新興市場ETFのVWOに投資するメリットはあるか?利回り・パフォーマンスを徹底検証

前回は、EFAという、日本ではあまりなじみのない、それでも純資産高は世界5位の、北米を除く先進国に投資するファンドを紹介しました。

参考:海外ETFのEFAに投資するメリット・リターンについて解説

日本の割合が一番多く、北米のファンドに比べてパフォーマンスが低いことは否めません。

個人的には、日本株やヨーロッパの個別株を持っている場合は、特に必要ないETFだと考えていますが、アメリカの金利上昇のヘッジなどとして、少し保有する分には、よいETFだと言えるでしょう。

さて、今まで紹介してきたETFは、北米および先進国の株式に投資するタイプでした。

しかし、株式市場には、新興国株式というものもあります。

今回は、新興国株式をどうとらえるか、そして、新興国株式のETFである、VWOについて、紹介したいと思います。

新興国株式の魅力とは?

まずは、一般的に言われている、新興国株式の魅力とリスクについて解説しましょう。

新興国の株式のメリットは、新興国の経済成長の恩恵を受けることができる点です。下記の表を見てみましょう。


(出典:野村アセットマネジメント)

こちらは、各国の経済成長率の数位になります。2017年時点で、世界全体では3.7%程度ですが、新興国は4.7%、中国は6.8%、インドは6.7%と、先進国に比べると非常に高い成長率になっています。日本の成長率の低さが特に目につきますね。

一方、デメリットは、新興国市場は基本的には弱い市場であり、ボラティリティが高くなる、ということです。

新興国市場は流入している資金自体が先進国市場に比べて小さいため、資金の引き上げが起こると一気に暴落が起きる可能性もあります。また、市場自体が整備されていないということは、不正等が比較的起こりやすい、という可能性もあります。

結果として、ボラティリティが高くなるリスクについては、留意すべきでしょう。

VWOとはどういうETFなのか?

そんな新興国の株式を扱うETFが、VWOになります。正式名称はバンガード・FTSE・エマージング・マーケッツETFといいます。

FTSEエマージング・マーケッツ・オールキャップ中国A株トランジション・インデックスという指標に連動することを目指しています。

経費率は0.14%と、インデックスファンドの中でも低めの数字となっています。規模が拡大するにつれ、経費率が下がってきた背景があります。

保有している株式の国別を見てみましょう。

最も多く入っているのは中国で、組み入れ率は32.6%となっています。そのあと、台湾、インド、南アフリカと続きます。

 

株式を見てみましょう。最も多く保有しているのは、テンセントです。

テンセントは中国の企業で、時価総額世界7位と、アメリカの企業以外では最大の時価総額を誇る会社になります。4位のアリババは時価総額世界8位になっています。

2位の台湾セミコンダクター・マニュファクチャリング社は、世界最大の半導体製造会社として知られています。3位のNapersは、南アフリカ最大の投資会社・メディア会社になります。9位の鴻海は、シャープを買収したことでも知られていますね。

 

VWOの気になるパフォーマンス・利回りは?

VWOは2005年にできたETFです。チャートを見てみると、リーマンショック後の2009年に20ドルまで落ち込んでから、最高値までは戻っていない状況です。

2015年にさがっているのはチャイナショックの影響です。ボラティリティが高いがゆえに、市場に悪材料が出たときに、大きく下げている傾向があります。


(出典:Yahoo! Finance)

VTI、EFAとも比較してみましょう。

オレンジがVWO、青がVTI、赤がEFAです。VTIに比べると、パフォーマンスは良くないです。EFAと比較しても、パフォーマンスはあまりよくないと言えるでしょう。

VWOは買うべきETFなのか?

では、VWOは買うべきETFなのでしょうか?個人的には、「VWOもあくまで補完的なもの。しかし、EFAに比べると買う要素は多い」と考えます。

なぜなら、EFAとVWOで、1点大きな違いがあるからです。それは、「個別株を買えるか買えないか」という点です。

日本株は、我々日本人にとってはなじみがある株式です。

トヨタの株は、株をやったことがある人であれば、誰しもが買える株でしょう。

ヨーロッパも、ADRを使えば、比較的主要な銘柄は買うことができます。しかし、VWOの株式は、なかなか個別株では買えないのではないでしょうか。Naspersの株を持っている人は、個人レベルではほぼいないと言ってよいでしょう。

また、テンセントなど、新興国の株式には、魅力的なものが多くあります。特に中国株式の成長は、ここ数年目覚ましいものがあります。EFAより安定度は低いですが、こういう株を間接的に保有できるという点でも、保有する価値はあるのではないでしょうか。

VWOは相場下落時に注意したい、魅力的なETF

VWOは、新興国の成長を受けることができるETFです。中国が多くの割合を占めており、テンセントやアリババなど、今成長目覚ましい企業の株や、南アフリカの大手企業であるNaspersなどの株式が含まれています。

パフォーマンスはVTIに比べて劣るものの、上昇局面では成長が魅力的な株になります。しかし、相場下落時には影響を大きく受けやすい側面があります。補完的な役割として、損切するケースも見極めながら、保有したいETFといえるでしょう。

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