コロナで精細を欠く不動産への投資はあり?REIT価格今後の見通し

東証リート指数

これまで、ここ数か月、主にコロナウイルスによる影響をうけたものとして、石油、そして金、一部個別株について、今後の見通し等を解説してきました。

石油は今後も厳しい見通しが続くのではないか、一方金は長期的に見てもさらに伸びる余地があるのではないか、という目線を持っています。

そして、今回、検討したいのは、不動産です。

STAY HOMEといって、家にいることが増える一方、外食産業やホテル業界は厳しい状況が続く見通しになっています。

今後、不動産はどうなるのでしょうか。まずはREITから解説したいと思います。

REITを語る上で知っておきたい、東証REIT指数

REITと言っても、レジデンス系やホテル系、物流系まで、様々な種類があります。しかしながら、まずはREITの全体感を理解しましょう。

REITの全体感を知る上で、知っておきたい指標が、東証REIT指数です。

東証REIT指数は、上場している全てのリートを対象とした時価総額加重平均した指数であり、東京証券取引所に上場している不動産投資信託(RIET)の全体の動向を表す指数になります。

東京証券取引所が毎日算出・公表しています。不動産投資信託市場全体がどのような動きをしているかを知るうえでとても便利な指数となっていますので、不動産の全体感を知りたい時は、まずはREIT指数を確認すると良いでしょう。

また、東証REIT指数に連動するETFや投資信託も多く存在しています。

REIT指数の値動きはどうなっている?

では、そういったREIT指数ですが、現在のチャートを見てみましょう。

東証リート指数

(出所:楽天証券 )

2019年末から高値レンジにあったREIT指数は、2月には一時2200ポイントを超えていました。

しかしながら、2月後半には、コロナウイルスの影響によるインバウンド減少や、商業施設の売上低迷、および東京オリンピックの開催に対して不安が持ち上がったことなどから、一気に下げ、3月には1100ポイント台を記録しました。

アベノミクスが開始した2013年1月以来の水準まで下がり、2月末から見て、REIT全体の時価総額が約8兆円、43%もの時価総額が消失しました。

この時、分配金利回りは6.7%を超える水準まで上昇しており、NAV倍率(純資産倍率)は0.65倍と、非常に割安に見える状況となっていました。

その後、日銀の金融緩和政策の中で、REITの買入れ枠を増やすことを発表したものの、戻りは限定的になっています。また、3月のREITは、個人投資家が下落する際に買い増した一方で、機関投資家や金融機関は売りに向かった月となりました。

今後のREITの見通しはどうなる?

では、今後のREITですが、見通しはどのようなものなのでしょうか。

現在は横ばいで推移しているように見えますが、悪材料出尽くしで上振れするのか、それともここからさらに下がっていくのでしょうか。

全体感でいうと、REITは短期的に下げる可能性があるものの、下値は限定的であると考えています。それは、コロナの影響によるものではなく、REITの性質によるものだと考えています。

REITのメインプレイヤーはあくまでオフィス

まず、その根拠の1つとして、REITのメインプレイヤーは、あくまでオフィス需要である、ということが挙げられます。

下記の表がJ-REITの用途別の構成比になります。

リートの構成要素

(出所:J-REIT.jp )

図を見るとわかるように、オフィスの需要がメインで、懸念となっている、商業施設、ホテルは、合わせても25%程度しかありません。そして、オフィスも住宅も、基本的には都市部の物件がREITの対象となっていることが多くなっています。

もちろん、企業の倒産によりオフィス賃料が回収できない、というケースもありえるでしょう。しかしながら、実は、東証REIT全体で見ると、コロナウイルスの影響は限定的である、といえるかもしれません。

現時点で2200円からは30%以上下落しており、すでに商業施設、ホテル分は織り込んだともいえます。

さらに、ここにきて、金融緩和策の影響が出てくることが予想されます。上でも述べたように、日銀はREITの買い入れ枠を増やしています。

また、世界中で金融緩和を行っており、大幅な金余りの状況が続くことも予想されます。こういった状況から、コロナウイルスの影響がなくなった際には、REITに再度資金が流れ込んできても不思議ではありません。日経平均に比べても、割安な状況が続いているといえます。

今後、コロナ次第では、一時的に価格を下げることはあるでしょう。しかし、長期的に見れば、その時こそ、買い時かもしれません。

まとめ

コロナの影響が出ているのは、株や商品だけではありません。不動産市場にも、コロナの影響は出ています。

日本全体の不動産の動向を見ることができる東証REIT指数においても、価格は最大45%程度下落しました。今は一時値を戻していますが、まだ2200ポイントには程遠い状況です。

今後、コロナがつづけば、REIT指数はさらに下がるかもしれません。

しかし、REITのメインはオフィスであり、価格の変動は限定的なこと、すでにNAV倍率から見ても割安なことから、下値は限定的だと予想します。さらに下がった時は、買い時かもしれませんね。

次回は個別REITについて、解説していきたいと思います。

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