maneo返済遅延トラブル発生!今後も信頼して使えるソーシャルレンディング業者なのか?

業務改善命令や大規模延滞…今後もmaneoは安心して使えるのか?

先日、maneoからショッキングなニュースが飛び込んできました。

大規模な返済遅延が発生し、回収に努めているというニュースです。

参考:【延滞発生に関するご報告】

maneoといえば、7月に行政から業務改善命令が出て、その改善に努めている最中でした。

その中で起こった大規模な返済遅延のため、投資家からは、「本当にmaneoは大丈夫なのか?」と心配の声も上がっています。

今回は、この大規模遅延、そして業務改善命令の内容から、「今後、maneoに投資して大丈夫なのか?」という点について、解説していきたいと思います。

今回、遅延が発生したファンドは?

まずは、今回の遅延の内容から見ていきましょう。11月3日に、以下の3本の遅延が報告されています。

不動産事業者CU社向け案件

不動産事業者向けの不動産担保付きローンファンドです。1000億円突破記念ローンファンドの第二弾と、1100億円突破記念ローンファンドの第一弾~第四弾までで、返済遅延が発生したようです。

経緯を見てみると、不動産事業者CU社の利息遅延は5月ごろから続いていたようですが、間に入っているC社が、maneoへの利息の支払いを続けながら、債権回収を試みていたものの、すべての担保不動産を売却しても、maneoに対し元本全額を支払うことが不可能だと判断したため、C社からmaneoへの支払いがストップし、この返済遅延の事例となったようです。

この事件は、金額が大きかったことでインパクトを与えています。1000億円突破記念ローンファンドは、なんと12億の残高が残っています。1100億円突破記念ローンファンドは、第一弾~第四弾まで、それぞれ2億2千万円、1億円、1億3千万円、3億7千万円の残高が残っており、最大約20億円の貸し倒れが発生する可能性があるのです。

事業者EO社向け案件

EO社は太陽光発電事業を営む会社であり、そこに対するローンファンドで遅延が発生しています。

EO社は10月上旬に返済遅延の申し入れを行っており、交渉がうまくいかなかったことから、今回の遅延が発生したようです。maneoは事業者EO社が所有する不動産(太陽光用地)に対する第1順位の根抵当権登記などの保全措置を持っているものの、回収の見通しについては現在不明ということです。

こちらのローンファンドは2本あり、それぞれ2750万円の貸し倒れが発生する可能性があるようです。

カリフォルニア州 米国不動産事業資金ローン

こちらはmaneo直接の案件でなく、グループ会社のガイアファンディングが扱っていたファンドになります。ただし、maneoでも販売はしていました。カリフォルニアの不動産開発事業者に出資するファンドでしたが、本国の開発許可が遅延しており、10月の元本支払いに間に合わなかった、ということが遅延の要因となっています。開発許可は年内には取れる見込みとのことですが、詳細は不明な状況です。

遅延対象となっているファンドは5本あり、いずれも2200万円の残高が残っている状況です。合計1億1千万円の貸し倒れが発生する可能性があります。

この3つの遅延が11月1日に発表されたことで、クラウドファンディング業界は一時騒然としました。

3つ合わせると、金額は約21億円に上ります。現在の貸付総額が合計300億円程度であることからも、決して小さな金額でないことが窺えます。

今回の遅延は、7月の業務改善命令と関係あるの?

では、今回の遅延は、なぜ起こったのでしょうか。実は、maneoが7月に受けた、業務改善命令と、関係があるのかもしれません。

ここで、業務改善命令と、改善内容について、再度確認しましょう。

業務改善命令の内容は、以下の通りです。

(1)今般の法令違反及び投資者保護上問題のある業務運営について、責任の所在を明
確にするとともに、発生原因を究明し、改善対応策を策定実行すること。
(2)金融商品取引業者として必要な営業者の選定・管理に関する業務運営態勢等を再
構築すること。
(3)本件行政処分の内容及び改善対応策について、全ての顧客を対象に、適切な説明
を実施し、説明結果を報告すること
(4)顧客からの問い合わせ等に対して、誠実かつ適切に対応するとともに、投資者間
の公平性に配慮しつつ、投資者保護に万全の措置を講ずること
(5)上記(1)から(4)までの対応について、平成30年8月13日までに、進捗
状況及び対応結果について報告すること。
それを受けて、maneoでは、以下のような改善案を出しています。

1.経営体制の見直し【平成31年3月完了予定】
2.営業者の選定基準の策定【平成30年9月末完了予定】
3.営業者の管理について
(1)モニタリングの実効性を確保する取り組み【平成30年9月末完了予定】
(2)ファンドに対するモニタリングの強化【平成30年10月末完了予定】
4.組織の見直し
(1)人材確保による法令違反行為等の未然防止、早期発見【継続実施】
(2)研修や人事評価の見直しによる法令遵守意識の向上【継続実施】
5.投資者対応
(1)グリーンインフラレンディングの投資家向けの状況報告【継続実施】
(2)匿名組合契約約款・金銭消費貸借契約書の改訂、スキームの見直し【平成30年11月末完了予定】
6.役員報酬の自主返納【実施済】
今回の行政処分を受け、次の通り、関係役員の役員報酬を自主返納。
・代表取締役 瀧本 憲治 報酬月額の50%、3ヵ月
・取締役   安達 義夫 報酬月額の15%、2ヵ月

(いずれもmaneo HPより引用)

 

ここで注目したいのは、改善案の3(2)で出された、ファンドに対するモニタリングの強化【平成30年10月末完了予定】という部分です。

改善案によると、maneoは、10月末時点では、ファンドに対するモニタリングが強化されているとのことです。

これは少し穿った見方かもしれませんが、今までは、maneo本体自身も、個々のファンドに対するモニタリング機能は、あまり機能していなかったのではないでしょうか。

あえて悪いことをしているのではないのですが、「貸したお金が最終的に返ってくればいいや」くらいの感覚だったのかもしれません。

しかし、モニタリング基準が厳しくなったことで、今まで以上に返済に対する姿勢が厳しくなり、そのため、返済遅延が発生するようになった、そういう可能性も十分にあり得るのではないでしょうか。

これまでも、他のソーシャルレンディングでも、貸し倒れや遅延というものがなかったわけではありません。しかしながら、こういった10月末のタイミングで、リリースを立て続けに出すというのは、maneo自身の決意の表れというか、今後は正しい運営を目指していくという意思の表れであるようにも思えます。

なぜこう思うのかというと、maneoの経営陣は、上場をあきらめていないという背景があるからです。

たびたび、maneoの上場に関するニュースが流れますが、金融業である以上、コンプライアンスへの対応やコーポレートガバナンスの面でハードルが高く、今時点で上場が決まっているわけではありません。

しかし、モニタリングを強化しているという姿勢を明確にするという点などを見ると、今後の上場を見込んでいるのではないでしょうか。

ガバナンスやモニタリング以上のソーシャルレンディングのリスクとは?

では、このように、ガバナンスやモニタリングが仮に強化されたとしたら、ソーシャルレンディングは安心、安全な投資先になるのでしょうか。私は、決して「Yes」とは言えない状況であると思っています。

10月、相場が荒れた話については、過去何度かしましたが、今後、本格的な景気後退に入る可能性があります。その時に、ソーシャルレンディングが今のリスクを保てるかどうかというのは、疑う余地があります。

今まで、ソーシャルレンディングのリスクが抑えられていたのは、そもそも、2010年~2018年は、景気が上昇している時期だった、というのが大きな要因です。こういった景気回復の局面では、貸し倒れの発生も比較的少なく抑えることができます。

しかし、いったん景気が停滞すると、そういうわけにはいきません。景気が後退すると、事業がうまく行かないケースも増えてくるでしょう。

その時に、きちんと回収ができるかどうか、というのは、疑問が残るところです。

なぜなら、ソーシャルレンディングで資金を調達する先というのは、ほとんどが銀行の金利では借りることができなかった、リスクのある先になるからです。

かつてバブル崩壊後の日本では、不良債権の総額は40兆円以上あったとも言われています。もちろんバブル崩壊後と異なり、無駄な融資は抑えられているでしょうし、モニタリングする仕組みも整ってはいますが、それでも、融資先の企業経営がうまくいくかどうかは、厳しい言い方をするならば、誰にもわからないわけです。

ただ、景気が停滞、または後退すると、回収がうまく行く確率というのは、それに伴って下がっていくでしょう。

ソーシャルレンディングの高いリターンというのは、こういうリスクの上に立っていることを、改めて理解すべきではないでしょうか。ソーシャルレンディングは、日々の値段の上げ下げがないため、株に比べて安全資産だ、というようにも見えますが、実態として、リスクを抱えていることは、きちんと理解したうえで、投資を行うとよいでしょう。

業務改善命令や大規模延滞…今後もmaneoは安心して使えるのか? まとめ

今回発生した大規模延滞は、総額20億円以上と小さくない額なので、ソーシャルレンディング界に衝撃が走りました。

今後、回収の見込みを探っていきますが、リリースを読む限り、完全な回収は難しいかもしれません。

maneoは7月の業務改善命令を受け、ファンドのモニタリングの強化を10月末に行っています。

もしかすると、上記の返済遅延は、このモニタリング強化と関係があるかもしれません。そうであれば、今後、業界が健全な方向に向かっていくとして、今は痛みがあるものの、将来は安心して投資できるかもしれないでしょう。

しかし、ガバナンスやコンプライアンスよりも、ソーシャルレンディングが抱えるリスクには注意すべきです。もともと、ソーシャルレンディングのリターンが高いのは、貸し倒れ等のリスクを負っているからです。これまでは市況がよかったため、顕在化はしませんでした。

しかし、今後、景気停滞が起きた時、貸し倒れや遅延が増える可能性は十分にあります。そのリスクをきちんと理解した上で、投資を行うことをおすすめします。

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ソーシャルレンディングのリスクとデメリット【投資するなら少額がおすすめか】

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