前回の記事では、インドの全体像について解説しました。
人口2位、面積7位の大国であるインドは、1人あたりGDPは140位程度と、世界の中では低位なものの、名目GDPで見ると6位になります。また、人口も1人あたりGDPも増加しており、将来は世界第二位の経済大国になると言われています。
前回の記事⇒インドは投資対象としておすすめか?債権や通貨ルピーの利回りを分析
現時点では通貨も債券も新興国の中では安定しています。
とはいっても、国債の利回りは7%程度あり、相応のリターンが期待できます。
さらに、英語が使えて、欧米とビジネスの親和性が高いことや、経済成長を後押しする政権であることも、インドの投資対象としての魅力を高めているのではないでしょうか。
では、具体的にインドに投資するには、どのようにすればよいのでしょうか。
具体的な投資法と、メリット、デメリットについて解説します。
Contents
インドに投資する主な方法は?
インドに投資する具体的な手段について解説しましょう。
インドに投資する方法としては、株式、債券、不動産の投資がメインになります。株式は、直接インド株を買うことは、現実的に難しいので、ADRを利用して株式を購入するか、投資信託、もしくはETFから選ぶことになります。
インド株式は投資対象として魅力的か?
まずは、最もポピュラーな投資である、インド株式について見てみましょう。
インドの取引市場は、ナショナル・ストック・エクスチェンジ(NSE)、ボンベイ・ストック・エクスチェンジ(BSE)、メトロポリタン・ストック・エクスチェンジ(MSE)の3つです。
このうち、MSEは最近できた取引所になります。時価総額が最も大きいのは、NSEになりますが、上場企業数が多いのは、BSEになります。
現時点で、インドで最も大きな時価総額の会社は、タタ・コンサルティング・サービスです。タタモータースなどで有名なタタグループの中核会社であり、ITサービスを提供する会社になります。
時価総額は約4兆6000億ルピー、日本円にして7兆円ほどになります。
日本で言うと、ソニーやキーエンスなどと同じくらいの規模の時価総額になります。その後には、石油やガスなどの事業を手掛ける、リライアンス・インダストリーズが時価総額2位で続きます。時価総額1兆円を超える会社も数社あります。
インドの個別株を買うには?
では、インドの個別株を買うには、どうすればいいのでしょうか?直接市場で個別株を買うのは、現時点では日本に住む限りは難しいでしょう。
先ほどもいったように、ADRを使う方法、投資信託で買う方法、そして、ETFで買う方法があります。
インドのADR銘柄は?
インドの株式を買うには、NY市場に上場しているADR銘柄を買うのが一番よいでしょう。
SBI証券、マネックス証券、楽天証券、いずれでもADR銘柄を買うことができます。
たとえば、SBI証券では、以下の8銘柄を買うことができます。
ティッカー | 銘柄名 | 市場 | 会社概要 |
RDY | ドクターレディー | NYSE | インドの代表的製薬メーカー。多くの特許を持ち製品を世界中に輸出する。 |
TTM | タタ モータース | NYSE | インドの自動車メーカー。商用車で高シェアを誇る。 |
SIFY | サイファイ テクノロジー | NASDAQ | インドの代表的ネット企業。ポータルサイト運営、Eコマース、ネットカフェ、ケーブルTVなど。 |
VEDL | ベダンタ | NYSE | 石油や鉄鉱石などの開発を世界的に手掛けるインドの総合資源会社。 |
HDB | HDFC銀行 | NYSE | インド中央銀行から分離独立した商業銀行。企業や中高所得者向け金融サービスに重点。 |
INFY | インフォシス テクノロジー | NYSE | インドの大手ソフトウェア受託開発企業。 |
WIT | ウィプロ | NYSE | インドを代表する総合ITサービス及びコンピュータ関連技術企業。 |
IBN | ICICI 銀行 | NYSE | インド国内2位の商業銀行。投資銀行、生損保等のサービスも展開。 |
同様に、楽天証券では9銘柄、マネックス証券では5銘柄、インド株式市場のADRを買うことができます。
個別株として投資できる銘柄は少ないですが、もしどうしてもインドの個別株に投資したいのであれば、こういったADRを利用するのがよさそうです。
インド株式のETFには、どのようなものがある?
では、もっと多くのインド株式に投資するには、どうすればよいでしょうか。
その1つの解決策として、インド株に投資するETFを通じて、インドの株式に投資することができます。
インドのETFは、主なところでは以下の3つです。
- 【EPI】ウィズダムツリー インド株収益ファンド
ウィズダムツリーのインド収益指数と利回り実績に連動したETFになります。 - 【SCIF】ヴァンエックベクトル インド小型株ETF
MVISインド・スモールキャップ指数に連動するETFです。インドの小型株が投資対象です。 - 【INDL】DirexionデイリーMSCIインディア株ブル三倍ETF
MSCI India 指数の変動の3倍に連動するETFになります。いわゆるレバレッジETFです。
インド株に投資できる投資信託は?
インド株は、将来が有望な銘柄ということもあり、各社がインド株式を対象とした投資信託を組成しています。
中でも、野村の野村インド株投資というファンドは、4500億円程度の残高を保有している、人気のインド株投信になります。
他にも、HSBCインド オープンや、ピクテが手掛けるiTrustインド株式など、様々な種類の投資信託があります。保有銘柄等はファンドによって異なるので、気になるものを比較してみるのもよいでしょう。
まとめ
インドに投資するには、株式、債券、不動産が主な投資対象になります。
株式に投資する場合、現物株、ETF、投資信託から選ぶことができます。
現物株は、日本では直接インド株式を買い付けることは難しいことから、ADRを活用して、アメリカの市場に上場している株式を買うのが現実的でしょう。
しかし、いずれの証券会社でも、買える銘柄は限られていますので、吟味する必要がありそうです。
一方、インド市場全体に投資するのであれば、ETFや投資信託がおススメです。ETFも投資信託も、若干目標としている指数や保有銘柄の割合が異なります。そのため、ファンドを選ぶ際は、よく比較しながら選ぶとよいでしょう。
次回はこちら
⇒インド債権やインドの不動産に投資する方法はあるのか?
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