金先物はコンタンゴ減価を気にせず長期保有可能なのか?

金先物投資

金は現物投資がよい?先物投資がよい?金の先物について徹底解説!

ここまで何回かにわたり、金の投資について解説してきました。

金は原油・株が不安定な中注目されている資産であり、今後もインフレによる価格上昇が期待されることから、投資対象として持っておきたい資産になります。

一方で、投資の手段が多く、どういった投資が適切なのか、わかりづらい資産であるともいえるでしょう。

今回は、そんな金投資について、もう1つの疑問である、先物が良いか、現物が良いかと言う問題について、解説したいと思います。

知っておきたい先物と現物の違いとは?

まず、そもそも、先物と現物、何が違うかについて、解説していきましょう。

そのためには先物の仕組みについて理解する必要があります。

先物取引とは、ある商品(原資産)を、将来の決められた日(期日)に、取引の時点で決められた価格で売買することを約束する取引です。つまり、将来の約束について値段が発生しているのです。

本来、株式や商品の現物取引の場合、取引成立時に現物の受渡が行われます。

一方で、先物取引は、期日に株式や商品を一定の値段で「買う」または「売る」約束をする取引になります。そのため、取引時に現物の受渡は行われません。

一方で、決済を保証し、取引の安全性を確保するために、証拠金が必要になります。証拠金は必ずしも売買金額全額とは限りません。

そのため、先物には、〇月限、という商品があります。たとえば4月限であれば、4月まで取引が可能な商品で、実際の引き渡しは、そのあとになります。(原油の場合、4月限は5月末、金の場合は翌年の2月の引き渡しになります。)

また、市場規模の違いについても触れておきましょう。

一般的に、先物市場と現物市場の場合、先物市場の方が規模が大きくなっています。これは、先物市場が証拠金取引のため、レバレッジを効かせることができるからです。

先物投資を行う上で知っておきたいコンタンゴと、バックワーデーションとは?

もう1つ、先物を行う上で知っておきたいのが、コンタンゴとバックワーデーションになります。

先物のチャートというのは、基本的に、直近の先物をベースとして取引がされています。

つまり、先物の期日が来ると、その期日の商品を売り、次の期日の商品を買う、ということを繰り返しているのです。これをロールオーバーといいます。下図のようなイメージになります。

先物の仕組み
(出所:日興アセットマネジメントOne 

ここで注意したいのが、その月が期日の先物と、次の期日の先物に価格差がある場合です。

先日のWTI原油先物のように、5月物がとても安く、6月物が通常の価格の場合、一般的に、先物を扱うETFや投資信託では、5月物を売って、6月物を買っているわけです。

しかし、ここで何が起こるかというと、「安く売って、高く買ってしまってる」ということが発生するのです。

これを「コンタンゴ」といいます。

一方、たとえば需要が急増したとかで直近の先物が高くなっており、先の期日のものは安くなっているというケースもあります。

この場合、「高く売って、安く買っている」ということが起こるのです。

これをバックワーデーションといいます。先物に連動する商品に投資する場合は、基本的に、コンタンゴとバックワーデーションを意識した方がよいのです。

金は現物でも先物でも、実はあまり変わらない?

では、金の場合、先物と現物、どちらがよいのでしょうか。

結論から言うと、実はあまりどちらも変わらない、というのが結論になります。

なぜなら、金は先物と現物でほとんど価格が変わらず、また、先物も期限によって価格が変わるわけではないからです。

実際、東京商品取引所で取引されている金の先物の日足チャートをみてみましょう。

基本的には6本の商品が取り引きされていますが、ほとんど価格に差はありません。

金先物日足

理由としては、金の安定性が根底にあります。

金は原油などと異なり、実需に紐づいているわけではなく、あくまで投機対象になります。

そのため、直近の価格と先物の価格が変わらず、金に資金が流れれば価格が上がり、逆に流出すれば価格が下がる仕組みになります。

金の安定性がゆえに、先物の値段が変わらず、結果、コンタンゴを不意に心配する必要もないというわけです。そして、現物に投資できるというのも、先物の価格が変わりづらいことの1つの要因となります。

つまり、金においては、先物と現物、投資対象にそこまで差がないと言えそうです。もしどうしても心配なようなら、現物を買えばいいだけです。

まとめ

金の投資手段として、現物がよいか先物がよいかという議論があります。

先物の場合は、本来、安く売って高く買うコンタンゴに注意しなければならないのですが、金の場合は、現物投資ができるということ、さらに実需の影響を受けないことから、先物の価格が月によってほとんど変わりません。

なので、あまりコンタンゴは心配せずに投資しても、問題ないと思われます。

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