原油先物ETFのUSOの株価が大暴落!上場廃止の可能性は?買うのはおすすめできない理由を解説

ETFUSOとの乖離

WTI原油先物ETF(USO)ってどんなETF?投資すべき?

今、投資の世界で、特段注目を集めている原油。

5月物の先物がマイナスになったことで、大きな注目を浴びました。

前々回は、なぜ原油価格がマイナスになったのか、そして今後の見通しはどのようなものなのかについて解説し、そして、前回は、原油価格の変動に対して、どのように投資すべきかについて解説しました。

今回は、といいつつも、原油に簡単に投資できる方法として、原油先物のETFである、USOについて紹介します。

USOは直近ではあまり投資対象としておすめできません。その理由についても解説します。




ETF「USO」ってどんなETF?

まず、USOについて、基本的な部分を紹介しましょう。

USOは、ブラウンブラザーズハリマンアンドカンパニーという企業によって組成されています。

米国コモディティファンドエルエルシーをパートナーにしています。ニューヨーク証券取引所に上場しているETFです。

基本的には、WTI原油先物価格と連動しています。直近1年は、原油価格の下落もあり、大きく下がっています。

WTIチャート
(出所:Tradingview

よく似たETFに、日本では、原油の先物を対象とした、1699「NEXT FUNDS NOMURA 原油インデックス連動型上場投信」があります。USOはドル建て、1699は円建てというのが最も大きな違いになります。

ETF「USO」がおすすめできない理由は?

このUSOですが、原油安を受けて、大きく価格が下落しています。そのため、直近では、このタイミングで買おうと、個人投資家の買い注文が入っているという報道もありました。

しかし、個人的には、このUSOというETFは、あまりおすすめできません。その理由を解説します。

ETFと基準価格の乖離が大きくなっている。

まず1つ目が、ETF価格と基準価格との乖離です。

まず、以下のチャートを見てください。オレンジがWTI原油先物価格、そして青がUSOの価格です。

ETFUSOとの乖離

(出所:Bloomberg )

4月に入るまでは、ほぼ基準価格とETFの価格は連動していました。

しかし、4月に入ってから、徐々に乖離が起きています。

そして、4/20の段階では、大きな乖離が起きました。ETFはマイナスにならないのに、先物価格はマイナスになったからです。(ETFは商品の設計上マイナスになることはありません。)

そして、その後は、なんと、原油先物価格より、ETF価格の方が安いという現象が起きています。

この価格の乖離は一時的なものである、とは言い切れないかもしれません。

なぜなら、WTI原油先物価格がマイナスになることを受けて、USOが若干仕様を見直しているからです。

これまで、USOは直近の原油先物(4月の場合5月限)に連動するような商品設計となっていました。

しかし、原油先物価格がマイナスになったことを受け、USOは商品設計を変更しました。資産をすべて直近の期限のものにするのではなく、一部先の期限のものにロールしたのです。

つまり、直近の期限の価格であるWTI原油価格先物とは、スプレッドが拡大したときに、引き続き乖離が起きるリスクが存在するのです。

新規先物の買い入れを停止

もう1つは、現在、USOが新規先物の買い入れを停止したということです。

基本的に、USOと言うETFは、実際に先物を購入する形でETFの運用を行っています。これが現時点で停止になっているのです。

ETFには、我々が通常売買している流通市場とは別に、発行市場があります。発行市場においては、指定参加者(証券会社など)が株式または現金を運用会社へ拠出して、運用会社がETFの受益権を発行します。

このことをETFの「設定」と言います。そして、設定されたETFが市場に出回るという仕組みになっています。

今回、原油価格の下落を受け、空売りの買戻しや、割安と判断した投資家の買いが入ったことから、USOは受益権の追加設定の許可を申請しています。それが確定するまで、USOは新規の先物買い入れを停止するとしています。

そのため、WTI原油先物の買い先がなく、原油価格のさらなる下落の要因になりえる、と指摘されています。

こういった買い入れの停止や極端な需給の増減は、ETFの価格のブレの要因となり得ます。

そして、基準価格とETF価格がぶれることは、ETFの信頼性を損ないます。こういった状況が続くと、SEC(アメリカの証券取引員会)が許容するかどうかという議論にもなります。つまり、上場廃止や、ETFの償還もあり得ると言う話になります。

基本的には、投資というものは、コントロールできるリスクはコントロールすべきです。

今後、短期的にUSOの価格が上がったり、下がったりして、利益が出る可能性はあります。(もはや現状、ETFと基準価格との乖離が大きく、価格が上がるか下がるかは想像だにつきません。)しかし、もはや価格をコントロールできないETFに、投資目的で入るのはあまりにリスクが高いと考えています。

まとめ

USOはWTI原油先物価格に連動するETFになります。減速原油先物価格が上がれば価格は上がり、下がれば下がるETFになります。

ただ、現在、USOは2つの問題を抱えています。WTI先物がマイナスになったことによる価格乖離、そして商品設計の変更、もう1つは新規発行の停止です。どちらも基準価格との乖離を誘発する要因です。

原油が今後魅力的かどうかはさておき、ETFである以上基準価格との乖離はある程度気にすべきです。もはやUSOは通常のETF以上のリスクを抱えていると判断します。ムリに投資をしないことをお勧めします。

※原油に投資をするのであれば空売りもできるCFDがおすすめです。「逆オイルショックでの投資スタイル【原油先物を空売りする方法は?】」の記事も参考になさってください。

※USO等の海外ETFはサクソバンク証券で取引可能です。「サクソバンク証券の米国株の評判と特徴を徹底分析【他社比較で手数料が安い】」を参考に。



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