【各分野別】リート価格の今後の見通しについて

リート分析

原油や株と同様に、コロナウイルスで大きく変動があるかもしれないのが、不動産市場です。実際、東証リート指数は、コロナショックで、日本株、米国株に比べても大きく下げています。

しかし、REIT全体を見ると、メインはオフィス需要が多く、懸念されているホテルや商業施設系のREITは決して大きくないこと、そしてNAV倍率の観点からも、現在は相当割安と評価されていると考えます。

各国が金融緩和を行っている中、資金の行先としても注目されており、コロナショックが落ち着いた後、急回復する可能性もあるでしょう。

今回は、REITの各分野の動向について、もう少し突っ込んでみていこうと思います。

オフィス系REIT:底堅い需要が続く

まずはオフィスのREITからです。

代表的なものとして、<8951>日本ビルファンド投資法人や、<8952>ジャパンリアルエステイト投資法人などがあります。

オフィスREITですが、実はコロナウイルス前からある脅威にさらされていました。

それが「オフィス2020年問題」です。

オフィス2020年問題は、東京オリンピックに伴うビルの供給過多で、2020年にオフィスビルの供給過剰が起こるのではないか、といわれている問題です。

供給過多に加え、団塊ジュニア世代の退職などによる労働人口の低下や、オリンピック後の景気後退による需要減少等が引き金になって、オフィスの空室率増加や、賃料の減少が起こるのではないか、といった問題です。

しかし、この問題は杞憂に終わりそうでした。2020年3月末の段階で都心のオフィスの空室率は1.5%と、過去最低水準となっており、賃料も前年比で5%以上上昇しています。

オフィスは、いったん入居したら、すぐに出ることも難しいため、コロナウイルスにより空室が激増、ということはあまりないと想像できます。(もちろん少しは増えるでしょうが)

一方で、賃料の増額についてはブレーキがかかることでしょう。そういった観点では、安定しつつも、上昇スピードは遅くなると言えそうです。

住居系REIT:安定した収益が期待できる

同じく安定した収益が期待できるのが、住居系のREITです。

代表的なものとして、<3269>アドバンテスト・レジデンス投資法人などが挙げられます。

住居系REITについても、基本的には底堅い動きが期待できるでしょう。

その1つが、都市部の住居の需給です。供給過多傾向にあったオフィスとは異なり、都心部での賃貸住宅の供給というのは、そこまで多くありません。

そのため、現時点では、まだ需要が多いという状況が続いています。今後も、着工件数等の大幅な上昇は見られず、引き続き需要が供給を上回る、ということは続いていくことが予想されます。

今回コロナの影響もあり、人の移動には制限がかけられるため、一時的に需要が減る可能性はあります。

しかし、コロナの後も、住む場所が急に変わったり、人口動態が変わるわけではありません。そういった観点からも、いち早く回復するのが、住宅系REITである可能性は十分にあるでしょう。

物流系REIT:すでに割高な可能性に注意

物流系REITの代表的なものとして、<3283>日本プロロジスリート投資法人や、<3281>GLP投資法人などがあります。

物流系REITにとっては、むしろコロナは追い風となっている可能性もあります。コロナの影響を受けて、宅配や通販の需要が増えているからです。

しかし、一方で注意したいのが、物流系REITが本当に投資対象としてよいか、ということです。なぜなら、物流系REITは、コロナによる価格下落から、いち早く回復しているからです。

実際、4月の騰落率は、上位に物流系のREITが並びました。つまり、こういった需要の増加は、すでに織り込まれている可能性があります。

アフターコロナ後も、通販やECにカスタマーが流れることは想定されうる話です。しかし、短期的な需要が今後も続く保証はありません。この辺は留意した方がよいでしょう。

商業系REIT、ホテルREIT:今は手を出さない方が無難

商業系REITの代表的なものに、<8953>日本リテールファンド投資法人、ホテルREITの代表的なものに、<8963>インヴィシブル投資法人があります。

これらのセクターは、もろにコロナの影響を受けるセクターになります。特にホテルでは、中規模経営のホテルが続々と倒産しています。

ホテルや小売業が倒産すれば、これらのREITにも打撃を与えます。まだコロナの見通しが見えない中、こういったREITを選ぶのは、基本的には避けた方がよいでしょう。

まとめ

REITは現時点では割安ではあると思いますが、分野別に見ると、今後の見通しが大きく変わってきます。

住居系やオフィス系は底堅いと予想する一方、商業施設やホテルは現時点では先の見通しがたたない状況です。

物流系も将来に期待は持てるものの、すでに回復のスピードが速いことには留意しておくとよいでしょう。うまく分野ごとの特徴を見ながら、最適なREITに投資をするようにしましょう。

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