前回の記事では、ハイテクセクターについて、その魅力を中心に解説しました。
ハイテクセクターは、過去10年、リーマンショック以降の米国株市場の成長を牽引してきたセクターです。実際、今世界の時価総額ランキングの上位の大半を、ハイテク銘柄が占めています。
また、今後も、IOTや人工知能など、ハイテク銘柄が成長を牽引するであろう新技術が、世の中を変える可能性もあります。今はまだハイテク革命の真っ最中であり、そのため、ハイテク銘柄は今後も市場を牽引していくと予想されています。
前回の記事⇒ハイテクセクター市場投資の魅力
今回は、そんなハイテク銘柄のETFである、「VGT」について解説したいと思います。
ハイテク株、個別で持つか、ETFで持つか
まずは、ハイテク株は、個別株がいいのか、ETFがいいのかについて、検討していきましょう。
ハイテク株の代表選手といえばAlphabet(Googleの親会社)ですね。5年チャートを見てみましょう。
美しい右肩あがりのチャートを描いています。2015年1月に投資していれば、3年で倍以上になっています。これぞ、ハイテク銘柄といったチャートではないでしょうか。
しかし、ハイテク株のすべてがこのように美しいチャートを描けているかというと、実はそうではありません。たとえば、有名なサービスである、Twitterの株価を見てみましょう。
こちらは、5年前に比べて株価が下落しています。
Twitterは2015年、2016年度の決算では営業利益ベースで赤字でした。
2017年度は、当期純利益こそマイナスなものの、営業利益ベースではプラスに転じており、好感を感じた投資家が買いを入れたことで、株価が反転しているような状況です。
このように、ハイテク銘柄であっても、すべての会社の株価が上がっているわけではないのです。ハイテク業界は、今でこそ有名になった企業も数多くありますが、その有名な企業の影には、失敗した企業も多くあるということを忘れないでおきましょう。
ハイテク企業への投資は、ある側面ではハイリスク・ハイリターンとも言えるのです。
そこで、そういった銘柄すべてにまとめて投資できるのが、バンガード社が提供するETFである「VGT」なのです。
ハイテク銘柄は、株価が数年で数倍になったものもあれば、株価が下がったものもあります。そういったものにまとめて投資をすることで、リスクヘッジしつつ、ハイテク銘柄の上昇の恩恵を受けれるのが、VGTの特徴と言ってよいでしょう。
VGTはどういうETF?改めて概要を紹介
ではあらためて、VGTについて解説していきましょう。
VGTは、MSCI USインベスタブル・マーケット・情報技術25/50インデックスという指数への連動を目指し、アメリカの情報技術セクターに投資します。
基本的にはパッシブ運用であり、大型株~小型株までを網羅したETFになります。投資している銘柄は358銘柄で、情報技術セクターをほぼ網羅していると言ってよいでしょう。
VGTを構成する銘柄は?
続いて、VGTを構成する銘柄について見てみましょう。
(出所:バンガード・ジャパン)
最も大きく保有しているのは、時価総額世界一位のAppleです。2位がMicrosoft、3位がAlphabetと続いており、この3銘柄で30%以上の割合を占めます。
そのあとも、Facebook、Intelと、世界的なITカンパニーが名を連ねています。
興味深いところで言うと、金融業の側面を持つVISAやMastercardも組み込まれており、こういった銘柄があることで、ある程度ボラティリティは抑えられているものと予想されます。
10社で55%以上のシェアを占めているので、ETFとしてはやや偏りのあるものになっている、と言えるでしょう。
VGTのリターンはどう?
では、気になるリターンを見ていきましょう。まずはチャートからです。
リーマンショックの時に多少パフォーマンスを落としているものの、堅調に成長を続けています。10年持っておけば、4~5倍になった計算です。
(出所:TradingView)
すべてのベンチマークとなる、VTIと比較をしてみても、高いパフォーマンスであることがわかります。
(出所:バンガード・ジャパンVTIパフォーマンス)
過去10年で14.03%、設定来でも平均リターンが9.87%と、高いパフォーマンスを発揮しています。
VTIも高いパフォーマンスを見せていますが、それ以上のパフォーマンスを見せているのは、まさに驚愕と言ってよいのではないでしょうか。
ハイテク銘柄ETFのVGTまとめ
VGTは、ハイテク銘柄のほぼすべてに投資できるETFになります。ハイテク銘柄は、ここ10年の成長を牽引してきたセクターであるものの、個別株を見れば、良い銘柄も、悪い銘柄もあります。そういった銘柄すべてに投資できるこのETFは、成長の恩恵を受けることと、リスクヘッジが同時に実現可能です。
実際どの期間で見てもVTIより高いパフォーマンスを見せているVGT、個別株のリスクを考えると、こちらの方が効率的かもしれません。ハイテク銘柄の購入を検討しているのであれば、ぜひ、VGTを検討してみてはいかがでしょうか。
※続いてQQQと比較しました。VGTにはない銘柄とは
⇒ハイテクセクター投資なら「QQQ」の方が良い? VGTとの違いは?
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