世界中の株式に投資したい、投資家のわがままは「VT」で叶う
前回は、VWOについて解説をしました。
新興国の株式に投資するVWOは、テンセントやアリババ、南アフリカのNaspersなど、普段なかなかリーチしづらい国の株式にリーチできるということ、また、新興国の成長の恩恵を受けることが出来るという点で、魅力的なETFであると言えます。
一方で、新興国株式はボラティリティが高く、特に景気後退期に、大きくマイナスに振れやすい、という点では注意が必要でしょう。VOOやEFAに比べても、パフォーマンスは劣っているため、無理にポートフォリオに加える必要はない銘柄ですが、成長国の恩恵を受けたい、という人にとっては、補完的に持つには良いETFであると言えそうです。
前回の記事⇒新興市場ETFのVWOに投資するメリットはあるか?利回り・パフォーマンスを徹底検証
さて、ここまで、アメリカのETF、先進国のETF、そして新興国のETFを紹介しました。
今日紹介するのは、全世界に投資する「VT」です。VTのメリット、特徴について、紹介したいと思います。
Contents
複数の株式、ETFを管理するのは面倒くさい リバランスの必要性
貴方自身がポートフォリオを組む際、まず考えるのは、銘柄間のバランスでしょう。
そのバランスというのが、あなたの投資方針になります。
そして、バランスを保つのは、意外と難しいということはご存知でしょうか。
たとえば、アメリカ50%、その他先進国25%、新興国25%で考えたい!と思い、VTI、EFA、VWOを5年前に買ったとしましょう。
もともとが10000ドルの資金だとすると、VTIに5000ドル、EFA、VWOにそれぞれ2500ドル投資したとします。
ここ5年で、VTIは+66.2%、EFAは+16.5%、VWOは+5.6%です。
そうすると、VTIは8310ドル、EFAは2910ドル、VWOは2640ドル、合計で13860ドルとなり、+38.6%のパフォーマンスとなります。
しかし、割合は変化しており、VTIは60%、EFAは21%、VWOは19%と、当初のプランからバランスが変わってしまいます。これを元に戻すのがリバランスです。具体的には、VTIを売却して、EFA、VWOを買います形になります。
これは、売買が面倒くさい上、それぞれの売買に関して、手数料、さらには税金がかかってくる場合もあります。
こういった煩雑さもありますが、これをしないと、バランスが変わってきて、当初のプランと違う投資の方向性になる可能性もあるため、長期投資をする上で、リバランスは必須だと言えるでしょう。
世界すべてに投資できる海外ETF「VT」とは?
そんな、リバランスなどの面倒臭さから解放されるのが、VTになります。
では、VTがどういうETFなのか、見ていきましょう。
VTは正式名称をバンガード・トータル・ワールド・ストックETFといいます。
FTSEグローバル・オールキャップ・インデックスのパフォーマンスへの連動を目指したETFになります。
全世界に分散して投資していますが、国によってばらつきがあります。国別の割合を見てみましょう。アメリカが50%を占めています。世界に占める株式の割合と、ほぼ同様の割合と言ってよいでしょう。日本株も8%の割合を占めています。
保有銘柄を見てみましょう。VTは、全47か国の、8000銘柄から構成されています。上位10社はすべてアメリカ企業です。VTIやVOOと、構成銘柄は同じですが、上位10%の割合が9%しかないため、より幅広く投資していると言ってよいでしょう。
また、経費率は0.1%と、新興国を含めたファンドにしても、比較的安いといえるのではないでしょうか。
VTのパフォーマンスは?
気になるパフォーマンスを見てみましょう。VTは2008年にできたファンドになります。2008年のスタート当時は、リーマンショックもあり落ち込みましたが、順調に右肩あがりになっています。
VTI、EFA、VWOと比較してみましょう。VTがオレンジ、VTIは青、EFAは赤、VWOが緑になります。
見てみると、ちょうどVTIとその他のファンドくらいの間にいることがわかるでしょう。それもそのはずです。
VTIはアメリカ株で、アメリカ株がVTの約半数を占めることから、ちょうど間くらいになるのですね。
VTは買うべきファンド?注意すべき点、デメリットについて
VTは、非常に魅力的なファンドになります。
しかし、買うにあたり、1点だけ注意しておいた方がよいことがあります。
それは、分散投資なのか、集中投資なのか、という考え方です。世界中に分散投資したい、ということであれば、VT一本で問題ありません。
VTは、時価総額で傾斜配分されているため、それ一本買えば、世界中の株式を買ったのとほぼ同義といえるでしょう。これこそ究極の分散投資と言えます。
しかし、VTと何か、という買い方をすると、とたんにそのバランスは崩れてしまいます。VTを1つの銘柄としてバランスを組むやり方は、正直あまりおススメはできません。もし、世界中の株式に分散するのであれば、VT1本で十分なのです。
逆に、集中投資をしたい場合、VTは邪魔になる可能性もあります。この辺は、自分自身のポートフォリオと相談すればよいでしょう。
VTは全世界に投資できる究極の分散投資
VTは47か国8000銘柄をカバーしており、1本で全世界に投資できるファンドになります。
右肩上がりで成長しており、世界の成長の恩恵を受けれる、究極の分散投資ができると言えるでしょう。
VTのよいところは、1本ですべて事足りるところです。
しかし、逆に、VTと何かを組み合わせると、とたんにバランスが崩れる可能性があります。VT以外に何かETFを買う場合は、慎重に検討すべきです。逆にいうと、VTそのものが相当バランスのとれたファンドである、ということでしょう。
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