配当利回り3%超と高く、連続増配年数が10年以上の日本株銘柄に投資する戦略

前回の記事では、2019年に5%利回りを目指すために、どのように考えていけばよいのかについて解説しました。

前回の記事⇒年利5%が可能な投資法を考えてみる。

2018年相場がマイナスのパフォーマンスだったこともあり、慎重になっている人は多いと思います。

しかし、長期投資という観点では、安い時に買うことができるというのは大きなチャンスになります。

とはいえ、やはりマイナスになる投資はしたくない、というのが一般的な考え方でしょう。

そこで、5%利回りを目指す方法として、実現利益を出していく、つまり、配当や分配金である程度利益を稼ぐ方法を推奨しました。

利益というのは確定させない限り利益にはなりませんし、逆にいえば損失も確定させない限りは損失にはならないからです。

5%利回りを目指すのであれば、この実現利益、特にインカムゲインをうまく使っていくのも1つの方法かもしれません。インカムゲインだけで5%を超える銘柄というのも、探せば結構あります。

さらに、必ずしも5%でなくても、一部をインカムゲインにすることで、特に下げ相場では、心理的な安心感が出てきます。

というわけで、今回から、利回り5%を目指すために、適した投資について紹介していきたいと思います。第一回は、きっとすべての投資家に最もなじみがある、日本株から紹介したいと思います。

日本株、高配当銘柄ランキングを紹介

日本株の中で、インカムゲインが大きい、高配当銘柄を見てみましょう。

2018年の高配当ランキングは、以下のようになります。

配当利回り5%以上の企業が、47社あります。3%以上となると、なんと873社もあるのです。

株価が下がったことで、比較的配当利回りが高い企業が増えた印象を受けました。5%以上の配当利回りを出す会社は以下の通りです。

(配当ランキング)
順位コード市場名称株価1株配当配当利回り
13528東証2部(株)プロスペクト2330.1304
29904東証2部(株)ベリテ388320.0825
39275東証2部(株)ナルミヤ・インターナショナル1045790.0756
48628東証1部松井証券(株)1155840.0727
55002東証1部昭和シェル石油(株)15411060.0688
67201東証1部日産自動車(株)880.3570.0648
77615東証1部京都きもの友禅(株)377240.0637
82408東証JQS(株)KG情報55334.20.0618
97270東証1部(株)SUBARU23601440.061
103294東証1部(株)イーグランド633380.06
118035東証1部東京エレクトロン(株)125157240.0579
122914東証1部JT2616.51500.0573
133299東証1部(株)ムゲンエステート524300.0573
142411東証JQSゲンダイエージェンシー(株)440250.0568
157991東証2部マミヤ・オーピー(株)882500.0567
169268東証2部(株)オプティマスグループ1010570.0564
178304東証1部(株)あおぞら銀行32751840.0562
186986東証1部双葉電子工業(株)1582880.0556
197442東証1部中山福(株)492270.0549
203156東証1部(株)UKCホールディングス18351000.0545
218940東証1部(株)インテリックス624340.0545
225411東証1部ジェイ エフ イー ホールディングス(株)1757950.0541
236384東証JQS(株)昭和真空1109600.0541
245857東証1部アサヒホールディングス(株)22501200.0533
258996福岡Q(株)ハウスフリーダム375200.0533
263467東証1部アグレ都市デザイン(株)564300.0532
275015東証1部ビーピー・カストロール(株)1223650.0531
288869東証1部明和地所(株)565300.0531
296257東証JQS(株)藤商事944500.053
308078東証1部阪和興業(株)28291500.053
318897東証1部(株)タカラレーベン302160.053
322174東証1部GCA(株)662350.0529
331430東証1部ファーストコーポレーション(株)720380.0528
348119東証JQS(株)三栄コーポレーション30301600.0528
352428東証1部ウェルネット(株)951500.0526
364544東証1部みらかホールディングス(株)24821300.0524
372121マザーズ(株)ミクシィ23021200.0521
383465東証1部ケイアイスター不動産(株)1620840.0519
397863東証JQS(株)平賀289150.0519
405938東証1部(株)LIXILグループ1362700.0514
418140東証1部(株)リョーサン29321500.0512
428903東証JQS(株)サンウッド489250.0511
433244東証1部サムティ(株)1257640.0509
448887東証JQSリベレステ(株)786400.0509
454705東証JQS(株)クリップコーポレーション796400.0503
467551東証JQS(株)ウェッズ559280.0501
478714東証1部(株)池田泉州ホールディングス300150.05

配当が高い=即買いではない?

では、配当が高い企業というのは、すぐに投資していい企業なのでしょうか。

実は、必ずしもそういうわけではありません。少し慎重に見てみた方がよさそうです。たとえば、1位のプロスペクトを見てみましょう。

1位のプロスペクト(3528)は、配当利回り13%と、脅威の利回りになります。

再投資をしなくても、8年で倍になるのです。配当再投資をすると、6年で倍以上になるわけですから、1000万円資金があれば、追加投資しなくても、約25年で2億円を突破します。

しかし、そういったもし本当にお得な銘柄であれば、なぜみんな投資しないのでしょうか。

まずはチャートを見てみましょう。

プロスペクト株価
(出所:Yahoo! Finance プロスペクト(3528)

現在の株価は23円となっていますが、最も高いときには150円近くの値をつけていました。

今年に入ってからは一方的に株価を下げています。今が底、という見方もできますが、さらに下げる可能性もあります。

プロスペクトの配当の推移

プロスペクトの配当金の推移は以下の通りになっています。

2017年から配当金を上げていますが、それまではずっと1円で推移していました。

プロスペクトの業績

プロスペクトのが放置されている要因としては、本業の業績の悪さが指摘されています。

営業利益、当期純利益の推移を見てみましょう。

プロスペクトの利益
ここ2年は営業利益が赤字になっています。

なんとか最終の当期純利益ではプラスに戻しているものの、本業の業績自体は非常に厳しいものになっています。

そもそも本業が不動産業なので、仮に今後不動産市況が冷え込むとすると、さらに赤字幅が拡大する可能性もあるわけです。

配当利回りが良ければいいというわけではない

他にも、2位のベリテは、ジュエリー販売業を営む会社ですが、時価総額100億円程度と時価総額が小さく、また、配当を始めたのが2017年からとなっており、来期もきちんと配当が出るかどうかは疑問があります。

また、チャートを見ると、今がピークの可能性もあるようなチャートに見えます。また、大手であっても、7位の日産自動車のように、不正会計問題でトップが逮捕されるなど、不安定な銘柄が上位にあります。

このように、ただ、配当利回りが良い企業を買えばよいと言うわけではないのです。

配当利回りが良いということは、逆にいえば、株価が低迷している、ということだからです。

株価が低迷しているのは、ある意味、安いときに買えるということの裏返しなので、買いのサインでもあります。

しかしながら、銘柄選択を誤れば、すぐに含み損になってしまい、減配というリスクもあるのです。なので、ただ、闇雲に、高配当株を買うことはお勧めできません。

配当利回りの他に注目すべき「増配年数」「非減配年数」「配当性向」とは?

では、他にどういった水準で、企業を見ていけばよいのでしょうか。

シンプルに考えると、「長きにわたり、安定して配当を与えてくれる会社」が、長期投資には適していると考えられます。

そうすると、見るべきは、「配当を減らさないか」という観点と、「企業として、配当を続ける余裕があるか」というところに集約されるかと思います。

そこで、見るべき指標としておすすめなのは、「連続増配年数」になります。

連続増配年数とは、「何年連続で配当金を増額させてきたか」という指標になります。キャピタルゲインと異なり、配当金はある程度経営陣の力でコントロールすることができます。

つまり、連続増配年数が長い企業というのは、企業の姿勢として、配当金を重視しており、今後も配当金が増額される、ということが期待できるからです。

日本より株主還元性向が強いアメリカでは連続増配年数というのは一般的なものになっています。アメリカでは、25年以上連続増配している銘柄を「配当貴族」、50年以上連続増配している銘柄を「配当王」と呼んでいます。

では、日本における配当貴族、配当王というのにはどのような銘柄があてはまるのでしょうか。

連続増配年数ランキングを見てみましょう。連続増配年数15年以上のものをピックアップしています。

見ての通り、配当貴族と呼ばれているものは、花王の29年連続増配のみで、それ以外にはありません。

15年とハードルを低くしても、17社しかないのです。

一方、「非減配」という観点だとどうでしょう。連続増配とはその名の通り、毎年配当金を増額させている必要があります。

デフレ傾向にある日本では、増配はハードルが高いのかもしれません。

よって、少しハードルの低い、減配しないという「非減配」銘柄でスクリーニングしてみると、20年以上減配していない企業は196銘柄あります。これくらいあると、スクリーニングの対象としては適切かもしれません。

もう1つのポイントである、「企業がどれくらい配当に余力を残しているか」というのは、「配当性向」という指標を使って語ることができます。

配当性向は、その名の通り、「企業が儲けた利益を、どれくらい配当として株主に還元させたか」を示す指標であり、「配当金÷EPS(=1株あたり利益)」で求めることができます。

配当性向がマイナスだったり、100%を超えている場合は、企業の利益以上に、配当金を支払っている状態になります。

そういう状態が長く続くかといえば、決してそういうことはないですよね。なので、配当性向が、ある程度の枠内に収まっている企業を選ぶべきなのです。

配当性向・連続増配・連続非減配を加味した、「配当金狙い」おすすめ銘柄を紹介

では、上記の基準を加味した、「配当金狙い」でおすすめの銘柄は、どのようなものでしょうか。実際に銘柄を紹介しましょう。

今回は、以下の基準で選んでいます。

  • 配当利回り 3%
  • 連続増配年数 10年以上
  • 配当性向 0%~90%
  • 連続非減配年数20年以上は特におすすめ

その基準で、残った企業は以下の通りです。

なんと、7社しか残りませんでした。

日本に上場している企業が3655社ですから、わずか0.2%程度しか存在しないことになります。

厳選高配当企業

(データ出典元:Yahoo!ファイナンス EPSおよび配当金は会社予想を使用、赤色ハイライトは連続非減配20年以上)

これらの企業について、ビジネスモデルを紹介したいと思います。

大東建託

大東建託は、不動産業を営む会社になります。基本的には土地を持っているオーナー対し、マンションを建てるよう営業し、実際に建設をして販売する会社になります。不動産ブームの中、比較的堅調に業績は推移していますが、不動産のピークが過ぎた後の業績にはリスクが残ります。配当性向は50%を常に意識、自社株買い含め80%の還元性向を見せるなど、株主への還元は積極的です。

KDDI

KDDIは、ドコモ、ソフトバンクとならぶ通信大手の1社です。携帯キャリアについては、価格競争による単価の低下および、総務省からも問題とされている価格プランの見直し等が課題ですが、現状足元は堅調に推移しています。

三菱UFJリース

三菱UFJリースは、MUFGグループの一員として、リース業を行っております。売り上げは8400億円と、リース事業の中では大手です。足元は堅調なものの、金融業であり、景気の影響を大きく受けます。

沖縄セルラー電話

沖縄セルラーはKDDIなどから出資を受けた、沖縄で通信業を展開する会社になります。基本的にはキャリアと同じような動向を受けますが、沖縄県だけは人口増加が続いている点は、プラスに働く可能性があります。足元の業績は堅調です。

明光ネットワークジャパン

明光ネットワークジャパンは、明光義塾を展開する企業になります。少子化の中、M&Aや日本語学校事業、キッズ事業など、事業を多角化することで収益を上げています。

懸念点としては、来年度の減配が予想されているということです。2018年の1株あたり配当は42円でしたが、2019年の会社予想は30円になっています。仮にこの減配で配当金が支払われると、このスクリーニングの対象からは外れることになります。

興銀リース

興銀リースは、興銀(現:みずほフィナンシャルグループ)系のリース会社になります。三菱UFJリースと同じような事業構造になっています。

NECネッツエスアイ

NECネッツエスアイは、NEC系の、ネットワークインフラを構築する企業になります。働き方改革やIOTの影響もあり、業績は堅調に推移しています。今年も増配を予定している企業になります。自己資本比率も約50%と、財務体質は非常に強固になっています。

まとめ

日本株でインカムゲインを目指す場合、5%という利回りで考えると、47社あります。一般的に高配当と呼ばれる配当利回りで考えると、873社もあります。直近、株価が下落傾向にあったため、それに伴って配当利回りが高い企業が増えている印象です。

しかし、ただ配当が高いだけで、安易に飛びついてはいけません。利回りが高いまま放置されている株というのは、どこかに落とし穴があることが多いからです。

たとえば、利回り10%を超えるプロスペクトも、営業利益や事業内容を見ると、投資するのには不安が残ります。

なので、配当利回りに加えて、「配当性向」「連続増配年数」「連続非減配年数」を見ることで、より多角的に企業が配当を支払う能力を見ることができます。

例えば、アメリカでは、連続増配25年以上を「配当貴族」、50年以上を「配当王」と呼んでいます。日本では25年以上連続増配しているのは花王だけになります。

そこで、利回りに加え、配当性向、増配年数を加味し、配当利回り3%、配当性向90%以内、連続増配年数10年以上でスクリーニングすると、日本株でこれらを満たすのは、7社、全体のわずか0.2%でした。

とはいえ、これらの企業は、ある程度配当においては信頼してもよいのかもしれません。5%を目指すなら、一部組み込むのもありではないでしょうか。

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