3月19日、フェイスブックの株価が7%マイナスと、大きく急落しました。要因は、フェイスブックから、5000万人ものユーザー情報が外部に流出した可能性があるというニュースが流れたからです。
アメリカのインターネット界の巨人である、フェイスブック社からこのようなニュースが流れたことで、アメリカの株式市場は混乱しています。フェイスブックの株価は2月につけた高値である193ドルから、現在は160ドルと、約20%も株価が下落しています。
同様に、アマゾンも10%超、グーグルの親会社であるアルファベットも10%超の下落を見せています。
今回は、このニュースおよび、株価下落の背景と、その上で、フェイスブックは「買い」かどうか、解説したいと思います。
フェイスブック顧客情報流出事件とは?
まずは、何が起こったかをおさらいしましょう。
フェイスブックの顧客情報が、イギリスの広告会社であり、アメリカの大統領選挙ではトランプ大統領の陣営について「ケンブリッジ・アナリティカ」によって不正に入手された、ということを、「ケンブリッジ・アナリティカ」の元従業員が告発したというニュースです。ニューヨーク・タイムズ誌は17日の記事で「ソーシャル・ネットワーク史上最大の情報流出」と報じました。
フェイスブック社はこの事実を認め、ケンブリッジ・アナリティカ社の権限をはく奪するなど、素早い対応を見せているものの、フェイスブックに対する不信感はぬぐえていない状況です。
株価に与えた影響は?
フェイスブックの株価のチャートを見てみましょう。
(参考:facebook 株価 yahoofinance)
フェイスブックの株価は、1月にピークの193ドルを付けています。
しかし、2月の世界の株式市場のごたごたを受け、株価は一時落ちついていました。それに加えて、このニュースです。3月19日にフェイスブックの時価総額は一日で約4兆円失われました。
現在のアメリカ株式市場は、「FAAMG」と呼ばれる、5大ハイテク企業が時価総額上位を占めていました。(フェイスブック、アップル、アマゾン、マイクロソフト、グーグル)この5企業が、アメリカ株式市場だけでなく、世界中の企業の時価総額ベスト5だったのです。
しかし、このニュースを受けて、フェイスブックの株が急落したことにより、フェイスブックは時価総額5位から陥落しています。ちなみに5位に上がってきたのは、中国のテック企業であるテンセントになります。
影響を受けたのはフェイスブックだけではありません。ピーク時に比べてアマゾンも10%超、グーグルも10%超、マイクロソフトは5%程度、アップルも10%程度株価を下げています。この事件だけが原因ではありませんが、この5企業の時価総額は、ここ2か月ほどで30兆円程度失われた計算になります。
今後、フェイスブックの株価は回復するのか?フェイスブックは買いなのか?
さて、ここで疑問になってくるのが、「フェイスブックは買いなのか?」ということです。
フェイスブックのPERは、25倍程度まで下落しています。PERとは、「per earning ratio」の略で、利益の何倍の株価がついているか、の指標になります。
ダウ30種のPERが同じく25倍になっています。フェイスブックは成長企業であるため、今後さらなる収益の拡大が期待できる、そのため、重厚長大な産業なども入っているダウ30種と同じくらいのPERであるならば、「買い」ということも言えるでしょう。
しかし、個人的には、この買い方は危険だと考えます。なぜなら、「テック企業のPERはあてにならない」と考えているからです。
たとえば、アマゾンのPERは317倍、グーグルのPERは46倍と、フェイスブックをはるかに高くしのぎます。
これは、彼らに対する期待の高さを表しています。アマゾンの株価が、PERで見ると、高すぎる。なので、アマゾン株は絶対に下落する、という人はいないでしょう。PERというのは、あくまで目安にすべきなのです。
フェイスブックは、次の決算が大きな正念場と言えるでしょう。ここで、懸念されているフェイスブック離れの兆候が見られた場合、逆に、投資家は不安なイメージを持ちます。
そうすると、フェイスブックから資金の引き上げが一斉に起こる、という可能性も否定できません。逆に、このニュースを受けてなお、堅調な伸びを見せた場合、フェイスブックの株価が急回復するシナリオもあり得ます。
実際のところ、決算に賭けるというのは、個人的にはおススメしづらいです。
それよりも、アマゾンやグーグル株が、つられて売られていることに注目すべきでしょう。彼らはフェイスブックの煽りを受けたにすぎません。フェイスブックのニュースは彼らの決算には影響を及ぼさないでしょう。株価が調整局面に入った今だからこそ、安く買えるチャンスともいえるのです。
個人情報が流出したフェイスブックの、今後の株価の方向は?
個人情報が流出したと言うニュースで、大きく株価を下げたフェイスブックです。
しかし、このニュースの前から、フェイスブック社に関してはネガティブなニュースもしばしばみられました。次の決算で、フェイスブックの真価が問われるといっても、過言ではないでしょう。
投資の側面から言うと、判断の難しいフェイスブックよりも、同じく株価を下げたものの、その企業の業績には何ら影響しない、グーグルやアマゾン、アップルの株を買う方が、投資家としては正しい側面かもしれません。
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