トルコリラスワップ投資は損切りすべきか?長期保有すべきか?

トルコ政策金利推移

日本では、コロナウイルスはひとまず収束しつつあり、感染者数は減少傾向にあります。

しかしながら、世界的には、まだまだコロナウイルスは猛威を振るっており、感染者の数は今もなお拡大しています。

経済においても、まだ悪材料出尽くしとは言いづらいのではないでしょうか。(とはいえ、株価は連日上がっていますが…)

さて、前回は、史上最安値を更新した、トルコリラについて、史上最安値を更新した理由と、中長期では持つべきではない理由について解説しました。

前回の記事⇒史上最安値を更新したトルコリラの暴落理由とは?買いのチャンスか?

そこで質問があったのが、「スワップポイントで利益が稼げるが、塩漬けしておいた方がよいのか、それともさっさと損切りすべきなのか」ということです。

確かにトルコリラのスワップポイントが魅力的な場合もあると思います。今回は、スワップポイントの観点から、トルコリラに投資すべきかどうかについて解説します。

そもそもスワップポイントでの投資が成り立つ仕組みとは?

まず、スワップポイント投資がいいかどうかを考える前に、スワップポイントでの投資がなぜ成り立つか、について、改めて理解しておきましょう。

スワップポイントとは、通貨間の金利の差額を調整しものになります。

一般的に、FX取引は、2か国間の通貨を売買することで利益を得る形になります。

しかし、実際は、その反対取引を行って初めて、利益が確定されます。

たとえば、ドル円の場合、まずはドルを買い(売り)、そしてそのあと、ドルを売って(買って)、得た差額が利益となります。その間、投資家は、円建てではなくて、ドル建てで通貨を保有している状態になります。

そうすると、その間、ドルベースで預金をしているのと同じことになり、ドル建てで金利が入ってきます。一般的に、日本の政策金利は、ゼロ金利、もしくはマイナス金利の状態が続いています。

一方、アメリカは、同期間、1~2%程度の政策金利でした。政策金利をほぼ市中金利とイコールと考えると、ドルで預金をしている方が、円で預金をしているより多くの利息を受け取ることができるわけです。

これをFX投資家に還元したものが、「スワップポイント」になります。両国の金利差が、スワップポイントの源泉だといえるでしょう。

ここで注意したいのは、必ずしもスワップポイントは「受け取り」だけではないということです。

一般的に日本は諸外国に比べて低金利のため、高金利の通貨のポジションをとると、それはスワップポイントの「受け取り」になります。

一方で、ランドを売って、ドルを買うというような、高金利通貨を売るような取引の場合には、スワップポイントの逆ザヤ、つまり、スワップポイントの「支払い」になるケースもあります。

日本円をベースに取引している際は、逆ザヤはそこまで意識する必要はありませんが、海外通貨同士の取引を行う場合には、留意する必要があります。

基本的に、スワップポイントは、多くのFX事業者の場合、1日単位でポイントが付く仕組みになっています。

外国為替取引には、通貨や代金の受け渡しを2営業日後に行うというルールがあるため、取引日が月曜日の場合は、受渡日は水曜日になります。ただ、スワップポイントがいつ付与されるかは、証券会社により異なることが多いです。

さらに、各通貨のスワップポイントも、証券会社によって金額が異なることには注意しておくべきでしょう。

高金利通貨として人気があったトルコリラ

日本の投資家が、新興国通貨に投資する理由として、為替による売買差益よりも、スワップポイントによる金利差益を狙うことが挙げられます。

実際、南アフリカランド、メキシコペソなどは、実際の通貨としての力よりも、そういったスワップポイントが魅力として、売買が行われていた通貨になります。

トルコリラはその最たるものの1つと言えるでしょう。今一度、トルコリラの政策金利の推移を見てみましょう。

トルコ政策金利推移

(出所:外為ドットコム )

このように、基本的には政策金利が5%以上と、非常に高い水準(ピーク時には24%!)になっているのがトルコリラの政策金利です。

実際、この金利差を狙って、多くの投資家がスワップポイント投資を行っていたのです。

現状、トルコリラは、やはり高いスワップポイントを設定している証券会社が多くなっています。

みんなのFXでは1万通貨あたり20円、外為ドットコムでは5円となっています。

(出所:みんなのFX )

今、トルコリラの相場は、1トルコリラ=15~16円程度で推移しています。

つまり、16万円あれば、スワップポイント20円が1日あたりつくのです。証拠金の最大倍率が25倍となっているため、理論的には、6400円あれば、1日あたり20円、つまり、年間で7200円の利益を出すことが可能になります。

これは年率100%以上で、実際にはそこまでの高い利益ではなくても、ある程度の利益を出すことが期待できるのです。

実質金利と名目金利の違いとは?

金利差で投資を行うという目線では、それ自身は決して間違った投資法ではありません。

金利が低いところでお金を借りて、高いところにお金を預ければ、基本的にはその差額が利益になります。

ただし、それが本当にYesなら、みんな同じことをやりますよね。

では、なぜそうならないのか。そのために、まずは、名目金利と実質金利について、理解する必要があります。

実質金利は、名目金利から予想物価上昇率を差し引いたものになります。

例えば、名目金利が3%、予想物価上昇率が2%なら、実質金利は1%になります。そして、実体経済への影響という点においては、名目金利よりも実質金利の方が重要になります。

これには、インフレが大きく関係してきます。話を簡単にするために、金利100%、インフレ率100%(通貨単位:ドル)と、金利0%、インフレ率0%(通貨単位:円)の国で見てみましょう。

ある時の為替レートが1ドル=100円だとします。金利0%の国に100万円を預けても、1年後には100万円のままです。一方、金利100%の国に、100万円、つまり1万ドルを預けると、翌年には2万ドルになります。

一方で、100万円の車は、ある国では100万円のままですが、もう一方の国では、2万ドルになっています。自動車の価値は国では変わらないので、ここで為替の調整が起きて、1ドル=50円になることで、バランスがとれるのです。

基本的に、名目金利だけでは、経済や為替の動きを読むことができません。

ポイントとなるのは実質金利です。実質金利がどうであるかが、スワップポイント投資にも大きな影響を与えてくるのです。

トルコリラのスワップポイント投資に潜む罠とは?

ここからが本題です。トルコリラのスワップポイント投資は、本当に儲かるのでしょうか。私個人としては、おすすめはできません。その理由は以下の通りになります。

トルコリラは、実質金利ではマイナス状態にある

まず1つは、トルコの足元の金融の悪さです。トルコのここ数か月の政策金利の推移を見てみましょう。

(出所:みんかぶFX )

見ての通り、1年足らずの間に15%以上金利が下落しています。

そもそも、2019年の前半は金利が24%でした。

これは、トルコ内で高いインフレが起こっており、それを制御するために金利を上げていたのです。

しかし、インフレが収まらぬ間に、コロナショックをトルコが襲いました。

景気刺激のために、利下げを行わざるを得ないのですが、一方で、利下げをすると、インフレを制御できなくなります。

いわゆるスタグフレーションが起こっている状態であり、当面、改善の見通しはたっていません。

現在、トルコのインフレ率は12%程度と推測されています。つまり、実質金利においてはマイナス状態にあるわけです。

上記で、実際の為替取引のスワップにおいて、実質金利が重視されるということについて説明しましたが、今、トルコは、実質金利においては、日本より低い状態にあるといえるのです。

今後この状況が続けば、スワップポイントは減少、もしくは逆ザヤが発生する可能性もあります。実際SBIなどはスワップポイントを0にしています。

トルコリラの利下げは通貨の下落圧力を産む

さらに、トルコリラの利下げは、通貨の下落圧力を産みます。

利下げをすると、トルコリラに投資するメリットそのものが小さくなります。そのため、トルコリラを売って、自国通貨やドルを買い戻そうという動きが出てきます。これはトルコリラ安を招く一因になります。

ただでさえ、コロナショックで市場は不安定で、そういうときは新興国から通貨が抜けやすくなります。

トルコリラのこれまでの下落も、利下げによる売り圧力の増加から来ているものです。

一方、そこで利上げをしたくても、経済実態が伴わないため、利上げは難しい状況です。結果、スワップポイントでプラスであったとしても、トータルの損益はマイナスになる可能性もあります。

スワップポイントは必ずしも将来の利益を約束するものではなく、変動する可能性がある

最後に、スワップポイントは一定ではないということです。上でも書いたように、今のスワップポイントが引き続き続くとは限りません(可能性は低いと思います。)変動リスクを考えると、逆に今のスワップポイントを疑うべきではないでしょうか。

トルコリラスワップ投資は損切りすべきか?長期保有すべきか?

金利ザヤを活かしたトルコリラへの投資ですが、現状、トルコがスタグフレーションに陥っており、金利を上げるのが難しいこと、トルコリラが実質マイナス金利になっていること、そして、やはりトルコリラが今後も上昇が見込めない通貨であることから、長期保有はおすすめできません。

損切りするのには大変勇気がいりますが、過去の損失が将来の利益を約束するわけではありません。できるだけ早めに見切って、新しい投資に取り組むことをお勧めします。

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