最近、トルコリラに関するニュースを聞くことが多いと思いませんか?8月6日にも、トルコリラは5%以上の下げを見せ、1ドル5.2トルコリラを超える水準になっています。
いったい、なぜ、トルコリラがここに来て注目されているのか、トルコリラへ投資する妙味はあるのかについて、解説したいと思います。
※2021年11月更新
⇒トルコリラの暴落はいつまで続く?利下げ、スワップ金利の今後の見通しについて【2021年11月】
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トルコリラがなぜ注目されている?
今、なぜ、トルコリラが注目されているのでしょうか。
それは、トルコリラの価値が下がっているからです。
まずは、トルコリラ円の5年チャートを見てみましょう。
(出所:楽天証券)
2015年の1月に中央銀行が利下げを行って以降、トルコリラの価格は下がり続けています。
2015年は1トルコリラ=50円ほどだったトルコリラの価格は、2018年には20円に近づく勢いまで下がっています。この急激な値動きが、投機の対象として注目を浴びています。
また、金利の急激な上昇も、投機家の注目を浴びている要因です。
トルコの中央銀行はトルコリラの通貨価値の下落(基本的に、下落、上昇はドルに対して価値が下がる、上がるという表現を使います。)を防ぐために、特にここ最近で、金利を上昇させています。
2018年4月には8%だった政策金利は、現在17.75%までに上がっています。
参考:トルコ政策金利の推移
中央銀行は、通貨の急激な変動を嫌います。輸入・輸出の面を中心に、急激なインフレを引き起こすなど、経済政策に大きなインパクトを与えるからです。そのため、金利を上げて、どうにか通貨安を止めようとするのです。
今回、トルコ中央銀行が政策金利を上げたにもかかわらず、通貨安が止まっていないことも、注目を浴びる一因となっています。
なぜ、ここまでトルコリラ安が進行したの?底なし
では、なぜ、ここまでトルコリラ安が進行したのでしょうか。
要素は複数ありますが、基本的には、「トルコの経常収支赤字」が背景にあります。トルコは2000年代前半に経常収支赤字に転換してから、2017年度に至るまで、常に経常収支が赤字です。
経常収支が赤字ということは、基本的に、国の資産が海外に流出しているということです。つまり、自国の通貨を売って、ドルやユーロなど基軸通貨に変えるという動きになるため、通貨安になることが多いのです。
他にも、影響が大きいのは、政治的要因もあります。トルコは、イスラエルやシリアなど、イスラム圏の近くに位置し、また、トルコ自身も、イスラム教徒が多い国になります。
そのため、中東での動乱の影響を受けやすく、シリア問題などが活性化すると、政情不安から、トルコリラは売られる傾向があります。
また、最近は、トルコ自体とアメリカの関係性も悪化しており、報復関税をかけたり、資産凍結をにおわせるなど、改善の見込みはない状況にあります。こういった政情不安もあり、トルコリラは、中央銀行の利上げにもかかわらず、ここまで価値が下がっているのです。
トルコリラは投資対象になりえる?
では、このようなトルコリラは、投資対象になりえるのでしょうか。
トルコリラに投資する場合、FXで始めるのが最も良いでしょう。
SBI FXトレードやヒロセ通商など、多くのFX事業者でトルコリラ/円のトレードが可能になっています。FXを使った取引としては、以下の2つが選択肢としてあります。
トレードによる取引
一つは、その名の通り、Exchange、つまり、トレードによる取引です。トルコリラを買った場合、トルコリラが上がればもうかり、トルコリラが下がれば損をする仕組みになります。もちろんトルコリラを売った場合は、逆の動きになります。
スワップポイントによる収益
もう1つは、金利差を生かしたスワップにより収益を上げることです。ご存じの通り、日本円は、ほとんど金利がつきません。一方、トルコリラは、中央銀行の金利が17%を超えるという超高金利です。そのため、その金利差を生かし、トルコリラを保有するだけで、収益を上げることができるのです。
トルコリラは今後どうなる?投資すべき?
では今後、トルコリラはどうなるのでしょうか。「そのうち上がる」と思って、トルコリラを買って、損した方も多いのではないかと思います。
短期的には、トルコリラが上がるということは、考えづらいでしょう。なぜなら、イスラム周辺国、そしてトルコ自身が、米国との関係回復の見込みがたっていないからです。
今後、トルコと米国が経済戦争に突入した場合、さらなるトルコリラの一段階の下落もあるかもしれません。また、世界経済が後退すると、新興国通貨はマイナスの影響を受けることが多いということも、頭に入れて置いたほうがよいでしょう。
仮に金利スワップで儲けたとしても、トルコリラの価値が下落した場合、その金利スワップを吹き飛ばすくらいマイナスになる可能性もあります。もちろん中長期的には上がる可能性もありますが、投資するとなると、それなりのリスクを覚悟した方がよいでしょう。
まとめ しばらくはリスクの高い投資になる
トルコリラは、中央銀行が大きく利上げし、金利が17%を超えているにもかかわらず、通貨価値が下落しています。そのため、投機家、投資家から、投資対象として注目を浴びています。
トルコリラが下落している背景には、経常赤字の拡大、さらに、米国との関係悪化があります。特に、トランプ大統領に変わってから、米国とトルコの関係は悪化しています。
トルコリラは、金利が高いこと、また、値動きが激しいことから、投資対象として注目を浴びています。特に、金利スワップで利益を得る、ということが注目されています。
しかし、米国との緊張が緩和されるまでは、もう1段階のトルコリラの下落もありえるでしょう。確かに、金利や値動きは魅力的です。しかし、実際に投資する場合は、ある程度のリスクを覚悟して、投資した方がよいでしょう。
追記:トルコリラはデフォルトの可能性もあり 短期ショート(空売り)
追記です。8月10日トルコリラはさらに暴落し、16円割れまでいってしまいました。
「トルコリラはデフォルトする可能性はあるの?アルゼンチンペソの事例に学ぶ」の記事で書きましたが、これはデフォルトの可能性さえもあり得ると思います。
あくまで個人的な考えですが、トルコリラで利益を得るなら買いではなく売り(ショート)で、しかも短期的なショートが無難かと思います。
かなりのギャンブル投資にはなりますが、値上がりを待って買うより、さらなる暴落、デフォルトを狙った空売りも一つの選択肢として考えられるでしょう。
ただ、ショートでいくなら、海外FXのXMを使ったほうがいいです。追証不要(ゼロカット方式)ですので、仮にトルコリラをショートして暴騰したとき、入金していた証拠金以上は負担しなくていいので、こういったギャンブル投資には向いている口座です。
ノーポジションで静観をおすすめします。ギャンブル投資好きの方限定ですね。
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