トランプの貿易戦争はどこまで続く?中間選挙と今後の株価の見通しについて

S&P5002018年

ドナルド・トランプ大統領が、各地で貿易戦争を仕掛けています。

中国との貿易戦争は皆さまも知っているかもしれませんが、それ以外にも、EUや、隣国のカナダ、メキシコとも貿易に関して対立しています。

直近のニュースでは、日本との貿易交渉も視野に入れている、という報道もありました。

このトランプ氏がしかける貿易戦争は、どこまで続くのでしょうか。また、この貿易戦争は、どのように株式市場、世界経済に影響を与えるのでしょうか。簡単に解説していきたいと思います。

トランプ大統領が仕掛ける貿易戦争とは?

トランプ氏は、全世界的に貿易戦争を仕掛けています。最も有名なのは、中国との貿易戦争でしょう。

現在、アメリカは中国に対し、500億ドル相当の商品に25%の関税をかけています。

これに加えて、カメラやハンドバック、掃除機などに対し、2000億ドル相当の関税を準備しています。

さらには直近のニュースで、さらに携帯電話を含む2670億ドル相当の関税をかける用意がある、とのコメントをしました。アメリカの中国からの輸入額は約5000億ドルであり、仮にすべての制裁が発動されるとすると、中国からの輸入品すべてに関税がかかる形になります。

EUからの鉄鋼・アルミニウムにも追加関税をかけており、これを交渉材料にEU諸国とも交渉を進めています。

カナダ、メキシコとは、NAFTAの交渉を巡り、厳しい態度をとっており、カナダやメキシコ側は反論しています。

また、9月7日には、日本と貿易交渉を始めたとコメントしており、「仮に物別れに終われば、日本側が一大事になることを認識している」と言ったそうです。

このほかにもインドとも交渉を行っているというニュースが流れるなど、様々な国と貿易戦争を仕掛けています。これは、自国の産業を守るためというトランプ氏が、海外に向けて、自国にとって有利な条件を引っ張ろうとしているのです。

日本との貿易戦争の影響は?

日本においても、貿易戦争は対岸の火事ではありません。

日本も、EUと同時に、アルミニウム、鉄鋼に対して関税が発動されました。

現在は除外項目として、関税は免除されていますが、トランプ氏の発言を聞くに、追加で貿易交渉がある可能性は否定できません。

通常、関税というのは品目単位でかけられます。日本からアメリカに輸出している、最も大きな品目は、自動車です。日本の自動車の輸出額は約4兆5000億円であり、日本のアメリカに対するすべての輸出のうち、30%を自動車が占めています。

現在、ここには、関税が2.5%かかっています。

しかし、アメリカ側は、この自動車に対しても、最大25%の関税をかける可能性があるのです。

今まで、約200万円だった自動車が、250万円になる可能性があるということで、日本の自動者メーカーに与える影響は計り知れないでしょう。言わずもがな自動車産業は日本の基幹産業であり、日本と本格的な貿易交渉をするということは、この自動車の関税問題は避けて通れず、これが表面化すると、日経平均はじめ、日本の株式市場にも大きな影響を与えるでしょう。

トランプの狙いは中間選挙?

トランプ大統領の狙いは、11月に控える中間選挙でしょう。

トランプ氏は、良くも悪くも、話題に富んだ大統領でしょう。

トランプ氏が大統領に就任して、「Make America Great Again」と発言した同氏ですが、外交では、北朝鮮のミサイル問題の解決に動こうとしたり、また、各所にアメリカに対する譲歩を迫ったりなど、特に外交面では派手な立ち回りをしている印象が強いです。

また、アメリカ国内では、大きな減税を実施し、雇用の回復や株価など、経済面で特に尽力し、成果を出してきました。

トランプ氏は、ロシア疑惑など、政局面ではクリーンでないイメージがあります。さらに、これまで、多くの政権幹部を交代させてきたなど、民主党にとっては、トランプを攻撃する手段が多くあるのです。

こういったマイナス面はどうしてもぬぐえませんが、それを上回る経済政策、外交政策を行うことで、自身のプレゼンスを保とうとしています。よって、中間選挙前では、こういった外交戦略、経済政策は続くと考えられます。

中間選挙後はどうなる?

では、中間選挙後はどうなるのでしょうか。パターンとしては、2パターンが考えられます。

1つは、これまでのトーンが若干鎮静化する可能性です。今までのトランプ氏のやり方を踏まえると、いったんキツいコメントをしながら、最終的には、少しの譲歩をアメリカに迫るというやり方が多くあります。

もともとビジネスマンのトランプ氏だけであり、落としどころを探しながら交渉をしていくのには長けています。最終的には、どの国も、「まあ我慢できるか」程度で交渉が終わり、また世界的に成長していく可能性もあります。

もう1つのシナリオは、特に中国に関して、貿易戦争が拡大、長期化する可能性があるということです。

中間選挙が良くない結果であった場合、トランプ氏は再度態度を硬化させる可能性があります。実質、経済上、米中は現在二大大国として覇権争いをしています。

今回の貿易戦争で、疲弊するのは中国側ともいわれており、トランプ氏は徹底的に貿易戦争を仕掛けるかもしれません。さらには、進んでいない北朝鮮の非核化など、外交問題もあります。こういった点に関する譲歩を引き出すまで、アメリカ側が態度を硬化するとなると、中間選挙後も不安定な相場が続く可能性もあります。

アメリカ株にある、「中間選挙のアノマリー」とは?

では、株価の動きはどうなるのでしょうか。9月に入ってからは、S&P500も、ダウも、決して堅調とは言えないでしょう。下表は、ダウの9月に入ってからのチャートになります。

S&P5002018年

(出所:Yahoo!ファイナンス)

このように、7月、8月は回復期棟だったものの、また9月に入って停滞しています。

この停滞の要因の一因として、貿易戦争の影響があることは否定できないでしょう。

また、米国株には、「中間選挙のアノマリー」というものがあることをご存知でしょうか。

アノマリーとは、論拠こそないものの、よく起こりうる現象ということです。その、「中間選挙のアノマリー」とは、「中間選挙の年は、株価の動きが激しく、特に中間選挙前は下落方向に向かう」ということです。

アメリカも、日本同様、選挙活動は活発に行われます。特に、日本と異なり、4年に1回の大統領選挙と、その間にある中間選挙が、大きな影響を及ぼします。

もちろんアメリカにも与党と野党があります。与党はこれまでの政権を維持しようとする一方、野党は次回の大統領選に向け、優位に進めるために、与党のマイナス部分を強調します。その影響は市場にもおよぶため、中間選挙の年は、相場が大きな上下動をしやすい、と言われているのです。

さらに、中間選挙のアノマリーには、続きがあります。それは、「中間選挙後は、株価が上昇しやすい」というアノマリーです。これは、政争が一段落して、政権が安定するため、景気がまた上向きになるということを意味しています。

中間選挙の年は、為替も変動する

為替相場にも、中間選挙のアノマリーというものが存在します。ドル円に限って言うと、変動相場制に移行した1973年以降、11回の中間選挙がありましたが、そのうち、9回は、1年を通じて、円高ドル安に動いています。(※年始の為替と年末の為替を比較)残りの2回も、1回は、2006年の1円と16銭というわずかな上昇と、2014年のアベノミクスの最中という特殊要因による円安が大きいです。

今年は、年始は112円65銭ではじまったドル円ですが、9月11日現在、111円前後をうろうろしています。このまま為替が進めば、アノマリー通りにはなりますが、まだ年始の価格とはほとんど差はない状況です。為替についても、アノマリーがあることは知っておくと、投資の役に立つかもしれませんね。

投資するなら、中間選挙の前に仕込むのがよい?

では、我々投資家は、この中間選挙を控えた、貿易戦争の最中、どのような投資行動をとるべきでしょうか。

1つは、米国株に投資をし続ける、ということです。

なぜならば、中間選挙後には、為替、株価ともに、再び成長軌道に乗る可能性があるからです。

先ほども話したように、中間選挙の年は、相場の上下動が大きくなります。ただし、これはなんらかの因果関係があるわけではありません。つまり、金融指標や経済指標については、あまり影響を受けずに上下動しているのです。

そのため、米企業のファンダメンタルがいい今は、逆に投資のチャンスと言えるわけです。たとえば、過去、トランプ氏がアマゾンを批判し、たびたびアマゾン株は株価を下げてきました。

しかし、今を見ると、その時は絶好の買い場だったわけです。このように、政局で下げるときは買い、というのは有効な手段であります。また、中間選挙のあとは、上がりやすいというアノマリーにも注目すべきでしょう。

もう1つは、投資をしない、という判断です。もし、中間選挙後に上がりやすい、というのであれば、そこまで待つ、というのは有効です。

特に今月、来月は、相場が下がる可能性も否定できません。そうなった場合、一度投資を休むというのも、有効な選択肢です。常に相場にかかわっておくのはよいことですが、極端なポジションをとらないことは、何より精神衛生上重要だといえるでしょう。

※米国株への投資については
それでも私が米国株に長期集中投資する理由

トランプの貿易戦争の行く末は?今後の株価はどうなる? まとめ

トランプ氏は、中国はじめ、EU、カナダ、メキシコなど、様々な国に貿易戦争を仕掛けています。もちろん、日本も対岸の火事ではなく、9月7日には大統領が名指しで日本と交渉していることを述べました。

トランプ氏がこのような態度をとっている一因として、中間選挙が挙げられます。

アメリカの中間選挙は政治的な大イベントであり、野党である民主党も攻勢に出ます。もちろんトランプ氏の陣営も、得意の外交や経済政策で、自身の印象をよくしようと、精力的に活動しています。つまり、中間選挙後は、この騒動がいったんは落ち着く可能性もあるでしょう。

投資家としては、どのように行動すればよいでしょうか。「中間選挙のアノマリー」という言葉があるように、中間選挙の年は、株価の上下動が激しくなります。また、為替は円高ドル安傾向に触れる可能性があることを知っておくとよいでしょう。

この相場を乗り切れるメンタルがあるなら、中間選挙後に上がるという過去のデータも踏まえ、投資を続けるというのも一つの手段です。しかし、「休むも相場」という言葉もあります。この上下動が激しい時期は、動かずに、中間選挙後を待つというのも、よい戦略であるといえるでしょう。いずれにせよ、中間選挙までは、アメリカの動向に世界が注目しているといっても過言ではないでしょう。

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