レオパレス21株価上昇は期待できない理由【今後の費用負担・負債が重い】

レオパレス21株価

レオパレス21は立て直せる?事件の全貌と、投資のタイミングを解説

以前、TATERUの不正やスルガ銀行の事件について解説しましたが、ちょうど昨年くらいから、不動産会社の不祥事が話題になっています。そして、この2月に入って、レオパレス21が、同様に、不祥事を起こしたことをご存知でしょうか。

※タテルについては⇒タテルは倒産するのか?資料改ざん事件の内容と今後の影響を解説

※スルガ銀行は⇒スルガ銀行不正融資で株価暴落は買いのチャンスか?今後の見通しと投資判断について

今回は、この、レオパレス21について、ビジネスモデルおよび、この不祥事の影響、さらには、今後の株価の動向について、解説していきたいと思います。

レオパレス21はどういう会社?どういうビジネスモデルをしているの?

まず、レオパレス21はどういう会社か、について、解説していきましょう。

レオパレス21のビジネスモデルは、賃貸事業と開発事業という形になっています。少しわかりづらいので、もう少し詳しく解説しましょう。

レオパレス21のベースにある事業は、「相続対策」です。

田舎の土地を持っている、富裕層に向けて、「土地の有効活用」と題して、彼ら自身がアパートをたて、そのアパートを一括で借り上げし、そのアパートを又貸しする、というビジネスモデルになります。

オーナーはいったんレオパレスと契約すれば、アパートを建てるところから、入居者募集まで、すべてレオパレス側でやってくれる、という仕組みになっています。

また、オーナーにとっては、一括借り上げで、空室の有無にかかわらず、一定の金額が入ってくる仕組みになっており、こういった安定的に収入が入ってくる仕組みを売りに、事業を拡大してきました。

しかし、リーマンショックで、賃貸需要が減少したことをきっかけに、同社はストックビジネスへの転換や多角化を進めており、現在は海外事業や介護事業にも進出しています。

今回の事件は、何が発覚したの?

では、今回発覚した事件というのは、いったいどのようなものだったのでしょうか。

彼らのプレスリリースを見てみると、今回、不備は3つあったとされています。

参考:当社施工物件における施工不備問題の対応について

  1. 断熱材としてグラスウールを使用する予定だったものが、実際には発砲ウレタンが使われており、遮音性の基準値を満たさない可能性があるということ
  2. 外壁が、準耐火または防火構造の仕様が求められているにもかかわらず、その基準を満たしていない可能性があるということ
  3. 天井部の施工が、準耐火構造を満たしていない可能性がある

ということでした。

2018年にも、レオパレスは、界壁の不具合が発覚し、その対応のために準備を進めているところでした。

そこに、この不備です。レオパレスは、360億円の特別損失を出し、不備の引当金とした上で、今後も、全棟調査および、調査後の補修を進めていく予定となっています。

今後、レオパレスの株価はどうなる?買いのチャンスか?

では、レオパレスの株価はどうなっているのでしょうか。5年チャートを見てみましょう。

レオパレス21株価

(出所:Yahoo! Finance レオパレス21株価 )

このように、2018年の不備発覚後、株価は大きく下げ、そして、今月に入り、さらに株価は大きく下げています。

2018年初頭には1000円近くあった株価が、現在200円前後まで下がっているのです。

では、この水準まで下がっているレオパレス株は、買いなのでしょうか。それともさらに下げるのでしょうか。

まずは、基本指標を見てみましょう。

第三四半期の決算で見ると、PERは赤字のために算出負荷、PBRは0.46倍と0.5倍を割っています。

さらに、時価総額が約500億円に対して、現金が約860億円、純資産も1000億円以上あります。財務状況だけ見ると、一見、「お得感」があるようにも見えます。実際、360億円の特別損失を出しても、まだまだ余裕があるように見えるからです。

しかし、この数字だけを見て、「買い」と判断するには、いささか早計であるように思えます。

それは、この企業が持つ、本質的な負債について、判断していないからです。本質的な負債とは、レオパレスの建て替え、補修に伴う費用、のことです。

レオパレスは、現在4万棟近い棟数のアパートを持っています。そして、検査が進んでいるのは、まだ、わずか14000棟しかありません。しかも、そのうち、不備なしは、1700棟と、10%そこそこの割合でしかないのです。

これを4万棟にすると、補修が必要なアパートは3万5千棟にも及びます。一方引当金は360億円です。本当に、1棟100万円程度で補修が完了するのでしょうか。

もちろん補修だけでなく、その間の住居者の転居費用等もかかってきます。私としては、1000億円近く、本件で現金が飛んで行っても不思議ではないと考えます。その観点でいうと、今の資本、現金では、不十分だと思うわけです。

つまり、レオパレスは、「買い」ではなく、「売り」が正しい判断だと思います。

まとめ

レオパレス21は、これまで、相続対策として、投資用アパートを建て、借り上げることで、収益を得てきた会社になります。

しかし、去年、今年に発覚した、物件の不備で、事態は大きく変わることになります。外壁や界壁等に不備が見つかっており、レオパレス21は360億円の特別損失を出すなどして、対応にあたっております。

現在の株価200円という水準は、PBR0.46倍、時価総額500億円に対し現預金800億円と、魅力的な水準にあるように思えます。

しかし、今後、物件不備への対応が、360億円で収まるとは思えないからです。検査が済んだ4割弱の物件のうち、90%近くが不備ありとなっています。

今後、全棟検査を予定していますが、これに伴い、損失は拡大していくと予想されます。確かに目先の株価は魅力的ではありますが、長期投資には向かないかもしれません。

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