オーバーローンのデメリット【二重契約はおすすめできない】

前編では、オーバーローンとはそもそも何か、そして、オーバーローンのメリットとは何かについて、シミュレーションを用いながら説明しました。

前回の記事⇒オーバーローンを使った不動産投資のメリットとは?フルローンと比較

「Cash is King」の言葉通り、オーバーローンを使うことで、手元にキャッシュが残り、次の借入がしやすくなることや、手元資金を運用することで、最終的な資産が増える、というようなメリットがあります。

しかし、オーバーローンは、必ずしも、美味しい話というわけではありません。むしろ、オーバーローンを安易に進めると、デメリットの方が大きくなることもあります。後編では、デメリットを中心に解説します。

オーバーローンのデメリットは?

早速、オーバーローンのデメリットを見てみましょう。オーバーローンのデメリットは、主に3点あります。

融資リスクが存在する

一番大きいのは、融資リスクです。

前編でも話をしたように、基本的に、金融機関は、目的に応じて貸し付けを行います。不動産ローンの場合、基本的に貸付金は不動産購入以外の目的で使うことはできません。

しかしながら、オーバーローンの場合、不動産価格以上の融資が出ているわけですから、少なくとも一部のお金は不動産の購入以外に使われるわけです。つまり、これは契約違反になる可能性があるわけです。

オーバーローンを使う時は、銀行に対しては、オーバーローンの金額で売買する契約書を出す形になります。この契約書と、実際の価格での売買契約という、2種類の契約書が存在してしまう可能性もあるわけです。

実際、オーバーローンが発覚した瞬間に、融資契約を破棄されることもあります。法的にはこちらが不利なことは間違いありません。安易なオーバーローンは、融資そのものがなくなるリスクがあるのです。

月々の返済額が高くなる

これは、当たり前の話ですが、借りる金額が増えるため、月々の返済額が高くなります。

また、途中で金利が変動することもあります。もちろん、余剰資金の運用利回りが融資金利を下回ることもあり、その場合は最終的な資産額はマイナスになります。多く借りる、ということは、より高いリスクをとっていることを理解しましょう。

売却のタイミングが難しくなる。

シミュレーション上は、オーバーローンの方が資産額は上がるのですが、その分残債もオーバーローンの方が多くなります。これも、オーバーローンのデメリットの1つになります。

売り時だったのに、残債が売却金額より高いから、もう少し待とう…と思って待った結果、売るタイミングを逃してしまったという例もあります。残債とキャッシュの含み益を連動させて考える必要があり、慣れていない人は混乱するかもしれません。

どういう時、オーバーローンが検討できる?

このように、オーバーローンは、メリットよりも、デメリットが大きいケースの方が多いです。

では、どういう時に、オーバーローンを検討すればよいのでしょうか。具体例を示してみましょう。

売買契約をきちんと引ける場合

二重の契約書は、法的にもこちらが不利になりますし、金融機関がそれに気づいた時点で、ローン終了のリスクが多いにあります。なので、二重に契約書を引くのは、間違いなく避けた方がよいでしょう。

二重に契約書を引かなくても、オーバーローンが通るケースもあります。それは、通常契約で売買したのち、不動産会社からキャッシュバックとして現金を受け取るケースです。

この場合、不動産会社から受け取るのは、あくまでキャッシュバックであり、不動産は契約書に記載された値段で売買されていることに間違いはありません。

このケースのみ、オーバーローンの可能性があると考えましょう。二重に契約書を引くのは、リスクが高すぎるため、絶対にやめてください。

ネットキャッシュがプラスになる場合

特に投資初心者の場合、ネットキャッシュ(家賃-返済-管理費-修繕積立金)が、オーバーローンによりマイナスになることは避けた方がよいでしょう。理論上はプラスになっているかもしれませんが、精神的に毎月マイナスになるのは、特に初心者の場合は不安を覚えることも多いと思います。

好みの問題もあると思いますが、個人的には、ネットキャッシュはプラスになる範囲でのローンをお勧めします。

キャッシュをきちんと運用できる場合

オーバーローンによる資産拡大方法は、キャッシュを現金で持っていても、1㎜も役に立ちません。キャッシュをうまく運用することが、資産拡大のポイントです。このノウハウを知らない、うまく運用できない、という方も、この方法はおススメできません。

オーバーローンのデメリット まとめ

このように、オーバーローンは、デメリット、リスクも多く、まさに諸刃の剣と言えるでしょう。

特に、二重契約でオーバーローンを引くことは、絶対に避けてください。

オーバーローンを設定する際は、きちんと正しい売買契約を引けるか、ネットキャッシュがプラスか、そして何より、浮いたキャッシュを運用できるか、この辺がオーバーローンを利用するかどうかの判断基準になりそうです。

一時的にキャッシュが増える、ということに惑わされず、きちんと必要かどうかを判断しましょう。もし、判断する自信がないなら、オーバーローンは避けた方が無難であるといえるでしょう。

⇒オーバーローンを使った不動産投資のメリットとは?フルローンと比較

※住宅ローンは以下のサイト「住宅本舗」でシュミレーションすることが可能です。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。