2019年第一四半期、売られたETF ワースト10を紹介
前回は、2019年の第一四半期に買われたETFについて、ベスト10を紹介しました。
参考:(2019年第一四半期)海外ETF売買ランキングTOP10を分析
1位はバンガード社のS&P500に連動するETFであるVOOだったものの、その他米国株のインデックスに投資するETFはVTIのみで、他は社債だったり、全世界債券だったりなど、アメリカ以外、株式以外の資産が買われたような印象でした。
では、逆に、2019年の第一四半期に、売られたETFは、どのようなETFなのでしょうか。銘柄を確認していきたいと思います。
Contents
2019年第一四半期に売られたETFは?
では、さっそく、2019年の第一四半期に売られたETF、ワースト10を紹介します。
No | Ticker | ETF Nmae | Net Flows |
1 | SPY | SPDR S&P 500 ETF Trust | -9,934.92 |
2 | EFA | iShares MSCI EAFE ETF | -4,843.54 |
3 | BSV | Vanguard Short-Term Bond ETF | -4,473.62 |
4 | IWD | iShares Russell 1000 Value ETF | -3,814.36 |
5 | IWM | iShares Russell 2000 ETF | -3,134.71 |
6 | EWJ | iShares MSCI Japan ETF | -2,666.21 |
7 | XLF | Financial Select Sector SPDR Fund | -2,524.93 |
8 | IWF | iShares Russell 1000 Growth ETF | -1,780.04 |
9 | ACWI | iShares MSCI ACWI ETF | -1,679.09 |
10 | XLE | Energy Select Sector SPDR Fund | -1,642.35 |
(出所:ETF.com )
※Net Flowは新たに流入した金額。単位は100万ドル
1位のSPYは、VOOとの入れ替えが進む?
1位になったのは、ステート・ストリート・バンクアンドトラストカンパニーの、S&P500に投資するETFであるSPYです。
このSPYは、1993年に設定された最初のETFであり、かつ、純資産額も最大のETFになります。こちらのETFが流出額で世界一になりました。
SPYの流出の一因として、VOOへの資金流出が考えられます。VOOはSPYに比べると後発のETFになりますが、経費率は0.04%、一方、SPYは、経費率0.09%と、VOOに比べると割高になっています。
この差を利用して、VOOはSPYのシェアを奪っているのですね。今後、SPYの経費見直しが入るのか、それとも差が徐々に詰まっていくのかは、別の観点で注目したいところです。
先進国株はやはり流出傾向にあり
2位に入ったのは、iシェアーズ MSCI EAFE ETF(EFA)になります。
こちらも前回紹介したいIEFAと同様、北米除く先進国に投資する銘柄になります。最も割合が高いのは日本株で、全体の約1/4が日本株になります。
EFAは、IEFAと採用している指数が若干異なるものの、ほぼ同じような構成になっています。一方で、EFAの経費率は0.32%、IEFAの経費率は0.08%と、4倍の開きが出ています。
そうなると、IEFAを選ぶのはごく一般的なことになるかもしれません。経費の差というのが、流入、流出の差につながっていることは否定できないでしょう。
同じく6位にランクインした、iシェアーズ MSCI ジャパン ETF(EWJ)も先進国株になります。こちらはMSCI ジャパン インデックスという、日経とは違う指数に連動する指標になります。どちらかと言うとTOPIXのほうが近い印象かもしれません。
銘柄としては、トヨタ自動車、ソフトバンク、キーエンス、ソニーなど、よく知られた日本の企業が並んでいます。日本人としては残念なことかもしれませんが、このETFは、今四半期では売られたETFとなっていました。
一方9位のACWIは全世界に投資するETFです。こちらについても売られているのは、経費率の関係で、VTIやVTへの転換されている可能性もあります。
イールドカーブ逆転の影響あり?短期債が売り込まれる
3位のBSVは、アメリカの短期債に連動するETFになります。ご存知のように、イールドカーブが逆転し、今や、長期債よりも短期債のほうが、利回りが高いという状況になっています。
この影響を受けて、3位では短期債が売られました。一般的に、利回りが上がると、債券価格は下がります。そのため、短期債の利回りが上がり、結果、BSVが売られる結果となったと言えるでしょう。
大型株も小型株も売られる米国株
4位のIWD、8位のIWFは、それぞれ米国の大型株1000社の指数である、ラッセル1000に連動するETFになります。IWDは中でもバリュー株、IWFはグロース株に投資するETFです。IWDの銘柄にはJPモルガンやエクソンモービル等、今現在割安だと考えられる株が入っており、IWFの銘柄には、アップルやマイクロソフトなど、今後も伸びしろが高いと想定される銘柄が入っています。
また、5位のIWMは、逆に、ラッセル2000という、米国小型株に連動するETFになっています。つまり、大型株、小型株にかかわらず、米国のETFは売りが先行している状況にある、ということです。これをどうとらえるかで、投資方針が変わってくるかもしれません。
セクター別では金融・エネルギーが不人気
7位のXLF、10位のXLEはそれぞれ特定のセクターに投資するETFになります。XLFは金融セクターに投資するETFで、XLEはエネルギーセクターに投資するETFです。
通常金融株は、高金利、低成長の時は苦戦し、一方エネルギーは、低金利、高成長の時は苦戦すると言われています。どちらも売り込まれているというのが、今の相場の難しさを表しているかもしれません。一方で、金融、エネルギーともにバリュー株であることから、この四半期は、バリュー株から資金が流出したということが言えるかもしれませんね。
2019年第一四半期、売られたETF ワースト10を紹介(まとめ)
買われたETF、売られたETFを見てみると、米国株、先進国株はどちらかというと売られており、一方、社債や不動産債券など、国債以外の債券が買われる傾向にあったようです。
米国株や債券は今やどっちの方向に転ぶかわからない、ボラティリティの高い市場になっています。そういったときに、全体のETFの流れは、投資方針を決める一助になるかもしれませんね。
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