2019年第一四半期、買われたETF ベスト10を紹介
これまで、株式投資をするにあたって、米国市場、特に、リスク分散の観点からも、米国市場で買うことのできるETFをお勧めしてきました。投資をミクロでとらえるのは、優れた投資家であっても難しいものです。
一方、マクロの観点で言うと、大きい政治や経済の流れの中で株式投資ができるので、個別株を勉強しなくても、ある程度予測をたてながら投資ができます。
よって、個別株を調べる時間がない人、平均的なリターンを目指したい人にとっては、ETFがやっぱりベストな選択なのではないでしょうか。
今回は、そんなアメリカETFで、今、どういった銘柄が人気で、どういった銘柄が不人気なのかについて、実際のトレード傾向から見てみたいと思います。
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2019年第一四半期に買われたETFは?
では、さっそく、2019年の第一四半期に買われたETF、TOP10を紹介します。
No | Ticker | ETF Nmae | Net Flows |
1 | VOO | Vanguard S&P 500 ETF | 5,232.62 |
2 | IEMG | iShares Core MSCI Emerging Markets ETF | 5,161.94 |
3 | VCIT | Vanguard Intermediate-Term Corporate Bond ETF | 3,626.07 |
4 | USMV | iShares Edge MSCI Min Vol U.S.A. ETF | 3,544.10 |
5 | VCSH | Vanguard Short-Term Corporate Bond ETF | 3,381.02 |
6 | MBB | iShares MBS ETF | 3,368.97 |
7 | BNDX | Vanguard Total International Bond ETF | 3,096.16 |
8 | IEFA | iShares Core MSCI EAFE ETF | 2,626.38 |
9 | VTI | Vanguard Total Stock Market ETF | 2,519.02 |
10 | EEM | iShares MSCI Emerging Markets ETF | 2,474.51 |
(出所:ETF.com)
※Net Flowは新たに流入した金額。単位は100万ドル
1位は安定のS&P500銘柄
1位になったのは、バンガード社のETFで、S&P500に連動するETFである、VOOになります。
小話になりますが、VOOは、数字の500を意味しています。こういったちょっとユーモアがあるTickerをつけることができるのが、アメリカ市場の面白さでもありますね。
もともとS&P500連動型のETFはそもそもの売り買い量が多いことから、常に上位にランクインしやすくなっています。VOOは、後発のETFながら、その手数料の安さが人気であり、SPYなどから資金を奪っているのです。
9位のVTIはアメリカ株すべてに投資できるETFで、VOO同様人気があります。この、ピュアなインデックスファンド系では、最近はバンガード社の商品に人気が集まっていますね。
関連記事:海外ETFで人気のVTIの魅力について【VOOとリターンを比較】
新興国が先進国より人気?
2位に入ったのは、ブラックロック社の、IEMG(iシェアーズ・コア MSCI エマージング・マーケット ETF)になります。中国・韓国をはじめとする、新興国に投資するETFが2位になりました。
一方、8位に入ったのが、IEFA(iシェアーズ MSCI EAFE ETF)になります。こちらは米国・カナダを除く先進国の大型株に投資するETFであり、上位組み入れ銘柄にはロシュやネスレ、トヨタ自動車なども入っています。国別では日本の割合が25%になっていることも特徴ですね。
新興国のシラーPER(インフレ率を加味したPER)は先進国を下回っており、新興国株は今なおお買い得である、という見方も可能です。それが今回の、新興国ETFが2位という結果につながったのかもしれません。
ちなみに10位に入ったEEMも新興国に投資するETFになります。こちらもIEMG同様、新興国に投資するETFになります。新興国株に資金が流れていることがうかがえるのではないでしょうか。
3位、5位と社債ETFが続く
3位のVCIT、5位のVCSHはともに、社債に投資することができるETFになります。VCITは中期社債、VCSHは短期社債になります。
いずれのETFも、年末からのFBRの金利上昇を受けて、価格が上がっています。また、利回りの観点でもいずれも3%を超えています。いずれのETFも現在日本のネット証券では買うことはできませんが(サクソバンク証券除く)、現在1つの流れとして、株から債券へ、という流れがあるのかもしれませんね。
4位は金融工学を駆使したETF
4位のETFは少し異色のETFになります。こちらはアメリカ株の中で最もボラティリティ、つまり値動きの幅が小さい銘柄を集めたETFになります。
これまで紹介したETFがインデックス型だとすれば、USMVはアクティブ型のETFになるでしょう。近年は、このように金融工学を使ったETFも増えてきています。
ボラティリティが大きい相場だからこそ、このようなETFの人気がでるのかもしれませんね。ビザやマクドナルドが組み入れられており、パフォーマンスも上々です。残念ながらこちらも日本で買うことはできません。
6位は不動産活用型のETF
6位はモーゲージ証券、パススルー証券に投資するETFになります。こちらも聞きなれないかと思いますが、いわゆる不動産担保ローンに投資するETFになります。
不動産という担保がついているため、価格は比較的安定しており、債券のような値動き、利回りをすることが多くなります。
7位はアメリカを除く全世界の債券に投資するETFになります。アメリカの債券は利上げもありあまり人気がないようですね。それがこういったモーゲージ証券や、社債、そしてアメリカ以外の債券に流れていることが予想されます。
2019年第一四半期、買われたETF ベスト10を紹介(まとめ)
1位、9位こそピュアな米国株のETFだったものの、それ以外は、米国株以外に投資するETFだったことが目を引きました。(4位のUSMV除く)もしかすると、今、米国株は一見堅調なように見えますが、一部の投資家たちは、米国株から資金を引き始めているのかもしれませんね。
今、日本で買えないETFであっても、資金の流れを理解することで、売買の参考にすることはできます。次回は、売られたETFベスト10を見て、Q1の全体の流れを見ていきましょう。
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