前回は、原油価格が上がっていることについて、そもそも原油価格がどうやって決まるか、という話と、昨今の原油価格が上昇している要因、および今後の原油価格の予想について解説しました。
前回の記事⇒ 原油価格はなぜ上がっているのか?上昇の理由と今後の見通しについて
原油価格の決定要因は、主に需給と政治的要因であり、昨今の原油高は、中東情勢の緊張や、ベネズエラの経済危機などの政治的要因によるものが大きくあります。
今後も、緊張が続く限りは、価格は上昇していきますが、価格が上昇すると、シェールオイルの生産量が増えるため、どこかで価格は頭うちになるでしょう。今後しばらくは、ボックス相場になる可能性も頭において、行動した方がよいでしょう。
今回は、原油高でプラスになること、マイナスになることを解説しながら、どのように投資アクションを行うべきか、原油に対する投資方法について、解説していきます。
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原油の商品取引、先物取引は投資対象としてあり?なし?
まず簡単に思いつくのは、原油の商品取引、先物取引ですよね。
実際に原油を買わなくても、先物商社を通じて、原油に投資することはできます。
これは、投資対象として検討すべきでしょうか?
結論から言うと、商品取引、先物取引は、リターンのわりにリスクが大きいので、避けた方が無難でしょう。
なぜなら、こういった取引は、基本証拠金取引で、レバレッジをかけて取引するからです。当たった場合は大きくなりますが、外れた場合は、当然損失も大きくなります。
そもそも原油自体がボラティリティの高い商品であるため、そこにさらにレバレッジをかけるのは、リスクばかり大きくなる可能性があると言えるでしょう。
さらに、商品取引は、株や債券と異なり、実際に現物を保管するコストが裏でかかっています。
それが、手数料として乗っているケースもあります。さらに、商品取引や先物取引を行う会社が、必ずしもファイナンシャルリテラシーが高い会社ではなく、営業中心の会社であるというリスクもあります。今の日本では、あまりおススメはできないでしょう。
ただし、CFD口座でレバレッジを低くするなら狙い目か?
ただし、CFD口座を使ってレバレッジを低く取引するのであれば、今後の原油価格高騰をじっくり待つことができるので、狙い目とも思えますね。
GMOクリック証券やサクソバンク証券のCFD口座では、原油先物もCFDで取引をすることができます。
例えばレバレッジ1倍で長期的に原油価格の高騰を待つといった投資戦略も可能ですし、レバレッジを低く、空売りで暴落を待つという戦略も可能です。
いずれにしても、今後も原油価格は大きく動くと思われますので、レバレッジは低く投資することがおすすめですね。
また、暴落を狙った空売りも可能です。これも今の相場には有効でしょう。
参考:逆オイルショックでの投資スタイル【原油先物を空売りする方法は?】
原油ETFは投資対象としてあり?なし?
また、直接原油に投資したいのであれば、原油のETFがおススメです。
原油のETFは、原油価格に連動するように設計されたETFになります。上場しており、価格が明確なことと、基本的には、(レバレッジをかけることももちろん可能ですが)現物取引のため、リスクを軽減できるからです。
原油ETFは、日本株でも、米国株でも買うことが可能です。日本の場合は、以下の3本です。
- 1699 NEXT FUNDS NOMURA原油インデックスETF
- 1690 ETFS WTI 原油ETF
- 1671 WTI原油価格連動型ETF
このうち、NEXT FUNDSだけが、NOMURAロング原油インデックスという、複数の先物相場を参考にした指標を採用していますが、その他は、WTI原油価格に連動するようなETFになっています。
経費率はそれぞれ、0.5%、0.49%、0.85%と、中程度のコストになっています。
アメリカでは、以下の3本が上場しています。
- USO ユナイデッド・ステイツ・オイル・ファンド
- OIL iパス・S&P GSCI・クルード・オイル・トータル・リターン・インデックス・ETN
- BNO ユナイデッド・ステイツ・ブレント・オイル・ファンド
このうち、現段階で、SBI証券、および楽天証券で買えるのは、OILだけです。
マネックス証券は、どのETFも買うことができません。OILの経費率も0.75%となっています。
これらのうち、どれを買えばいいのかというのは、投資している対象が若干異なるため、一言では言えません。
経費で見ると1690は魅力的に映るのですが、出来高が少ないのが気になります。個人的には、多少経費が高くても、OILまたは1671が、資産的にも安心して買えると考えています。
原油高でプラスの株、マイナスの株は?
最後に、株式です。原油高でプラスになる銘柄、マイナスになる銘柄というのは、どのようなものがあるでしょうか。
直接的にプラスになるのは、原油関連企業です。日本だと国際石油開発帝石や、昭和シェルなどがこれに当たります。
アメリカだと、シェブロン、エクソンモービル等があります。ヨーロッパではロイヤルダッチシェルやBPなどの銘柄も、ADRを通じて購入可能です。
このうち、アメリカ、ヨーロッパの企業は、非常に株主還元が高いことで知られています。
たとえば国際石油開発帝石の配当利回りが1.3%前後なのに対し、エクソンモービルは4.2%、ロイヤルダッチシェルに至っては5%を超えています。また、エクソンモービルは、34年連続で増配している、安定した配当を出す会社として知られています。
このように、米国、ヨーロッパの石油会社は、基本的には株主への還元率が非常に高いため、投資するに値する企業であるといえるでしょう。
逆に、逆風を受ける企業群というのは、どこになるのでしょうか。一番は石油を原料とする化学会社やゴム会社になります。日本でいうと、三菱ケミカルなどは、原油高の影響を受けて、株価も低迷しています。他には、輸送業や運輸業も、原油高の影響を受けやすい企業と言えるでしょう。
今、こういった会社の株を持っている場合、手放すことを検討した方がよいかもしれません。
原油高でねらい目の投資は海外の原油株か原油ETF!
原油高というトレンドに乗るには、CFDで原油先物をトレーする方法、ETFを買う方法、原油関連株を買う方法と、主に3つの投資法があります。
このうち、商品先物取引は、リスクが高く、サラリーマンにはおススメできませんが、CFD口座を使ってレバレッジを低くして取引するのであればおすすめです。
ETFについては、素直に原油価格と連動するため、原油価格がある程度読める場合、投資する価値が出てくると言えそうです。
原油ETFの場合は、日本のETFであろうと海外ETFであろうと、特に大きな違いはないでしょう。一方、原油関連株の場合、日本に比べて、米国、ヨーロッパの企業は株主還元の面で大きなメリットがあります。
以上、原油に投資する方法について書かせていただきました。少しでも皆様のお役に立てれば幸いです。投資はくれぐれも自己責任でお願いいたします。
※記事書きました。2020年4月
⇒WTI原油先物価格がマイナスになった理由を徹底解説
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