毎月分配型は危ない!高配当のインカム型商品は買ってはいけない理由とは?

「インカムゲインの罠」とは?こういうインカム型商品は買ってはいけない!

前回の記事では、サラリーマン投資家が投資を考える際は、キャピタルゲインより、インカムゲイン中心で考えた方が良いのではないか、ということを解説しました。

参考:個人投資家はキャピタルゲインとインカムゲインどちらを重視すべきか?

利益が確定するインカムゲインの方が、リスクヘッジしやすいこと、リバランスしやすいことなどが理由です。

こういった考え方は一定数認められており、そのため、「毎月分配型」のような金融商品も出ています。

毎月分配型のファンドというのは、高齢者を中心に、人気があるのも事実です。

しかし、インカムゲイン型の金融商品には、注意すべき商品が多いことも事実です。今回は、インカム型商品を見る際の注意点について、解説したいと思います。

金融庁が出した毎月分配型商品への警告とは?

金融庁が、2015年に出したレポートの中に、面白い箇所があります。

金融庁は、同レポートの中で

「顧客の運用方針にかかわらず、販売会社は、主として収益分配頻度の高い商品を提案している」

と言っています。

これは、暗に、毎月分配型など、分配頻度が多い商品を批判していると言われています。

このように、金融庁は、毎月分配型を「顧客本位ではない」ということで、強く批判しています。

しかし、なぜ、分配型商品を批判するのでしょうか。以前説明したように、インカムゲインが確定することには、メリットも大きくあると考えます。具体的なファンドを元に、解説してみましょう。

毎月分配型ファンドの実態を分析する

では、毎月分配型ファンドの実態を見てみましょう。

SBI証券で、毎月分配型の人気ランキングを見てみると、4月時点では、ランキング1位は以下のようになっています。

損保J日本興亜-好配当グローバルREITプレミアム・ファンド通貨セレクトコース

具体例として、このファンドの特徴を見てみましょう。

2013年に出来たこのファンドは、現在以下のようなチャートになっています。

注目すべきは、ファンドの価格です。

10000円でスタートしたファンドが、現在2561円になっています。

5年の間で、価格が75%もマイナスになっているのです。

さらに、分配金の欄にも注目しましょう。こちらは、当初、毎月200円の分配金を出していました。

年利に直すと2400円、24%の分配率です。非常に高い分配率ですね。

しかしながら、2015年には170円に切り下げが行われ、その後も140円、80円、50円、30円と切り下げられています。今では年間配当は360円で、3.6%となってしまっています。

しかも、注目すべきは、純資産総額です。2015年をピークに、徐々に下がり続けているのがわかるのではないでしょうか。

このファンドがどういったファンドかと言うと、俗に言う、「タコ足型ファンド」になります。

分配金というのは、本来、利益から出すべきです。100円利益が出たから、それを分配にすると、元本が減らず、継続的に利益を出すことが出来ます。これは考え方としてはいたって普通です。

しかし、タコ足型の場合、分配金を利益で賄いきれない部分は、原資を崩して出しているのです。

タコが自分の足を食べているようであることから、タコ足型配当と呼ばれるようになりました。

この何が問題かというと、たとえば5%の利益を出して、10%の配当を出すとします。

その場合、原資は、95%になります。10000円だとすると、利益が500円で、1000円の配当を出すようなものですね。そうすると、翌年の投資資本は9500円です。

ここで、さらに5%の利益だとすると、利益は475円です。配当は1000円なので、持ち出しは525円です。こうやって、持ち出しが増えていくことで、マイナス幅が加速していくのです。複利効果の真逆と言ってよいでしょう。

なので、分配金が出ているといっても、実際はマイナスになっていることが多いのです。

この1位の商品についても、設定来(投資信託の運用が始まってからという意味)だと、仮に分配金を再投資したとしても、設定来で+0.85%にしかなっていません。こういった商品が多いのが、分配型が指摘される理由なのです。

高い手数料にも注意

ではなぜ、こういったファンドを、金融機関が売るのでしょうか?それは、一言でいうと、手数料の高さです。

1位の商品の場合、信託報酬が1.9%と、インデックス型のETFや投信に比べ高くなっています。

さらに、窓口売買の場合、3%程度の手数料が取られます。金融機関がそれだけ収益を得ているわけですね。長期的な資産形成において、コストは非常に重要です。コストが高いことも、パフォーマンスの低さに影響を与えているといってよいでしょう。

まとめ:高利回りの毎月分配型インカム商品は買ってはいけない!

インカムゲインは、サラリーマン投資家にとって有効な収益の1つです。

しかし、インカムゲイン型が良い商品であるとは限りません。「毎月分配」など、甘い言葉で語ってくる商品は、特に注意が必要です。

人気の毎月分配型商品ですが、いわゆる、原資を切り崩して配当に充てている「タコ足型ファンド」になっているものが多くあります。タコ足型ファンドの場合、複利効果とは逆の現象が起き、原資が減るスピードがどんどん速くなっていくことに注意が必要です。

しかも、こう言った商品は、往々にして手数料が高く、コストの面でもパフォーマンスを低下させていることに注意が必要でしょう。

インカムゲインのインカムは、あくまで収益や値上がりから来るものを選ぶべきです。インカムゲインという言葉に惑わされずに、いい商品を選びましょう。

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