サラリーマン投資家というのは、専業投資家に比べて、メリット、デメリットがあります。
以前、メリットを生かす方法として、不動産投資をお勧めしました。会社員ならではの節税メリットや、会社の信用でレバレッジをかけることができるなど、会社員ならではのメリットが不動産投資にはあります。
参考: サラリーマンの不動産投資は「ワンルームマンション投資」が最適な理由とは?
しかし、不動産だけではもちろんリスクもあります。
特に、日本という、これから人口が減り、土地の価値が下がる可能性がある国での不動産投資と言うのは、やはり将来の価格部分で読めるわけではありません。さらに、低金利がいつまで続くか、という疑問もあります。
そこで、今回は、不動産投資と同様に、サラリーマン投資家におすすめしたい、海外ETFについて解説したいと思います。海外ETFも、サラリーマンが長期で資産形成するのにぴったりな投資商品になります。
メリットや始め方など、徹底解説したいと思います。
Contents
そもそも、海外ETFとは?
海外ETF、あまり聞きなれない言葉かもしれませんね。そもそも、海外ETFとは何のことでしょうか。
ETFは、「上場投資信託」とも呼ばれます。
実は、上場しているのは、株だけではありません。複数の株や債券をまとめて販売する、「ファンド」と呼ばれる商品も上場することがあります。
これを、「ETF」と呼びます。ファンドについては、上場していない商品も金融機関を通じて買うことができ、これを一般的には「投資信託」と呼びます。
投資信託は1日1度しか売買できないのに対し、ETFは1日のうち何度も売買が可能で、機動性が高くあります。さらに、上場しているため、株と同様、価格の透明性が高いのも特徴でしょう。
ETFは様々な国の証券取引所で取引されています。もちろん日本でもあります。ここでいう、海外ETFとは、特にアメリカ市場で買えるETFを指しています。
海外ETFをおすすめする理由とは?
海外ETFは、では、なぜおススメなのでしょうか。3つの観点から説明していきましょう。
個別株に比べて、価格変動のリスクが小さい
まずは、個別株とETFを比較してみましょう。個別株は、単独の企業ゆえ、市場の影響に加えて、個別の企業の業績を受けます。たとえば、その会社の不正が発覚した場合、株価は当然のように影響を受けます。逆もまた然りで、いいニュースがあった場合は、株価は大きく向上します。
そういう意味で、個別株は、比較的ボラティリティの高い金融資産だと言えるでしょう。これに対し、ETFの場合、業界や規模などで会社が絞られている場合があっても、基本的には複数の金融商品を組み合わせて作られている商品になるため、個別株ほどボラティリティは高くないことがほとんどです。そういう観点で、リスク軽減ができます。特に、自分のよく知らない市場の商品を買う場合、個別株に比べて、安心できる商品であるといえるでしょう。
さらに、個別株の場合は、その企業について、多少なりとも調べる必要がありますが、ETFの場合、個別ではないので、分析が大まかでOKだと言えるでしょう。時間の観点から言っても、忙しいサラリーマンの場合、ETFが有効だと考えられます。
投資信託に比べて、価格の透明性が高く、流動性が高い
次に、ETFと投資信託を比較します。基本的に、複数の金融商品をまとめて、1つの商品として販売するという点では同じになります。
投資信託は、1日に1度しか買うことができず、しかも、価格は1日に1度しか更新されません。しかし、ETFは、株同様、自分の欲しい価格で買うことができ、また、価格はリアルタイムで更新されます。
さらに、基本的に、上場して、いつでも買うことができる分、ETFの方が売買代金が高いことが多くあります。特に、SPYをはじめ、アメリカの主要なETFは、純資産高が10兆円を超えるなど、規模の面でも大きいことが多いです。こういった点において、ETFは投資信託より、長期の資産作りに向いていると言えるのではないでしょうか。
国内ETFに比べて、手数料が安い。また、市場の信頼度が高い
最後に、国内ETFと海外ETFについて比べてみましょう。
国内ETFと海外ETFで、最も異なるのは、手数料ではないでしょうか。
たとえば海外の場合、VTIやIVVの経費率は、わずか0.04%です。最も純資産高が高いSPYでも0.09%です。
一方、日本では、いまだに0.1%以上の経費率のものが多く、最も純資産高の多いTOPIX 連動型上場投資信託は、経費率は0.24%と、アメリカの主要ETFに比べて高くなっています。0.1%程度の差ではありますが、チリも積もれば山となる、という言葉があるように、長期投資においては、最終的にはそれなりのインパクトを与えてしまいます。
もう1つは、市場の信頼性の高さです。日本市場は、アベノミクスの効果で、ここ5年は株価が右肩あがりになっています。しかし、長期で見ると、まだバブルのピークの数字を超えられてはおらず、不安定な市場であると言えるでしょう。
※日経平均チャート。バブル崩壊以降は、長期で見ると不安定な相場と言えるでしょう。
一方、アメリカの株式市場は、ITバブル崩壊や、リーマンショックの時は、一時的に価格を下げたものの、再び価格は右肩あがりで上がりつづけ、過去最高値を更新しています。
日米でどうしてここまで差がでるのかということは、一概には説明できないですが、アメリカの株式市場が成熟しており、企業が株主還元を積極的に行うことに加え、現在の資本市場はアメリカ型の資本市場であり、アメリカの企業はそのルールを熟知している、ということも言えるかもしれません。
我々の目的は長期的な資産形成であり、短期的な儲けではないことを考えると、長期的に値をあげている、アメリカの株式市場に投資した方が、リターンが高いと考えられます。
※S&P500の長期チャート。バブル崩壊などがあっても、強く値をあげていることがわかります。
海外ETFをはじめるには、どうすればよい?
ここまでで、海外ETFのメリットについては、ある程度、理解できたのではないでしょうか。
では、実際、始め方について説明しましょう。
始め方は、実はとっても簡単です。米国株が取引きできる証券会社の口座を開き、その口座に入金すること、それだけです。
拍子抜けした方がいるかもしれません。しかし、手続きが複雑だと、投資する意欲が失われる場合もあると思います。簡単に始めれるのが、海外ETFのメリットの1つでもあるでしょう。
はじめる口座はどこの口座がよい?おすすめの証券会社
では、海外ETFを始める場合、どこの口座が良いか、具体的に解説していきましょう。
口座はネット証券が、簡単、かつ、手数料も安いためおススメです。
アメリカ市場の株を変えるネット証券会社は、日本に4つしかありません。
サクソバンク証券、マネックス証券、SBI証券、楽天証券です。
海外の証券会社を使う方法もありますが、語学の問題もある上に、手続きも煩雑であり、現実的とは言えないでしょう。
マネックス証券、SBI証券、楽天証券については、正直なところ、どこを選んでも大差ないと考えています。
手数料に関しては、今現時点では、三社とも、1注文あたり、取引金額の0.45%(ただし、最低額が5ドルで最高額が20ドル)になっており、特に差はありません。銘柄に関しても、主要銘柄については、各証券会社ともに売買が可能です。
今使っている口座があればその口座で良いと思いますし、もし新しく開く場合は、三社の中から、見やすい、使いやすい会社を選べば問題ないでしょう。
しかし、2018年よりサクソバンク証券が外国株投資口座を開設し、他社を圧倒しています。
まだまだ知名度が低い、外資系の証券会社ですが、手数料面で選ぶならサクソバンク証券をおすすめします。
詳しくはこちら
⇒サクソバンク証券の米国株の評判と特徴を徹底分析【他社比較で手数料が安い】
口座を開いた後、どのような投資をすればよい?
海外ETFといっても、もちろん様々な銘柄があります。サラリーマンは、どのような投資を行うべきでしょうか。
ポイントとしては、「インデックス」「積立投資」「ある程度の金額を購入」の3つが考えられます。
最初の1つである、インデックスですが、これは、インデックスファンドを選ぶ、ということです。
ファンドには、ある指標(ダウやS&500など)と同じだけのパフォーマンスを上げることを目標とするインデックスファンドと、ある指標を上回るパフォーマンスをあげることを目標とするアクティブファンドがあります。
過去の事例を見ると、ほとんどのアクティブファンドは市場平均を下回る、と言われています。
それでいて、アクティブファンドは、インデックスファンドに比べて高い手数料をとることが多くあります。先ほども申し上げたように、長期投資においては、手数料の差は将来的に大きくインパクトしますので、極力手数料は安くするべきです。
そういった観点からも、インデックスファンドがおススメです。初心者は、S&P500に連動するETFか、米国株全体に連動するETFから始めるのがよいでしょう。
参考:インデックスファンドとアクティブファンドは長期投資におすすめなのはどちらか?
もう1つは積立投資です。
サラリーマンのポイントとして、給与が常に毎月入ってくる、というのが大きな強みです。積立投資を行い、また、配当を再投資することで、複利効果の恩恵を得ることで、雪だるま式に資産を膨らましていくことができる、これが長期投資の基本になります。
なので、毎月コツコツと、積立投資を行っていくのが良いのではないでしょうか。(すでに十分な金融資産がある場合は、必ずしも積立投資が正しいとは言えませんが…)
最後に重要なのは、「ある程度の金額を買う」ということです。
海外ETFは、1単位から買うことが可能で、最小であれば数千円から始めることができます。
しかし、証券会社の手数料は、最安値であっても1取引あたり500円は発生します。
なので、ある程度金額がまとまってから、ETFを買うことをおススメします。
ただ、あまりに期間が空いてしまうと、機会ロスにつながる可能性もあります。基本的には、1回の投資で10万~20万円分ETFを買うことができれば、手数料的にもほぼ問題はないでしょう。
海外ETFで注意すべきポイントは?
では、海外ETFで、注意すべきポイントはあるのでしょうか。
海外ETFにおける最大のリスクは、為替リスクです。
当然、アメリカの市場のETFは、ドルで売買を行います。日本の証券会社が円をドルに自動的に両替して、ETFを買うことも可能ですが、一般的には銀行等で円をドルに両替した方が、手数料が安くなることが多いです。また、保有資産自体は、ドルで保有することになります。
現在、為替は基本的に80~130円くらいを移動するボックス相場です。円高の期間にETFを売ろうとすると、ドルベースではプラスになっていたとしても、円ベースでマイナスになるケースもゼロではないでしょう。こういった、為替リスクには注意すべきだといえるのではないでしょうか。
さあ海外ETFを始めよう!
ETFは、上場投資信託ともよばれ、複数の金融商品をまとめて、1つにした金融商品になります。同じコンセプトの投資信託とは異なり、株式同様、市場に上場しており、透明な価格で買うことができるのが特徴です。
ETFのメリットは、複数の金融商品を束ねているため、個別企業の要因を受けづらくリスクヘッジができることが特徴です。また、投資信託に比べて、流動性が高いことも特徴と言えるでしょう。
ETFは、日本の市場でも買うことができますが、日本の市場に比べて、アメリカの株式市場はより右肩上がりであること、さらに、アメリカのETFの方が、手数料が安いことから、海外ETFをお勧めします。
しかし、為替リスクはあり、円高のシーンでは、ドルベースではプラスにもかかわらず、円ベースではマイナスになるというリスクは理解しておくとよいでしょう。
海外ETFをはじめる際は、「インデックス」「積立投資」「1回あたり10~20万円をかう」ことを意識してはじめてみましょう。
銘柄は、今後随時解説しますが、はじめはS&P500連動または米国株式連動型がおススメではないでしょうか。
※証券会社の選び方はこちら
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