VIX指数とは?リーマンショック以上に上昇した理由を分析

VIX2020

コロナウイルスの影響で、株や石油、REITなどが不安定な動きを見せる一方で、金などは安定した動きを見せています。

そういった中で、ハイリターンを狙える資産として、注目が高まっているのが、VIX指数を活用した投資になります。

恐怖指数とも呼ばれるVIX指数ですが、その指数について正しく理解している人は多くありません。VIX指数の仕組みや、VIX指数を活用した投資方法について解説します。

VIX指数とはそもそも何?

まず、VIX指数とはそもそもどういった指数かご存知でしょうか。

VIX指数はCBOEボラティリティ指数とも呼ばれ、シカゴ・オプション取引所が出している指数になります。日本では恐怖指数とも言われており、市場の先行きの不透明さを表す指標になります。

厳密に言えば、VIX指数は、S&P 500を対象とするオプション取引の満期30日のインプライド・ボラティリティを元に算出されています。

つまり、今後30日間で、S&P500がどのように変動するか、と言う期待値を数学的に算出した数値となります。

VIXのVはボラティリティ、つまり不安定さを表すものになります。

つまり、VIX指数とは、市場が下がれば上がる指標ではなく、市場の不透明さが増せば大きくなる指数になります。

しかしながら、一般的には、S&P500が上がればVIX指数は下がり、S&P500が下がればVIX指数は上がる傾向にあります。

これは、コンベクシティと呼ばれる、市場が大きな上昇より、大きな下落に反応しやすいことが背景にあるのです。

なぜVIX指数が恐怖指数と呼ばれるのか?

では、なぜVIX指数が恐怖指数と呼ばれるのでしょうか。

それは論より証拠ということで、まずVIX指数の長期のチャートを見てみましょう。

VIX指数チャート長期

(出所:Yahoo! Finance)

このように、VIX指数は、市場心理が悪化すると同時に、大きく数値が上昇しているからです。このチャートで最も大きいのはリーマンショックの時で、80近くまでVIX指数が上昇しました。

そのほかにも、チャイナショック、ドバイショックの時など、近年起きたいわゆる金融不安の際に、著しく数字が上がっていることがわかるでしょう。

一方、数字の上がり方は極端で、平時は20前後をキープしていることが多い指標になります。

一方、2020年に入ってからのチャートを見てみましょう。

VIX2020
(出所:Yahoo! Finance )

先ほどの長期チャートは週足、こちらのチャートは日足になります。そのため、週足ではわからなかった事実が浮き彫りになっています。

まず1つは、その最大値の高さです。

一時、VIX指数は83.56まで上昇しました。(VIX指数の上限は100です。)これはリーマンショックの最大値を超えています。

しかしながら、S&P500の下落幅自身は、リーマンショックの下落幅には至りませんでした。

このような現象が起きる理由として、VIX指数は、下落幅に加え、下落のスピードも大きく影響するということが理由として挙げられます。

今回のコロナショックは、最高値から10%の下落をしたスピードが6営業日と、これまでで最も早いスピードでした。

そのためVIX指数も大きく上振れたのです。リーマンショックの時は高い水準が3か月程度続いたのに対し、今回は比較的すぐに指数自体は落ち着いていることも、リーマンショックと異なる部分だと言えるでしょう。

なぜVIX指数が注目を集めるのか?

では、なぜVIX指数が、投資対象として注目を集めているのでしょうか。それは、下記のチャートを使って説明したいと思います。

VIXとS&P

(出所:Yahoo! Finance)

濃いブルーがVIX指数、薄いブルーがS&P500の長期チャートになります。S&Pが下落するときに、VIX指数は必ず上昇しています。

そして、VIX指数の上昇幅が、S&P500より大きいことが特徴です。

VIX指数に投資するということは、S&P500の下落にかけることができる投資手法の中では、最もリターンが高いものの1つになります。

2番底が来れば再びVIX指数はあがる?今後見通し

現状少し落ち着いているように見えるVIX指数ですが、今後、上昇することはあるのでしょうか。予想してみましょう。

個人的には、今後、2番底が来れば、VIX指数の上昇は大いにあると思っています。

それは、この直近の株価の戻りによるものです。

現状、コロナ収束に対する期待感が市場に蔓延しています。

そしてそれが株価に反映されている状況です。2番底論も少なくなってきました。

ということは、VIX指数は下がる傾向にあるということです。こういうときに悲観的なニュースが出て、売りが加速すれば、再度VIX指数はS&P500の下落以上に大きく動くでしょう。

まとめ

VIX指数は、S&P500のボラティリティを予想する数値で、その上下がS&P500と逆の動きをすることから、恐怖指数と呼ばれています。S&P500の下落以上に上昇することもあるため、ショートの投資として昨今注目を集めています。

現在、市場には、コロナに対する楽観論が渦巻いており、株価もそれを反映して戻りつつあります。そういった中で2番底が来れば、VIX指数はその性質上大きく上に動くでしょう。

次回は、VIX指数を使った投資について、具体的な方法を解説します。

VIX指数とVIX指数先物の違い(コンタンゴとバックワーデーションを解説)

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