バイデン政権増税計画、その概要と株価や為替への影響について

イエレン財務長官 引用元:日経新聞

バイデン政権が大統領選の公約として掲げていた増税計画。先日1兆9000億ドル(約200兆円)規模の追加経済対策が成立し、「次は増税か?」とかなり話題になっています。

一斉に各紙が報じたこともあり、恐らく次にバイデン政権が取り掛かるのは増税なのでしょう。よくある「事情に詳しい関係者が明らかにした。」というやつです。

しかし、実際に増税計画の概要、またそれがどういった影響があるのかなど、分かりづらいと感じている方も多いのではないでしょうか。

そこで今回は、バイデン政権の増税計画について詳しく解説していきたいと思います。また、それが株価や為替にどういった影響を与えるなどについても見ていきます。

バイデン増税計画の概要

まず、アメリカの増税の歴史について見ていきましょう。これまでアメリカでは「共和党が減税し、民主党が増税する」ということが繰り返されてきました。実際にトランプ前大統領(共和党)による税制改革で、最高税率が引き下げられたこともあり、今回の増税は避けられないことのように思います。そして、もしこの計画が実現すれば、1993年のクリントン政権(民主党)以来となる約20年振りの連邦税の本格的な増税となります。

そして、肝心の内容としましては、あからさまではないですが、『富裕税』に近いものになるではないかと予想されています。線引きとして、年間所得40万ドル(約4400万円)を上回る階層が主なターゲットになる模様で、逆に年間所得11万ドル(約1200万円)などの中間世帯の負担軽減を前面に押し出したものになるではないかと言われています。

現在計画として出ている内容は以下の通りです。

年間所得40万ドル超の階層への増税

所得税率が37%から39.6%に引き上げられ、さらに12.4%の社会保障税率も適用。また、17日に放送されたテレビ番組のインタビューで、バイデン大統領は「所得が40万ドル超の人は大なり小なり税金が増える」とした上で、「40万ドル未満であれば、1セントたりとも追加で連邦所得税が課されることはない」と言明しました。

参考:Bloomberg

年間所得が100万ドルを上回る個人についての増税

長期キャピタルゲイン(1年超保有の株式などの売買差益)と配当が、従来20%から倍の39.6%の税率を適用する。

遺産税の対象拡大

相続人が相続財産を譲渡した場合の課税が有利になる制度(相続財産の取得価格を市場価格に引き直すstepping-up rule)を廃止し、被相続人の取得価格を引き継ぐ制度に改める。

法人税率の引き上げ

法人税率を現行の21%から28%に引き上げる。他にも、実効税率の低い企業にミニマム税を課すほか、米企業の海外利益に対する税率引き上げを目指している。

これらが現在、あがっている計画になります。また、この増税が「いつ行われるのか?」が注目される点ではありますが、おそらく中間選挙が行われる22年までに法案を通す可能性が高いでしょう。

なぜなら現在、米議会は「トリプルブルー」と言われる大統領選、上院、下院を全て民主党(シンボルカラーが青)が抑えており、仮に共和党の反対を受けたとしても、法案を通せる状況にあります。これまでも「トリプルブルー」状態はありましたが、いずれも中間選挙で共和党に敗れています。

なので、中間選挙までにバイデン政権は通したい法案を順番に通していくのではないかと考えられます。

増税が株価・為替に与える影響

では一体、この増税が実現すれば、株価や為替にどういった影響を与えるのでしょうか?順番に見ていきましょう。

イエレン財務長官のキャピタルゲイン税への発言

2月末にキャピタルゲイン税について、アメリカの財務長官であるイエレン氏が「一般の投資家に与え得る影響を綿密に調べる必要があるだろう」と発言しています。このことから少なからず、株価に影響がある可能性があります。

参考:Bloomberg

しかし、キャピタルゲインについては、実現の時期を納税者側が決めれるので、売らずに含み益として保持する『売り惜しみ』状態になるとも考えられます。もしくは、増税される前の『駆け込み売り』になるかもしれません。特にアマゾンやテスラなどの「上がり切った(と考えられる)グロース株」が売られてもおかしくはない展開です。そうなった場合は、富裕層の売り圧力がもろにかかるので、株価の下落につながる可能性は高いと言えるでしょう。

増税が米ドル上昇に重しになる可能性

2021年に入り、長期金利の上昇を受けて米ドルは堅調に推移しています。しかし増税されると再び、ドル安に転じる可能性があります。一般的に増税があると、通貨安になることが多いとされています。

引用元:YAHOO!ファイナンス

身近なもので例をあげると、日本の消費税増税のタイミングでは、ドル高円安になっていることが分かります。ただし、今回は法人税や富裕層に向けた増税がメインになるため、そこまで為替市場に大きなインパクトはないと考えています。

まとめ

バイデン政権の目玉でもある増税計画。おそらく避けることはできない流れでしょう。ただ、市場への影響は限定的なものになると今のところは考えています。

しかし、法人税の増税は企業の業績に直接寄与します。2021年の途中からは市場でも、米増税を織り込み始める可能性も大いにあるでしょう。GAFA株などで財を成した投資家が、増税前に『駆け込み売り』をするというシナリオも考えられます。

ですので、そういったリスクを想定しながら、ポートフォリオを組む必要があると考えています。

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