2019年、ついにイールドカーブが逆転をするなど、現状株式市場の数字は悪くないものの、リセッションの足音が近づいてきている可能性があります。
そういった時に、我々は、より確実に利益が得られる方法を考えなければいけません。
その1つとして、高配当投資、連続増配株投資が挙げられます。今回は、その、高配当投資の代表銘柄でもある、たばこ株について、概要や特徴、おススメ銘柄を紹介します。
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2019年の相場環境で、5%のリターンはどのように達成できるか
何回も紹介していますが、私の投資術は、年5%のリターンを上げることを目的としています。
この年間5%という数字は、米国株だけで考えると、過去のS&P500のリターンなどを見るからに、そこまで難しいものではない、と考えています。
その「年間5%を達成する戦略」を考えるにあたり、2019年の戦略を考えた際に、私は、2019年は、厳しい年になる可能性がある、と考えています。
実際、つい先日、イールドカーブが逆転しました。イールドカーブが逆転すると、そこから2年を目途に、大きなリセッションが来るということはよく知られています。
そのため、我々は、リセッションに備えた投資をしなければいけません。
では、リセッションに備える投資とは、いったいどのような投資なのでしょうか。
答えの1つとして、「高配当投資」「連続増配投資」が挙げられます。
株式市場全体が下がっている際に、キャピタルゲインを狙うのは、決して簡単なことではありません。
その場合、現実的な戦略として、インカムゲイン、つまり配当金や分配金を狙っていく投資があります。配当金や分配金はその場で利益確定するものになりますが、不況が来たからと言って、アメリカ株の場合、そう簡単に減配をするわけではありません。
実際、25年以上連続増配をしている配当貴族・50年以上連続増配をしている配当王といった銘柄が多くあるのです。そういった高配当株を買って、地道に利益確定をさせていく、そういうことも下落相場では有効になってくるのです。
たばこ株はなぜ高配当を維持できるのか?
そういった、高配当株の銘柄の代表選手が、「たばこ株」になります。
たばこ株とは、日本のJTや、イギリスのブリティッシュ・アメリカン・タバコ、アメリカのフィリップ・モリスなど、タバコの製造販売を行っている会社になります。
こういった銘柄は、昔から高配当銘柄として、インカムゲインを狙う投資家の間では人気の銘柄になります。
では、なぜ、たばこ株は、高配当を維持できるのでしょうか。それは彼らのビジネスモデルおよび、タバコという商品の特徴にあります。彼らのビジネスモデルおよび強みを簡単に整理しましょう。
たばこ産業というのは、基本的には、お酒同様、規制産業になります。
まず、日本では、20歳以上でなければ、たばこを吸うことはできません。
また、たばこの健康被害もたびたび話題になっており、基本的に、たばこに関しては逆風のニュースがよく出てきます。
さらに、先進国になればなるほど、たばこのニーズというのは減る傾向にあり、実際、平成30年の調査でも、日本人の喫煙率は男性27.8%、女性8.7%と、昭和40年の男性82.3%、女性15.7%と、大きく減少しています。
このように、たばこを一つの市場として見ると、先細りであることには変わりはありません。
逆にいうと、こういった事実は、たばこ会社の優位性を高めていると言えます。
1つは、こういった逆風の市場環境の中では、たばこ産業に新規参入したい、という会社は少なくなります。また、たばこ産業を始めること自体、各国の認可をとる必要があり、また、健康の観点から見て、新しい認可をとることは難しいといえるでしょう。
つまり、たばこ会社は、新規参入の恐怖と闘う必要はないのです。
また、たばこの代替になるものが、現時点では簡単に見つかることはなく、代替品の脅威というものもありません。
また、喫煙率は下がる傾向にあるものの、喫煙率の高い新興国においては、人口流入が増えていることから、結果、喫煙人数は世界レベルでは増えている、というデータもあります。
そういった意味で、しばらくの期間は、市場は安定的に推移するとみられています。こういった、ある規模の市場を、世界の何社かで安定的に獲得できる産業なので、比較的利益がでやすい構造になっているのです。
さらに、もう1ついえば、新規投資が少ない、というのも大きな特徴でしょう。
現状、どのタバコ会社にも、会社のM&Aなどはあれど、新しく工場を作って、生産力を大幅に増加される、という戦略はなく、基本的には、電子タバコなどの場合を除き、新規投資は限定的になっています。
そのため、キャッシュフローが残りやすい構図になっており、株主還元しやすいのです。
その点からも、たばこ銘柄は、安定的なインカムゲインを出しやすい構図であると言えるでしょう。これらをすべてひっくるめて、高配当投資として、たばこ銘柄が、人気があるのです。
たばこ銘柄の代表銘柄4社を紹介
では、たばこ銘柄には、どのようなものがあるのでしょうか。代表的な4社について、その特徴を紹介したいと思います。
たばこ銘柄、圧倒的1位は中国企業、しかし株を買うことはできない
たばこを販売する企業で、世界シェアが最も大きいのは、中国の、「中国煙草総公司」という会社になります。売上シェアの40%以上を誇る大企業になりますが、現在、日本で株を買う方法というのはありません。
日本で簡単に株を買える4社とは?
2位以下は以下のようになっています
2位:フィリップ・モリス
3位:ブリティッシュ・アメリカン・タバコ
4位:日本たばこ産業(JT)
5位:インペリアル・ブランズ
6位:アルトリア・グループ
このうち、2~4位までの銘柄と、6位のアルトリアについては、日本の証券会社から、簡単に株を買うことができます。この4つの銘柄について、特徴や利回り、最近の動向を整理していきましょう。
フィリップ・モリスの特徴および現状は?
まず、世界シェア2位の、フィリップ・モリスから見ていきましょう。
フィリップ・モリスの株価の情報は以下の通りです。
Ticker PM
株価 88.39ドル
時価総額 1357億ドル
利回り 5.16%
フィリップ・モリスは、世界2位のタバコメーカーです。アルトリア・グループから米国外の事業をスピンオフして生まれた企業であり、米国外で事業をしている会社になります。アルトリアからフィリップ・モリスが分離したのは、訴訟リスクを回避するためです。
主なブランドには「マルボロ」があります。たばこを吸わない人でも、マルボロという銘柄を聞いたことがある人は多いのではないでしょうか。このように、世界的ブランドを持っていることが、フィリップ・モリスの強みと言えるでしょう。
フィリップ・モリスの配当利回りは現在5.16%と魅力的な水準です。今、株価は90ドル近くまで戻っていますが、一時は株価が70ドルを割る状況、配当利回りが6%を超えることもありました、
なぜ、ここまで魅力的な水準になるかというと、決算などファンダメンタルに加え、FDAなどが、たばこを規制する方向に動いていることで、株価が下落傾向にあるのです。
FDAが影響を与える範囲はアメリカであり、決してアメリカ外に影響を与えるわけではありません。
しかしながら、アメリカ企業であり、他のたばこ株が影響を受けている中で、フィリップ・モリスも影響を受けているのです。
これを、株価低迷の要因と捉えるか、一時的な要因と捉えるかは人それぞれですが、フィリップ・モリスの業績が劇的に落ちたわけではありません。その観点でいうと、今は、買い時であると言えるでしょう。
また、アルトリアから分社化して以降、9年連続で増配しています。増配年数は短いながら、確実に今後もインカムゲインが見込まれる銘柄であると言えるでしょう。
ブリティッシュ・アメリカン・タバコの特徴、現状は?
ブリティッシュ・アメリカン・タバコの基本情報は以下の通りです。
Ticker BTI
株価 41.72ドル
時価総額 957億ドル
利回り 6.47%
ブリティッシュ・アメリカン・タバコは、イギリスの会社で、アメリカ市場でADRとして買うことができます。世界3位のタバコ会社であり、「ケント」や「ラッキーストライク」などの銘柄を保有しています。
ブリティッシュ・アメリカン・タバコも増配銘柄であり、現在、20年連続で増配をしています。しかしながら、ブリティッシュ・アメリカン・タバコの配当は、原則ポンド建てであり、ドルベースであると、下落しているように見えることもあります。
しかしながら、利回りは現時点でも6%を超えており、インカムゲインを期待するであれば、申し分ない銘柄と言えるでしょう。しかし、プレグジット等、ポンドリスクには留意する必要があります。
日本たばこ産業(JT)の特徴、現状は?
JTの基本情報は以下の通りです。
Ticker 2914
株価 2745円
時価総額 5.49兆円
利回り 5.61%
JTは、日本の会社ながら、現状は、海外の方が売上構成が高い銘柄となっています。ロシアではシェア1位になったり、ガラハを買収したりするなど、JT自身も海外に力を入れています。
配当利回りは5.61%と高い水準になっていますし、為替リスクがないことも大きなメリットです。しかし、海外での売上が高い以上、業績は為替の影響を受けることをきちんと理解した上で投資しましょう。
アルトリア・グループの特徴、現状は?
アルトリア・グループの基本情報は以下の通りです。
Ticker MO
株価 57.43
時価総額 1076億ドル
利回り 5.57%
アルトリア・グループは、フィリップ・モリスと分社化して以降は、アメリカ国内のたばこの製造・販売を行う会社になります。しかし、アメリカ国内に限ると、タバコ産業そのものの成長性には限界があることから、電子タバコ会社や、大麻の会社を買収したりするなど、新たな成長のポイントを探しています。
配当利回りは5.57%、連続増配年数は49年となっており、インカムゲインの面では非常に安定しています。インカムゲイン投資としては最適な銘柄だと言えるでしょう。
荒れた相場には強い?たばこ株の魅力を紹介(まとめ)
景気後退期においては、インカムゲインで確定利益を得る方法は、非常に効果的な方法です。
なかでもたばこ株は、キャッシュフローの豊富さや、参入障壁の高さによる競争優位性の高さなどから、インカムゲイン銘柄としては筆頭に上がってくる銘柄になるでしょう。
大手のたばこ株で買えるのは、おもに4社になります。拠点がアメリカ、日本、イギリスと分かれているうえに、事業内容もそれぞれで微妙に異なってきます。
どの銘柄を選んでも、高配当であることには変わりありません。よく比較したうえで、好きな銘柄を選ぶとよいのではないでしょうか。
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