トルコリラはデフォルトする可能性はあるの?空売りがいいか?アルゼンチンペソの事例に学ぶ

トルコリラ暴落チャート

トルコリラが、2018年8月10日の金曜日にまた大きく値を下げました。

20円近かったトルコリラ円ですが、10日の午後に急落、一時は16円を割り込むなど、大きくトルコリラ安に振れています。

昨日は一体何が起こったのか、そして、これからトルコリラはどうなっていくのかについて、もう少し深掘りしていきたいと思います。

トルコリラの8月10日の動きは?

まずは、トルコリラの8月10日の動きを見てみましょう。下の表は昨日の朝からの15分チャートになります。

トルコリラ暴落チャート
(出所:外為ドットコム

昨日の1日で約4円の値幅、3円の値下げを見せています。たかが3円、と思うかもしれませんが、ドル円に換算すると、1ドル110円だったものが、いきなり135円になって、最終的には126円くらいまで上がっているという状況です。

ここまで急激なトルコリラ安は、自国の経済に悪影響を及ぼします。

では、昨日はなぜ、さらなるトルコリラ安が起こったのでしょうか。

発端は、イギリスのファイナンシャル・タイムスが報じた「欧州中央銀行(ECB)が欧州の銀行のトルコ向け債権に対する懸念を強めている」というニュースです。

このニュースから、まずはユーロに対する不安が募り、ユーロが売られました。

そして、ユーロが売られたことがきっかけで、トルコリラがさらに売られ、負のスパイラルで、トルコリラが下がっていくという構図のようです。売られた時間帯は、それぞれ、欧州、アメリカの市場が開くタイミングで、投資家は、トルコリラに対し、まだまだ不信感を持っていると言えるでしょう。

ちなみにユーロドルのチャートは下記の通りです。

上述したように、ユーロも全面的に安くなっています。サポートラインとなっていた1.15ドルを割ったことで、ユーロも今後さらに売られる可能性もあります。昨日は、新興国通貨が全面的に安くなり、ドルがあがるという構図でした。

トルコリラ暴落とユーロドルの影響
(出所:外為ドットコム )

トルコリラの今後はどうなる?デフォルトするのか?

では、トルコリラですが、今後はどのようになっていくのでしょうか。

仮に、今後もトルコリラ安が続いた場合、どのような影響があるのでしょうか。

まず、一つ可能性があるのは、デフォルトです。トルコ政府自身も、対外債務があります。この対外債務は、ドル建てであり、そのため、トルコリラ安が進むと、必然的に返す債務が大きくなってしまうのです。

そして、債務を返せなくなった時点で、債務不履行(デフォルト)となってしまうのです。

デフォルトしたら、私たちに影響はある?為替はどうなるの?

では、デフォルトしたら、我々にはどのような影響があるのでしょうか。過去のデフォルトから、事例を見てみましょう。

過去のデフォルトの事例として有名なのは、アルゼンチンです。

アルゼンチンは、2001年にデフォルトを起こしました。その際、アルゼンチンペソは、大きく急落しています。当時1ペソ120円くらいだったものが、いっきに1/3の40円くらいの水準まで下落しました。


(出所:世界経済のネタ帳 )

アルゼンチンがデフォルトした際は、失業率の増加や、政治的混乱など、様々な動乱が見られました。その後は、IMFの支援もあり、また、ペソ安による輸出拡大の追い風もあり、地道に経済成長を遂げてきました。

しかし、2010年以降も、アルゼンチン自体の経済基盤は安定していません。

また、新興国は、リーマンショックや、チャイナショックなどの影響を受けやすいという側面もあり、たびたびデフォルトの危機に見舞われています。そのたびに、ペソ安が進んでいるため、現在は1ペソ10円を割り、現在のところ、回復する見込みはありません。

トルコについては、まだ政策金利が17%台であり、過去デフォルトを起こした国に比べて、まだ金利上昇の余地はあります。

しかし、このトルコリラ安を発端に、新興国から資金が引き上げられるという可能性も否定できません。2015年のチャイナショックのように、世界経済が後退期に入るようであれば、トルコリラがデフォルトするという話が現実味を帯びてくるかもしれません。

トルコリラ投資は、「短期のショート」以外は危険

かつてのアルゼンチンの例を見ても、一度金融危機に陥ると、そこから通貨(=信用)の価値が短期的にあがるというのは、難しいかもしれません。

そのため、今後のトルコリラの戦略として、「買い」で価値が上がるのを待つ、というのは、リスクが大きい戦略であると言えるでしょう。

仮に、トルコリラで収益をとりたいというのであれば、「短期のショート」という戦略が、今のところ一番現実的といえるかもしれません。

今回の下落は、アメリカとトルコ間の関係悪化から来ている部分もあります。そのため、両国の関係が改善すれば、トルコリラは戻る可能性もあります。

とはいえ、一度下がった価値を上げるのには、よっぽどの劇薬を経済政策に入れる必要があるのもまた事実です。

トルコリラはデフォルトするの?まとめ

トルコリラは、10日、ECBがヨーロッパの金融機関のトルコ建て資産リスクを懸念したことから、さらなる下げを見せました。ユーロも下げており、ドルだけが高くなっている状況です。

今後、トルコリラは、デフォルトの方向に向かうかもしれません。

しかし、デフォルトする、しないにかかわらず、一度大きく下がった通貨価値を戻すことの難しさは、アルゼンチンの過去の例が教えてくれます。

ここまで大きく売られているので、買い戻しが期待されるかもしれませんが、現時点では、トルコリラは、「短期のショート」以外の戦略は、リスクが高いといえるのではないでしょうか。

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