的には、市場は反応していないと言えるでしょう。

為替の見通し:どちらにふれるかは、その時の相場次第

 


(出所:Yahoo! Finance

こちらは2001年の時からは円安に、2003年の時からは円高に動いています。

しかしながら、ドル円は過去75円~140円のレンジを上下に動いてきた相場であり、紛争が直接的に為替に影響を及ぼしているとは言い難いです。(2019年1月にも、一時的に105円を割るシーンがありました。)

2019年の為替相場が非常に落ち着いており、現在はここから円高、円安どちらに振れるかは非常に予想しづらい状況だといえます。

原油価格の見通し:一時的には価格の増加が期待できる?


(出所:楽天証券

最後に石油を見てみましょう。石油は2001年より、2007年まで基本的には右肩上がりになっています。過去は中東情勢が価格に影響を及ぼしていましたが、現在はアメリカやベネズエラ、ノルウェーなど、中東以外にも産油国があるので、原油価格の決定ロジックは複雑化しています。こちらも、簡単に手を出すと、痛い目にあう可能性があることは、理解しておくとよいでしょう。

イランとアメリカの緊張増加は、投資のチャンスともいえる。

短期的に株安、円高、原油高に動いている相場ですが、過去のチャートに学ぶと、株、為替ともにほとんど影響を受けず、また、原油も複雑な動きをしていく可能性が高いといえそうです。

その観点でいけば、現在、一時的に株が下がっているのは買い時で、為替と原油については、しばらく様子見というのが、賢い投資行動だといえるでしょう。短期的な動きに流されず、長期的な視点からも情勢を見てみることをお勧めします。

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