貯金が本当に損をしない投資なのか?インフレの影響をわかりやすく解説

前回は、投資について、その歴史から、日本人がなぜ投資を敬遠するかについて解説しました。日本人のマネーリテラシーが低いこと、また、相場が乱高下しやすく、長期投資に向かない相場が続いたこと、そして、一部の金融機関が、手数料のために儲からない商品を販売したことなどが複合的に重なり、投資=リスクが高い、というイメージがついたことが主な要因だと考えられます。

前回の記事⇒日本人はなぜ投資嫌いが多いのか?その理由とは?

今回は、本当に投資がリスクで、投資しないことが安全なのかについて、私の考えを中心に整理していきたいと思います。

貯金はほんとうに損をしない商品なのか?

まず、貯金はほんとうに損をしない商品なのか、冷静になってよく考えてみましょう。

現在、大手メガバンクの普通預金の金利は、0.001%、定期預金の金利は0.01%です。普通預金であれば、お金を100万円預けると、1年後には、100万10円になります。

お金の価値は変動的なもの

たしかに、10円増えているということは、損をせず、得をしていると思う人もいるかもしれません。

しかし、ここで、「お金の価値」というものを考えてみましょう。

例えば、数年前に、自動販売機の缶ジュースが120円から130円に値上げしたことがありました。

また、吉野家の牛丼も、時と場合によって、値下げしたり、値上げしたりすることがありますよね。このように、お金というのは絶対的なものではなく、商品やサービスに対し、価値が変わることがあるのです。(もちろんお金の価値が変わる以外の要因も多くあります。)お金がサービスに対して価値が高くなる(=値下げが起こる)ことをデフレ、お金がサービスに対して価値が低くなる(=値上げが起こる)ことをインフレといいます。

このインフレ指数と言うのは、現在の経済において非常に重要な意味合いを持っています。

なぜなら、インフレが急速に起こりすぎると、今あるお金で商品が買えなくなるため、国民が困ってしまいます。こうならないように、インフレ指数をコントロールするのが、国と中央銀行の役割と言われています。

今、日本の中央銀行である日銀は、インフレ率2%を目標にしています。根拠に乏しい部分はありますが、インフレ率が2%前後であることが、安定して経済成長できると言われているからです。

では、今の日本のインフレ率を見てみましょう。

(画像は世界経済のネタ帳より引用)

日本のインフレ率は、1980年代は3-6%前後で推移していたものの、1990年代に入り、0%前後を推移しています。

つまり、1990年代以降は、お金の価値がほとんど変わっていないということです。2014年に少し上がっているのは、消費税を5%から8%に増税したからです。

これからのインフレ率はどうなるのか

では、今後も、このように、お金の価値はほとんど変わらないのでしょうか。

私の予想は、残念ながら「No」です。今後は、インフレが進んでいく可能性が高いと思っています。

1つの理由としては、外国の動きです。たとえば超大国であるアメリカでも、ゆるやかなインフレが進行しています。中国やインドなどの新興市場では、先進国以上にインフレが進んでいます。

このため、海外で生産しているもの、つまり輸入品については、値段が上がっていくことが予想されます。為替で受け止める部分もあると思いますが、徐々に、輸入品の価格が上がっていくと、最終的には商品価格に反映せざるを得ません。

よって、物価は徐々に上がっていくことが予想されます。日本は多くの原料を外国に頼っていますので、外国のインフレの影響を受ける形になるのです。

もう1つは、日本銀行や政府の動向です。今の総裁である黒田総裁は、インフレ率を2%に設定しています。

また、インフレ率が高くなると、景気がよい証拠と言われており、景気回復の指標としても使われています。今、景気回復は政府の重要事項であるため、今後も、インフレ率を上げるために、なんらかの施策を行うでしょう。こういった政治的要因からも、インフレが徐々に進むと予想されます。

インフレが進むと、資産は目減りする

インフレが進んだと仮定しましょう。今、100万円貯金があるとします。たとえば、100万円のものが、来年1年後には、110万円になったとします。

しかし、貯金は、定期預金であっても、101万円にしかなっていません。

今買えるものが、来年には買えなくなってしまうのです。普通預金金利が、長期的に見て、インフレ率を大きく超えるというのは、過去を見ても例がなく、たいていの場合は金利<インフレ率です。

つまり、お金の価値が下がっている中では、預金というのは、損をするようになっているのです。

つまり、今後インフレが進んでいくとすると、預金という行為は、徐々に資産を減らすという行為に他なりません。投資をせず、預金をするということが、最もリターンが低く、リスクの高い行為となってしまうのです。

投資の意義を考える~「投資をしない」リスクについて考える まとめ

一見、損をしないように見える預金。しかし、お金の価値が変動するということを考えると、必ずしもリスクがないとは言い切れません。特に、インフレの局面では、預金は間違いなく資産を減らす行為になってしまいます。

世界的にインフレが起こっており、かつ、今後日本も国としてインフレを目指していくという方向性ですので、遅かれ早かれ、日本でもインフレが起こるのではないかと予想できます。その時に、投資をしていないことは、最大のリスクになってしまう可能性が高いのです。

「投資するリスク」「投資しないリスク」どちらもリスクです。しかし、投資するリスクはリターンがあるのに対し、投資しないリスクはリターンがほとんどありません。つまり、我々は、投資で、自分たちの資産を守っていく必要があるのではないでしょうか。

次はこちら⇒サラリーマンにとっておすすめの投資法とは?失敗しないためのゴール設定

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