ETN原油ダブルブルは長期投資に向かない理由について

原油価格の高止まりが続いています。そんな中、日本の証券市場に上場している、あるETNがひっそりと注目を浴びています。

それが、NEXT NOTES 日経・TOCOM 原油 ダブル・ブル ETN(以下原油ダブルブル)です。

最近価格の上昇目覚ましい本銘柄ですが、投資対象として適切なのでしょうか。

検証していきたいと思います。

まず、ETNとは何か?

ETNは、指数連動証券と呼ばれる商品になります。

大枠は、ある指数に連動するように作られた、上場した金融商品ということで、ETFに近い商品になります。

2点だけ異なるのは、ETFは償還期間が原則ないのに対し、ETNは償還期間がある(何年か後に還付される)という点と、ETNは裏付けがないため、ETN発行会社の倒産で、価値がなくなるリスクがあるということです。

まあ、あまり難しいことは考えずに、ETFに近いものだと理解しておくとよいでしょう。(ただし、発行会社だけは注意してみてください。)

NEXT NOTES 日経・TOCOM 原油 ダブル・ブル ETNとはどういう商品?

では、原油ダブルブルETNは、いったい、どのような商品なのでしょうか。

パンフレットによると、本商品は、指数の変動率が、日経・東商取原油指数 の前日比変動率(%)の2倍となるように計算された、日経・東商取原油レバレッジ指数を連動対象とした、ETNになります。

簡単にいうと、東京商品取引所で取引されている、原油価格の指数に対し、倍のレバレッジを効かせた商品です。

すごく簡単に言うと、原油価格が10%上がれば、このダブルETNは20%上がる。同様に、10%下がれば、20%下がるという、よりリスクをとった商品になります。

一言で言うと、「原油が上がればもうかり、下がれば損をするファンド。リスクは、通常の倍ある」という商品ですね。

原油先物に投資する方法」にも詳しく書かれていますので参考に。

なぜ、原油ダブルブルのETNが注目されているのか

そのようなETNですが、なぜ、今、原油ダブルブルのETNが注目されているのでしょうか。

その一番の要因は、直近の原油高にあります。

※最近の原油高については、「原油価格はなぜ上がっているのか?上昇の理由と今後の見通しについて」で詳しく解説をしているので、ご覧ください。

その恩恵を受けて、原油ダブルブルのETNは、原油以上に成長しています。同じく原油価格をインデックス指標とする、WTI原油価格連動型上場投信と比較してみましょう。過去1年のチャートです。


(引用:Bloomberg)

このように、昨年秋から、原油の上昇とともに、より早いスピードで価格が上がっていく商品になります。

過去1年で、WTI連動型が+40%くらいにとどまっているのに対し、原油ダブルブルは、倍以上になっているわけです。レバレッジの恩恵を十分に受けているわけですね。

これが今、このETNが大きく注目されている要因です。

原油ダブルブルETNの評価は?本当にいい商品なのか?長期投資には向かない?

では、原油ダブルブルETNは、本当にいい商品なのでしょうか。個人的には、長期投資には難しい商品だと考えています。

・原油価格はボックス相場

レバレッジ系の商品は、その商品が上がり続ける、または下がり続ける局面で有効です。なので、この1年間、原油ダブルブルETNはその恩恵を十分に受けてきました。しかし、原油価格というのは、本質的に、ボックス相場になります。

過去17年の東京原油のチャートは下記の通りです。

ご覧のように、上げては下げ、を繰り返していることがわかるでしょう。

レバレッジは、基本的に、ボックス相場には弱い商品になります。(レバレッジのメリット、デメリットは、また別途説明します。)

その点、原油は、需給がある以上、ある程度相場はボックス状にならざるを得ません。安値で仕込んで、高値で売り抜けることができればよいのですが、なかなかそうはいかないのが投資です。

実際に、原油ダブルブルETNと、WTI連動型ETFの、5年のチャートを見てみると、違いがよくわかります。


(出典:Bloomberg)

このように、下がる局面では、-93%まで下がるわけです。それが少し戻ったのが今の状況と言えるでしょう。このように、ボックス相場とレバレッジは、あまり相性がいいとは言えないでしょう。

・原油はそもそもボラティリティが高い

また、原油というのは、そもそもがボラティリティが高い、リスク資産だと言えるでしょう。そこにレバレッジをかけるとなると、リスクは相当高くなります。長期投資の極意は、極力リスクを低くすることです。そういった意味でも、ここまでリスクをあげる必要があるかと言うのは、考える必要があるでしょう。

原油ダブルブルETN、買うならおススメの証券会社は?

原油ダブルブルETNを買うのは、明らかに原油価格が底であるところ、であれば、効果的に資産形成ができるかもしれません。

そして、高値に近づいたタイミングで売ることが重要だと言えるでしょう。

もし、原油ダブルブルETNを買うのであれば、SBI証券がおススメです。国内、海外市場ともに、手数料が業界最安値クラスであることが魅力です。

松井証券なら1日約定代金50万円まで手数料無料

また、2020年より松井証券が1日約定代金50万円未満なら手数料無料となる大盤振る舞いを実施しました。

原油ダブルブルは1株から買えますので、1日約定代金50万円未満に抑えることは容易です。

1日約定代金が50万円以上にならないのであれば、松井証券を使うことで、ずっと手数料無料で取引ができますので、こちらもおすすめです。

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原油 ダブル・ブル ETNは、短中期的に買う商品。長期保有には向かない。

原油ダブルブルETNは、原油価格に倍の動きで連動する商品になります。原油が上がる局面では、大きな力を発揮する金融商品です。

しかし、レバレッジをかけているということは、その分、下げ幅が大きく、リスクが高いことを理解しなければいけません。

原油価格は基本的にボックス相場です。ボックス相場とレバレッジは、あまり相性がいいものではありません。さらに、そもそも原油価格はボラティリティが高いため、レバレッジをつけてリスクをとる必要があるかどうかは、長期投資においては疑問です。

このような商品は、原油価格が底だと感じたときに、ある程度上がるということを見越して買うべき商品だと言えるでしょう。中期的な資産形成のタイミングであれば、トライアルしてもよいかもしれません。

CFDで原油先物に投資するのがおすすめか

原油先物に投資するのであれば、CFDという選択肢もあります。

原油先物であれば、ETFとは違い信託報酬や償還リスク等がありません。

コストはスプレッドのみですし、レバレッジも20倍までかけることができますので、中上級者の方はCFD口座を使うのが良いでしょう。

そして、何より24時間いつでも取引ができるので、ETFと違い夜間の一瞬の高騰のチャンスを逃しません。

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原油先物投資についての解説記事(2020年5月)

原油ETF、CFDについてリスクも併せて詳しく知りたい方は「原油価格暴落は投資のチャンスか?【原油先物に投資する方法】」の記事を参考に。

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